過敏性腸症候群によって急な腹痛や便意に悩まされている方は非常に多くいます。
そんな過敏性腸症候群は腹痛の症状が一般的ですが、実は微熱が出ることもあります。しかし必ずしも過敏性腸症候群による微熱だとは限らないのです。
今回は過敏性腸症候群の症状で微熱が出る原因につてご紹介します。
過敏性腸症候群とは?
過敏性腸症候群とは、Irritable Bowel Syndromeの頭文字を取って「IBS」と言います。
過敏性腸症候群は、腹痛に伴って、下痢や便秘などの便の異常がみられ、ガスが溜まりやすい状態が、慢性的もしくは再発的に持続する状態です。しかし、血液検査や内視鏡検査など、腸の検査をしても異常が認められないのが特徴です。
この過敏性腸症候群は、20~40歳代と比較的若い年齢層に多く、40歳代以降ではやや減少します。
病院の消化器科を受診する人の3人に1人が、この過敏性腸症候群と言われており、かなり身近な疾患と言えるでしょう。
過敏性腸症候群の原因は解明されていませんが、自律神経の乱れによるものだと言われています。
脳と腸の関係
脳と腸には密接な関係があります。
脳から腸へ、腸から脳へと、ストレスや刺激がお互いに伝達されるという関係を「脳腸相関」と言います。
脳腸相関は、ある実験によっても証明されています。
過敏性腸症候群の人と、そうでない人に、ストレスを与えるという実験によると、過敏性腸症候群の人は、大腸の蠕動運動、大腸の筋電図が亢進、脳内の興奮の感受性の亢進が認められました。
脳からのストレスの情報が腸に伝達され、さらに腸から脳へ情報が伝達されます。脳は腸からの情報を「感情」としてキャッチします。なので、腸に刺激が入ることで、腸が過敏に反応し、脳はそれをストレスとして認識してしまうのです。
このように、脳と腸は密接な関係があるのですが、ここで大事なことが、これは自律神経を介して情報の伝達が行われているということなのです。ですので自律神経の乱れは腸に影響を与えてしまい過敏性腸症候群の原因となるのです。
自律神経とは
自律神経は2つに分けられます。
- 交感神経
- 副交感神経
これらの神経は、自分の意思とは関係なく自動的にバランスを取りあって、体をコントロールしている神経系です。これは、私たちの生命を維持するためにとても重要なものです。
- 代謝
- 循環
- 消化
- 吸収
- 発汗
- 心拍
- 排尿
- 排便
などの機能をコントロールしており、重要な役割を担っているのです。
食事をして、食べ物が口から入って胃や腸で、分解・消化・吸収をするのも自律神経の働きによるものなのです。
そこに、ストレスや不規則な生活習慣になることで、自律神経が上手にバランスをとれなくなり、乱れてしまいます。
自律神経が乱れることで、腸が正常に機能しなくなり過敏性腸症候群になってしまうのです。
微熱が出る原因は?
さて、微熱が出る原因ですが、微熱が出る原因はたくさんあります。
過敏性腸症候群で微熱が出る原因は何なのでしょうか?一部をご紹介します。
- 風邪
- ウイルス性腸炎
- 自律神経の乱れ
まずはやはり「風邪」です。過敏性腸症候群でも風邪は引きます。当然細菌やウイルスの感染によって風邪を引くことで、微熱が出ることがあります。風邪の場合は数日から1週間ほどで微熱は下がることが多いです。
また、細菌やウイルスが腸に感染して炎症が起こる「ウイルス性腸炎」になっても微熱が出ます。ウイルス性腸炎は、微熱以外にも腹痛や下痢など過敏性腸症候群に似た症状が出ます。過敏性腸症候群で微熱が出る場合は、腸が何かに感染してる可能性もあります。
さらに微熱が出る原因は、実は「自律神経の乱れ」によることもあるのです。
自律神経が乱れる自律神経失調症では微熱が出ることがありますし、自律神経失調症の既往がある方も、微熱が時々出たりします。
自律神経は先ほど説明したように、身体をコントロールする非常に大事な神経です。過敏性腸症候群は自律神経の乱れが原因と言われてますので、微熱の症状が出ても全くおかしくないことなのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
過敏性腸症候群の症状には、微熱が出ることもあるのです。自律神経の乱れは様々な症状が出ますが、そのひとつに微熱があるのです。
過敏性腸症候群の症状として微熱が出ているのか、他のことが原因で微熱が出ているのか、分かりにくいこともありますが、微熱が長期にわたって続くようであれば、一度医療機関を受診して下さい。