腰痛の原因!実は??

腰痛は日本の国民病のひとつで、40~60才代を中心に多くの人にみられます。

日本での腰痛持ちの人は、約3000万人といわれており、4人に1人は腰痛持ちということになります。

そしてなんと、90%の人が人生で一度は経験するともいわれています。

過去に腰痛を経験したことのある人のうち、約半数が現在も腰痛を抱えており、また、肩こりのある人の7割、ストレスのある人の4割に腰痛があるとされています。

腰痛は再発率が高く、1年以内では30%、10年以内なら80%にもなります。その中の約5%が慢性化するといわれています。

平成25年の国民生活基礎調査による有訴者は、男性が1位、女性は肩コリに次いで2位という結果です。

症状は?

  • 朝起きた時は痛いが、動いていると痛みが和らぐ
  • 腰から下肢にかけて、痛みやしびれがある
  • 歩いていると痛くなる
  • 洗顔をするときに痛みが出る
  • 体を後ろに反らすと痛みが出る
  • 座っていると痛くなる
  • 咳やくしゃみをすると腰に響く
  • 安静にしてても痛い

とたくさんあります。

日本では腰痛に悩んでる人が非常に多いのが現状です。

腰痛の原因は?

腰痛診療ガイドラインによると

腰痛の原因は、

①脊椎由来

②神経由来

③内臓由来

④血管由来

⑤心因性由来

の5つに大別されます。

①脊椎由来

・腰椎椎間板ヘルニア

・腰部脊柱管狭窄症

・脊椎分離症

・脊椎すべり症

・代謝性疾患(骨粗鬆症、骨軟化症など)

・脊椎腫瘍(原発性または転移性腫瘍など)

・脊椎感染症(化膿性脊椎炎、脊椎カリエス)

・脊椎外傷(椎体骨折など)

・筋筋膜性腰痛

・腰椎椎間板症

・脊柱靱帯骨化症

・脊柱変形など

②神経由来

・脊髄腫瘍

・馬尾腫瘍など

③内臓由来

・腎尿路系疾患(腎結石、尿路結石、腎盂腎炎など)

・婦人科系疾患(子宮内膜症など)

・妊娠

・その他(腹腔内病変、後腹膜病変など)

④血管由来

・腹部大動脈瘤

・解離性大動脈瘤など

⑤心因性由来

・ストレス

・うつ病

・ヒステリーなど

と挙げられています。

腰痛の分類

腰痛は2つに分類されます。

特異的腰痛

非特異的腰痛

この2つです。

特異的腰痛

特異的腰痛とは、医師の診察や画像検査(レントゲン・MRI)などで原因の特定ができるものを言います。

例えば、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎分離症、圧迫骨折などです。

腰椎椎間板ヘルニアとは

背骨と背骨の間にあるクッションの役割をしている椎間板という組織があります。

その椎間板が、加齢変性やスポーツ、仕事などにより繰り返しのストレスを受けて、椎間板の中にあるジェル状の組織が、外に飛び出して神経を圧迫してしまった状態です。

20~40歳代に好発し、腰痛以外に下肢のしびれや感覚障害、筋力低下が見られる場合もあります。

ヘルニアはMRIで診断可能です。

腰部脊柱管狭窄症とは

背骨のなかを通る「脊柱管」という神経の通っている管があります。その中にある靭帯の肥厚や骨の変形などにより、脊柱管が狭くなって神経を圧迫する病気です。

60歳以降に好発し、加齢変性が多くの原因になります。

症状は腰痛、下肢のしびれや感覚障害、筋力低下と、ヘルニアに似た症状が出ますが、基本的にはヘルニアは片側で、脊柱管狭窄症は両側に出ます。

特徴的なものとしては「間欠性跛行」(かんけつせいはこう)という症状が出ます。

この間欠性跛行とは、歩いていると足が痛くなり歩けなくなります。そして椅子に座るなど前かがみの姿勢で少し休むと、再び歩けるようになるというものです。

脊柱管狭窄症もMRIで診断可能です。

腰椎分離症とは

成長期に激しくスポーツをすることにより、腰に過度の繰り返しの負荷がかかり、腰椎が疲労骨折する疾患です。

野球などの腰を捻る動きが多いスポーツに多くみられ、痛みの激しい急性期は、コルセットを装着して安静固定を行います。

この分離症はレントゲンやMRIで診断が可能です。

圧迫骨折とは

基本的には、骨粗鬆症がある人で、尻もちをついたり、重たい物を持ち上げた時に、背骨が骨折する疾患です。

ただ、はっきりとした原因がなく骨折してしまうことも多いです。

これがテレビでも聞いた事のある「いつのまにか骨折」です。

統計によると、発症している方のほとんどが中高齢者で、1年間で90万人近くが、圧迫骨折を起こしていると発表されています。

70歳を超えた女性の3人に1人は、圧迫骨折の危険性が指摘されていて、50歳を超えたらいつ骨折してもおかしくないといわれてます。

骨粗鬆症による圧迫骨折が最も多いですが、なかには、癌の転移などによって骨の強度が低下して起こる場合もあります。

圧迫骨折はレントゲンやMRIで診断可能です。

これ以外にも、腰痛になる疾患はたくさんありますが、これらはすべてレントゲンやMRIなどの画像検査で原因が特定できるのです。

これを特異的腰痛といいます。

これらは重篤化すると手術の適応となる場合もあるので、しっかり診察する必要があります。

しかし、画像検査で異常所見が見つかったとしても、必ず症状が出るとは限らないのです。

MRIを撮ってヘルニアが出てても、実際は、腰も痛くないし足もしびれないという人もいてます。

つまり臨床では、画像所見と症状は必ずしも一致しないのです。

非特異的腰痛

非特異的腰痛とは、原因の特定できないものをいいます。

非特異的腰痛の80%は、3か月以内に自然に改善することが知られており、臨床的には「命に危険のない疼痛」と考えられています。

しかしいったん痛みが落ち着いても、1年以内の再発率は約80%と非常に高いことが報告されています。

椎間板障害、椎間関節障害、仙腸関節障害、ぎっくり腰、筋・筋膜性腰痛などがそうです。

これらは画像検査で明らかな所見が見つかりません。

椎間板障害とは

椎間板の変性により、神経を刺激したり、周囲の筋、靭帯などに影響を及ぼしたりすることで、痛みを引き起こしてしまいます。

この椎間板の中からジェル状の組織が出ると椎間板ヘルニアになります。

椎間関節障害とは

背骨の一つ一つは関節で連結しているのですが、その関節の動きが硬くなったり、過剰に動きすぎることで痛みが出ます。

仙腸関節障害とは

仙腸関節とは、背骨と骨盤とをつなぐ関節です。関節なのですが動きは微小です。その関節の動きが硬くなったり過剰に動きすぎることで、痛みが出ます。

ぎっくり腰とは

急に「グキッ」という衝撃とともに、腰が強烈な激痛に襲われるものです。

欧米ではその病態から「魔女の一撃」とも呼ばれています。

ぎっくり腰に関しては色々な見解があり、まだまだ解明されてない事も多いです。

筋・筋膜性腰痛とは

腰の筋肉の疲労の蓄積による過緊張の発生や、それに伴う筋繊維の損傷を起こしたために起こる腰痛です。

特異的腰痛と非特異的腰痛のその割合は

・特異的腰痛・・・15%

・非特異的腰痛・・・85%

実は、85%もの腰痛が原因が特定できないのです。

なぜ85%もいるの?

ではなぜ85%も原因が特定できないのでしょうか。

腰は、体の中でも何かと負担がかかりやすい部位です。

必ずしも腰に問題がありわけではなく、何が負担となっているのか分かりにくいのです。

筋肉や関節の硬さ、筋力低下、運動不足、疲労、生活環境の問題、姿勢不良、肥満、内臓など、複数の要因が関係していることもあり、原因を特定するのが難しいケースが多いからです。

仕事の場合、清掃業、運輸業、介護職、事務職の人が多い傾向にあります。それは中腰や座った状態での前かがみで腰への負担が増強するからです。

また、重要な要因になるといわれているのが、心理的・社会的な要因です。

人間関係の悩みや、仕事に対する満足度が低い、仕事量が多い、腰痛に対する過剰な不安など、精神的なストレスが慢性化や重症化につながることが分かってきました。

腰痛があるからと言って簡単に仕事を変えたり辞めたりできないので、しっかりと治療していくことが大事になってきます。

さらに内臓由来の腰痛も意外に多いです。

上半身には内臓が密集しており、その人の骨格に合わせて内臓の大きさや位置が決まっています。

その内臓が病気などで腫れてしまうことで、お腹や腰を圧迫し、腰痛になると考えられています。

内臓が原因の場合は、基本的には特定の動きによる痛みはなく、痛みの出る部位によっては、どの内臓が関係しているのか大まかな推測はつきます。

左右に出る腰痛は腎臓が関係しやすく、右側にでる腰痛は肝臓が関係しやすいと言われています。

それは、腎臓は、おへそとみぞおちの間の高さの背中側にある臓器で、左右に1つずつあり、肝臓は、腎臓より若干上のお腹側にあり、みぞおちから肋骨下部の裏側にあるからです。

仮に病院で血液検査をして内臓の数値に異常がなくても、内臓に疲れが溜まっていたりすると、内臓機能の低下も考えられます。

一時的な機能低下であれば、いつもよりも多く睡眠を取ったりと、生活習慣を改善することで内臓機能も回復してきます。

非特異的腰痛は原因は特定できないですが、原因と考えられるものはたくさんあります。それを診断するにはもちろんレントゲンやMRIなどの画像検査も大事ですが、問診や身体の評価です。

 問診

・いつから痛いのか

・どうすると痛みが出るのか

・どこが痛いのか

・しびれや感覚異常などの神経症状の有無

・生活環境

 身体の評価

・姿勢やバランスのチェック

・筋肉の硬さや筋力の状態

・関節の硬さや動き具合

など実際に見て触って動かすことが大事になります。

まとめ

腰に痛みがあるからといって腰ばかりを診ても意味がなく、全身を包括的に診ることが重要です。

このように、原因が特定できなくてもしっかりと問診と評価を行うことで、ある程度は原因を絞って治療につなげていくことができます。

腰痛は全身の影響をうけます。

ご自身でも、どうしたら痛いのか、逆にどういう時は痛くないのか、ということを理解しておく必要があります。

しっかりと自分の体をコントロールしましょう。

たとえ腰痛の原因が、内臓由来や心因性由来、またはそれ以外だったとしても、生活習慣、環境の見直しは必要になってくると思います。

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