TFCC損傷の治療法を大公開!

手根管症候群

手首を動かした時に痛みは出ませんか?

特に手首の小指側の痛みはありませんか?

もしそうなら、それはTFCC損傷かもしれません。

TFCC損傷とは

このTFCCとは何でしょうか?

TFCCとは三角繊維軟骨複合体のことです。

英語でTriangular Fibrocartilage Complex、略してTFCCと呼びます。

よく分からない人も多いと思いますが、

これは手首の小指側の少し凹んだところにあり、複数の靭帯や軟骨で構成された部分のことです。

レントゲンを撮って見るとそこには何も写りません。これは、レントゲンは骨しか写らず靭帯や軟骨は写らないので何もないように見えるためです。

原因

TFCCは、手首の安定性やクッションの役割をしていて、仕事やスポーツなどでこの部分に負担が繰り返しかかることで損傷していきます。

具体的には、手を着いて転倒したり、テニスやゴルフなどで手首を酷使していると痛める原因になります

それ以外には、昔の骨折で変形が残っている場合もTFCC損傷になります。

症状

TFCCを損傷すると、押さえて痛みが出たり、手首を捻じると痛みが出ます。例えば、ペットボトルを開ける、ドアノブを回す、雑巾をしぼるなどで痛みが出ます。あとは腕立て伏せみたいに手を着いて体重をかけた時に痛みが出ます。

中には、家事や育児など日常生活に影響が出るくらい症状がきつい場合もあります。

診断

このような症状がある場合は、まずはレントゲン検査となりますが、この部分は軟骨なのでレントゲンには何も写りません。

ですが、手首の骨の配列や骨折の有無をレントゲンを撮ることでみることができます。骨の配列を見ることでTFCC損傷なのかある程度予測がたちます。

もし、レントゲンで異常がなくても、手首を動かすなどの各テストを行い、その時の痛み方などで診断していきます。

TFCCの可能性が高い場合には、さらにMRI検査や、関節の造影剤検査で、手首に造影剤を注射してから撮影し、造影剤の漏れがあるかないかを見ていきます。ここで造影剤の漏れがあると関節を包んでいる膜が破れているということになります。

MRIや関節造影剤検査を行ってそれでも判断が難しい場合には、関節鏡検査をする場合もあります。これは関節内部に小さな内視鏡をいれて、直接確認をすることで、どこが損傷しているか確認していきます。

検査の結果、TFCC損傷と診断されたら治療を行っていきます。

そこで今回は、このTFCC損傷の治療法にはどのようなものがあるのかをご紹介していきます。

TFCCの治療法

治療法は保存療法と手術療法の2つに分けられます。

保存療法

保存療法とは手術をせずに治療していく方法です。

固定

手を痛めた直後の急性期の場合は、まず安静固定です。

手首の関節を動かないように固定し、安静により炎症や痛みの軽減を図ります。

痛みが強い場合は、ギプス固定を2~4週間行う場合もあります。痛みが軽い場合はテーピングやサポーターで固定します。

固定の種類や固定期間は人によって様々です。

ギプスで全周固定するのか、シーネで取り外し可能にするのか、包帯のみの固定にするのか。

テーピングも何種類かあり、伸縮性の強度が弱いテーピングから全く伸縮性がないテーピングまであり、どれを貼るかによって固定の強度が変わってきます。

サポーターも種類がいくつかあります。

固定をする際は、それぞれ患者さんの痛みの度合いや、生活環境を考慮したうえで決めていきます。

リハビリ

固定によって痛みが軽減した後は、リハビリを行っていきます。

関節は2週間動かさないと硬くなります。これを拘縮といいます。

関節の周りにある筋肉や靭帯や皮膚などの組織は、動かさないとそれらの繊維の柔軟性が低下してしまい、硬くなって伸びにくくなる性質があります。

固定期間が長ければ長いほど拘縮は強く残りやすいので、固定後はリハビリで関節を動かしていかないといけません。

硬くなった筋肉に電気をあてて血流を促進したり、ストレッチやマッサージで柔軟性を出しながら関節を動かしていきます。

さらに、固定期間中は筋肉を使わないので、筋力が落ちて萎縮してしまいます。なので同じように、関節を動かすのと同時に筋力のトレーニングも行わないといけません。

注射

痛みがなかなか取れない場合や、慢性化している人には、局所麻酔剤入りのステロイドの注射を打つこともあります。

ステロイドには炎症を抑える効果がありますので、痛みが長期間続いていた人も数回の注射で痛みが取れる場合があります。

このような保存療法では約80%の有効性があるといわれています。

手術療法

手術法は、

  • 尺骨短縮術
  • 鏡視下TFCC部分切除術
  • 鏡視下TFCC縫合術
  • 鏡視下TFCC再建術

があります。

尺骨短縮術以外は、一般的に最小侵襲手術(小切開で行う手術で、患者さんへの負担が最小限に抑えられる)の鏡視下手術が行われます。

これは内視鏡を関節に挿入して、モニターで映像を見ながら行う手術法です。

しかし、損傷の程度によっては鏡視下で対応出来ない場合もあります。そんな時はメスで切り開く手術、つまり直視下で手術を行うこともあります。

手術は基本的に全身麻酔をして行われます。

関節内に血が溜まらないように腕にターニケットを巻いて止血しながら行います。

また、内視鏡を使うので、腕は点滴台で牽引されてから手術を行います。

順番に説明していきます。

尺骨短縮術

肘から手首にかけて二本の長い骨があります。親指側が橈骨(とうこつ)という骨で、小指側が尺骨(しゃっこつ)という骨です。

TFCC損傷の場合は後者の尺骨が原因になることが多いです。

本来、手首の関節面ではこの二本の骨は同じ高さなのですが、生まれつき尺骨の方が長い人や、橈骨骨折後の短縮変形の後遺症によって尺骨の方が長くなってしまうことがあります。

このような人は、手首を使うたびに長い尺骨によって過剰に突き上げるようなストレスがかかり、徐々に靭帯や軟骨が損傷して痛みが出てきます。これを尺骨突き上げ症候群といいます。

この場合は尺骨短縮術の適応になります。

尺骨と橈骨が同じ長さになるように、尺骨の骨の真ん中部分の骨切りを行います。

骨切りで数ミリほど切除して短縮させ、金属プレートを入れて数本のボルトで固定するという手術です。

骨は1ヵ月くらいでくっついてくるのですが、プレートを除去するのは半年から一年後くらいになります。

この手術の場合、皮切は6~8センチで抜釘の手術も必要になってきます。

なので最近では、手首に近い骨端部での短縮術で、三角形に切除して折り曲げて固定する手術を行う病院もあるようです。これだと皮切が3センチほどで済み、固定も一本のボルトのみなので、抜釘の手術をする必要がないというメリットがあります。

鏡視下TFCC部分切除術

TFCCの中央部は血行がなく自己再生能力がないので、この部分の損傷は主に部分切除術が行われます。

鏡視下TFCC縫合術

靭帯が緩んでいる場合は、靭帯と骨とを縫い付けます。靭帯が切れている場合は、靭帯を縫合します。

鏡視下TFCC再建術

時間がたったTFCC損傷では靭帯が縫合できな いため、そのような場合は、自分の腱を移植する再建術の適応となります。

手術適応となるのはどんな時?

診察するドクターの見解によっても若干の違いはありますが基本的には、

  • 尺骨が脱臼して不安定になっているもの
  • 関節造影で造影剤の漏出が認められるもの
  • 画像所見でTFCCの剥離があるもの
  • 手首の安静、固定、関節内へのステロイド注射、3か月以上リハビリを行っても効果のないもの
  • スポーツ選手で早期に競技復帰を目指しているもの(リハビリを3カ月間行わずに手術に踏み切るパターン)

などが手術の適応になります。

手術後の経過

手術後はどのような経過をたどるのでしょうか?

尺骨短縮術の場合は、術後3~4週間のギプス固定をし、スポーツ選手の場合は、競技復帰にだいたい半年を要するといわれています。

鏡視下手術の場合は、術後8週間で軽作業、3ヶ月で重労働、スポーツが可能になるといわれています。ただし、手術の方法や術後の状態によってはもっと長引く場合もあります。

術後もリハビリは大切

保存療法でも説明しましたように、術後は筋肉や皮膚の縫合や、固定によって関節の拘縮や筋力低下が起きます。

なのでリハビリが重要になります。

術後のリハビリをしっかりするのとしないのとでは、後々の機能に差が出てくるのです。

ストレッチやマッサージなどで筋肉の柔軟性を出しながら、関節を動かしていきます。固定が外れた直後はまだ腫れや炎症が残っているので、慎重にリハビリを行います。

自分でできるリハビリ

トレーニング

ある程度期間がたったら、自宅で自分でストレッチや筋力トレーニングをすることも必要になりますので、自分でできるストレッチから紹介していきます。

ストレッチ

まず、片方の手を前に出して、肘を伸ばした状態で手のひらを上に向けます。反対の手で手のひらを反らしていき、肘から手のひらにかけて伸びる感じがすればOKです。そしてその状態を30秒キープして伸ばしていきます。指先を持つとよりストレッチが効きます。

今度は、手の甲を上に向けます。反対の手で先程と同じように今度は手のひら側に曲げていき、肘から手の甲にかけて伸びる感じがすればOKです。この場合は指を軽くグーにした状態で曲げるとよく伸びます。

筋力トレーニング

まず肘を伸ばした状態で手を机の上に置き、手首から先は机の外に出します。

500mlのペットボトルを持ちます。手のひらを上にしてペットボトルを持ち、肘は伸ばしたまま手首をゆっくり曲げます。これを繰り返します。

今度は手のひらを下にしてペットボトルを持ち、肘を伸ばしたままゆっくりと上に持ち上げます。

それぞれ20回ずつ行います。回数は最初は少なめから徐々に増やしていく方がよいでしょう。

ストレッチも筋力トレーニングも痛いのを我慢せずに無理の無い範囲から始めて下さい。

手術が終われば治療終了ではないのです。

術後の治療も大事になるということなのです。

いかがでしたでしょうか?

TFCC損傷は何度も悪化や再発を繰り返す可能性のある厄介な怪我です。

しかし、手術をしなくても80%が改善しているのでしっかりと治療していきましょう。

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