慢性疲労症候群を診断する検査は??

慢性疲労症候群とは?

慢性疲労症候群とは、筋痛症性脳脊髄とも呼ばれ、1988年に、米国疾病対策センターにより提唱された比較的新しい疾患概念です。

この疾患は、長期間にわたって慢性的な疲労や倦怠感が続く状態です。それに伴って、微熱や頭痛、筋肉痛、リンパ節の腫脹、思考力の低下、睡眠障害、不安などが併発することで、日常生活に支障が出てしまいます。こういった症状が最低でも6ヵ月続き、診断基準を満たしているものを慢性疲労症候群と言います。この慢性疲労症候群は、精神疾患に合併することがあります。

疲労感や倦怠感というものは、私たちが日常を過ごしていく中で誰にでも感じるものです。健康であれば、しっかり休息することである程度は回復するものです。慢性疲労症候群では、休息しても疲労感は取れません。しかし、休息しても疲れが取れないというだけで慢性疲労症候群ということではないのです。

慢性疲労症候群診断のポイント

慢性疲労症候群を診断するうえでの基準は、疲労感や倦怠感が十分な休息をとっても回復せず、月に数日は学校や仕事を休まなければならないというような状態の上、以下の診断基準をもとに確定診断をしていきます。

  • 6 か月以上症状が継続している
  • 身体の検査で異常がない
  • 鑑別疾患
  • 共存を認める疾患

日常生活に支障をきたすほどの強い疲労感や、睡眠障害、認知機能の障害、起立性調節障害などの症状が6ヵ月持続しているのか、身体検査で原因となる以上が見つからず、似たような症状がでる疾患との鑑別や、共存を認める疾患などを診断基準として行っていきます。

確定診断をするまでに、こういった方法がとられる理由としては、疲労感や倦怠感、頭痛や微熱などの風邪のような症状が出る疾患は、たくさんあるからです。ですので、除外診断や鑑別診断をしながら、慢性疲労症候群を確定的にしていくのです。

慢性疲労症候群診断のための検査とは?

慢性疲労症候群を診断するのに、身体の各検査が行われます。検査を行い、原因となる異常や病気がないのかを調べていきます。

  • 一般血液検査(WBC、RBC、Hb、Ht、血小板、末梢血液像)
  • CRP、赤沈
  • 尿検査(試験紙法)
  • 便検査(ヒトヘモグロビン)
  • 血液生化学検査(TP、蛋白分画、TC、TG、AST、ALT、LD、γ-GT、BUN、Cr、尿酸、 血清電解質、血糖)
  • 甲状腺検査(TSH)、リウマトイド因子、抗核抗体
  • 心電図
  • 胸部レントゲン

一般血液検査白血球、赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板、末梢血液像)

白血球

白血球は、体内に侵入したウイルスや細菌を攻撃する、免疫機能の役割があります。白血球の数が増加していると、体内のどこかにウイルスや細菌が侵入し、炎症が起こっているということです。

赤血球

赤血球は、血液の主成分で酸素を全身の細胞に運ぶ役割があります。赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリットの検査は血液中の赤血球の状態を調べるのもです。血液の赤い色は、ヘモグロビン(血色素)によるもので赤血球の働きの中心になっています。このヘモグロビンが少ないと酸素が全身の各細胞に十分供給されていないため赤血球数が正常でも、貧血症状を起こすことがあります。

血小板

血小板は、止血作用があります。血管が破れると傷口に血小板が集まって固めて止血します。この血小板が減少することで出血が止まりづらくなり、また増加することで、血が固まり血管が詰まって心筋梗塞や脳梗塞になることもあります。

末梢血液像

末梢血液像は、5種類の白血球がそれぞれバランスを保っているのか、赤血球や血小板のなどを調べる検査です。

CRP、赤沈

正常な血液には、タンパク質の一種であるCRPが、ごく少量存在しています。体内で炎症が起きているとこのCRPが増加します。

赤沈(赤血球沈降速度)も炎症の有無を調べるための検査です。

赤沈よりもCRPの方が反応が早いため、炎症の度合いを判断するのに有効な検査です。

尿検査(試験紙法)

尿中の、蛋白・糖・潜血・ビリルビンなどの成分を調べることで、腎臓や肝臓、胆嚢などの疾患や、糖尿病の有無について血液検査と合わせて行います。

便検査(ヒトヘモグロビン)

主に大腸などの下部消化管で出血が起こると、便の中に血液が混ざります。出血が大量であれば、肉眼で確認できますが、少量の場合は肉眼では確認できないので、便から赤血球の成分であるヘモグロビンを検出して便に血液が混ざっていないかを調べます。便潜血反応陽性の場合は、大腸癌や大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、クローン病、虚血性腸炎などの疾患の可能性があります。

血液生化学検査(TP、蛋白分画、TC、TG、AST、ALT、LD、γ-GT、BUN、Cr、尿酸、 血清電解質、血糖)

血液生化学検査によって、肝臓や、腎臓、膵臓、心臓、糖尿病、痛風、動脈硬化、貧血や栄養状態を調べていきます。

TP:総蛋白のことで、栄養状態や、肝臓や腎臓の状態を調べます。

蛋白分画:血中には100種類以上の蛋白が含まれており、それらを検査することで、栄養状態や特定の成分が増減する疾患を判断するための指標となります。

TC:総コレステロールのことで、これの数値が高いと、高コレステロール血症になります。高コレステロール血症が進行すると動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞のリスクになります。

TG:中性脂肪のことで、高脂血症や動脈硬化の指標として検査します。この数値が高くなると、脂肪肝や糖尿病のリスクにつながります。

AST:酵素の一種で、心筋や骨格筋、肝臓の機能の検査に有効です。

ALT:AST同様酵素の一種です。ALTは肝臓に一番多く含まれており、肝臓の細胞が破壊されていくと数値が高くなります。

LD:体内のブドウ糖が、エネルギーに変換される時に作用する酵素で、肝臓、心臓、骨格筋、血液に多く含まれています。これらの組織に異常があるとLDの数値は高くなります。

γ-GT:肝臓や腎臓に多く含まれる酵素です。アルコール性肝障害では、数値が高くなります。

BUN:血清尿素窒素。数値が高い場合は、腎臓障害、逆に低い場合は、肝臓障害か、タンパク質の摂取が少ない状態です。

Cr:必須微量金属の一種で、糖代謝や、コレステロール代謝、蛋白代謝などを調べる検査です。

尿酸:痛風や腎臓に障害があると数値が高くなります。

血清電解質:電解質とは水に溶ける物質の中で電荷を持ったイオンとして解離するものです。酸塩基平衡、水分の保持、細胞膜の電位差など、生理的な働きに関与します。電解質は、体内で常に一定を保っています。

血糖:糖尿病や高血糖、低血糖などの糖代謝の状態を調べる検査です。

甲状腺検査(TSH)、リウマトイド因子、抗核抗体

甲状腺ホルモンは、脳の下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって分泌の調整を行っています。バセドウ病では、甲状腺ホルモンの分泌が増加しているため、TSHの分泌は減少します。橋本病(慢性甲状腺炎)では、甲状腺ホルモンの分泌が減少しているため、TSHの分泌は増加します。

これらの疾患は、自己免疫性甲状腺疾患と言われ、自分の甲状腺内のタンパク質に対しての抗体が作られることが原因になります。

このような自己免疫疾患の代表的なものと言えば、リウマチです。リウマチも自分の関節の細胞や組織に対する抗体が作られることによって関節が変形します。リウマチの場合はリウマトイド因子が陽性反応となります。

膠原病も自己免疫疾患と言われ、抗核抗体が陽性反応になります。抗核抗体とは、核内分子に対する抗体の総称です。

自己免疫疾患や膠原病で代表的なものは、リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン病などがあります。

このように検査では、甲状腺ホルモンやTSH、リウマトイド因子、抗核抗体の存在があるのかなど、自己免疫疾患や膠原病の有無を調べていきます。

心電図

手首、足首と胸の数か所に電極を付け、心臓が収縮を繰り返す時に発生する電気刺激を、波形として記録しその状態を見て、心臓に異常がないかを調べる検査です。心臓は微量の電気を周期的に発生しており、その刺激が心臓の筋肉に伝わることで、収縮・弛緩を繰り返し、全身に血液を供給しています。不整脈や狭心症、心筋梗塞などの診断に有効です。

胸部レントゲン

呼吸器や循環器に異常がないかを調べるために行います。主に胸部にある、肺・心臓・大動脈などの臓器の状態を検査し、肺炎や、肺癌、肺結核や肺気腫、気胸や心臓肥大などの疾患の有無、その程度を確認します。

まとめ

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慢性疲労症候群の身体の各検査には、いろんな種類の検査を行います。そして体の栄養状態や、内臓や筋肉、ホルモンの状態など、隅々まで検査をしていく必要があるのです。

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