過敏性腸症候群は、腹痛やガスが溜まる症状が一般的ですが、「吐き気」が出る方も中にはいます。
今回は過敏性腸症候群の吐き気の原因と改善策についてご紹介していきます。
過敏性腸症候群とはどんな病気?
過敏性腸症候群とは、Irritable Bowel Syndromeの頭文字を取って「IBS」と言います。
過敏性腸症候群は、腹痛に伴って、下痢や便秘などの便の異常がみられ、ガスが溜まりやすい状態が、慢性的もしくは再発的に持続する状態です。しかし、血液検査や内視鏡検査など、腸の検査をしても異常が認められないのが特徴です。
この過敏性腸症候群は、20~40歳代と比較的若い年齢層に多く、40歳代以降ではやや減少します。
病院の消化器科を受診する人の3人に1人が、この過敏性腸症候群と言われており、かなり身近な疾患と言えるでしょう。
4つの分類
- 下痢型
- 便秘型
- 混合型
- ガス型
過敏性腸症候群は、男性より女性の方が多い傾向があり、男性では「下痢型」、女性では「便秘型」が多いとされています 。
過敏性腸症候群の症状は?
過敏性腸症候群の症状は、
- 腹痛
- 腹部の不快感
- 腹部の膨満感
- 下痢、便秘が続く
- おならがよく出る
- お腹がゴロゴロなる
などの症状が一般的ですが、実は吐き気が出ることもあるのです。
吐き気の原因は何?
過敏性腸症候群の吐き気の原因は何なのでしょうか?
胃は十二指腸を経て小腸、大腸へと続き肛門に至ります。つまり、口から肛門まで繋がっているのです。
これを踏まえてお話すると、腸にガスや便が溜まっていると、その先の肛門まで行けなくなり逆に胃の方へしわ寄せが来るのです。
腸でのガスや便の停滞が胃を下から圧迫しているのです。これが吐き気として現れます。中には胃もたれや胃痛を伴うこともあります。
ではなぜ腸にガスや便が溜まってしまうのでしょうか?これには自律神経が関係しています。自律神経が過敏性腸症候群の原因とも言われています。
自律神経とは
自律神経には、腸での消化や吸収、水分の吸収調節機能があります。
自律神経の中の腸管神経は、食道から胃、小腸、大腸、肛門までの消化管壁に、網目状の神経ネットワークを構築しています。数億個にも及ぶ神経細胞が存在する腸管神経は、脳からの指令がなくても、腸の機能を自律的に調節できるため、腸は「第二の脳」とも呼ばれています。
過敏性腸症候群は、ストレスや不規則な生活習慣によって、この自律神経が乱れてしまい、腸での消化や吸収、水分の吸収調節機能が正常に機能せず、下痢や便秘、吐き気などの症状が出てくるのです。
吐き気の改善策は?
過敏性腸症候群の症状のひとつである吐き気の改善策は、やはり自律神経を整えることです。
- ストレス発散
- 食生活の改善
- 適度な運動
ストレス発散
ストレス社会のこの時代で、ストレスフリーになることは難しいかもしれません。
なので、旅行やスポーツなど自分の趣味や楽しみを定期的に行いストレスを発散していきましょう。趣味のない方は趣味を見つけることをおすすめします。
食生活の改善
3食規則的にバランスの摂れた食事をすることが大切です。
食事の内容としてはFODMAPという糖類の摂取を控えることがポイントとなります。
FODMAPとは
- fermentable(発酵性)
- oligosaccharides(オリゴ糖)
- disaccharides(二糖類)
- monosaccharides(単糖類)
- and
- polyols(ポリオール)
の略語です。
これらの糖類は、小腸で、消化。吸収されにくいため、大腸に運ばれると発酵が促進され、ガスが発生しやすくなったり、正常な水分吸収の機能が作用しなくなります。これによってガスや便が溜まりやすくなり吐き気の症状につながるのです。
なのでこのFODMAPが多く含まれているものは控えるのが望ましいです。
FODMAPが多く含まれているものの一部をご紹介します。
- 小麦
- パン
- ラーメン
- パスタ
- うどん
- 玉ねぎ
- 豆類
- キャベツ
- ごぼう
- ソーセージ
- リンゴ
- 牛乳
- ヨーグルト
- 乳糖を含む乳製品
適度な運動
運動することは自律神経を整えるのにとても効果があります。
運動することで、ストレスを抑制するホルモン「セロトニン」の分泌も増加します。過敏性腸症候群は、腸内環境の悪化によってこのセロトニンの分泌が低下してしまいます。セロトニンには、ストレスを抑制する他に、腸の蠕動運動や消化・吸収などの機能を助ける働きがあります。
ですので、運動をすることは、自律神経も整えて、過敏性腸症候群の症状である吐き気にも効果的なのです。