うつ病とは
うつ病は、「憂うつである」「気分が落ち込んでいる」と言う状態が重度になったものです。
うつ病は、エネルギーが消耗する病気と言われており、脳のエネルギーが欠乏してしまったことによって、まるで脳が止まってしまったかのように、心身が共にスローになり身体的、精神的な様々な症状が出てきます。
そんなうつ病は、比較的身近な病気で、生涯有病率は3~16%と高く、これは一生のうち、約10人に1人はうつ病にかかるということです。
代表的なうつ病の種類
うつ病は、症状によって大きく2つに分類されています。
- うつ病(大うつ病性障害)
- 双極性障害
うつ病(大うつ病性障害)
抑うつ状態だけが起こるタイプです。一般的に言う「うつ病」です。
うつ病は、極端に気分が落ち込んで、食欲の低下や、睡眠障害、何事に対しても意欲がなくなってしまいます。絶望感や自己否定が強く出てしまい、普段楽しいと思えていたことも楽しめなくなってしまうのです。「興味」・「喜び」の喪失が、うつ状態の典型的症状です。
双極性障害
抑うつ状態と躁(そう)状態の両方が起こるタイプです。
双極性障害は、抑うつ状態に加え、うつとは逆の躁状態も現れ、これらを繰り返す状態です。
- 双極Ⅰ型障害
- 双極Ⅱ型障害
「双極I型障害」
抑うつ状態に加え、激しい躁状態が起こるタイプです。
「双極II型障害」
抑うつ状態に加え、軽い躁状態が起こるタイプです。
躁状態とは
躁状態は、とにかく気分が高ぶり、機嫌が良く、自分が一番だと思っています。睡眠をとらなくても元気なので、よく動き、活動的になります。誰かと話す時も、言葉数が増え早口で話しますので、周囲の人を困らせてしまうこともあります。活動的になるので会社を作る言ったりなど、行動がどんどん大きくエスカレートしていきます。一方では、気が散りやすく一つのことに集中できず、自制心を失っているので、こうした行動の結果、人間関係を悪化させたり、多額の借金を抱えたり、法的な問題を起こしたりという状態になってしまいます。
軽躁状態とは
軽躁状態は、躁状態みたいに、周囲の人を困らせるということはありません。躁状態よりも軽度な状態です。これもやはり、睡眠時間が短くても元気でエネルギッシュで行動的です。本人のことを良く知っている人から見ると、人が変わったように感じられます。
躁状態と軽躁状態に共通してることは、本人は自分の状態の変化を自覚できないことが多いという点です。
その他のうつ病の種類
上記以外にもうつ病には様々な種類があります。
- 仮面うつ病
- 退行期うつ病
- 微笑みうつ病
- 季節性うつ病(季節性情動障害)
- 産後うつ病(マタニティブルー)
- 婚前うつ病(マリッジブルー)
仮面うつ病
仮面うつ病とは、頭痛や肩こり、胃痛や倦怠感、しびれなどの身体的な症状が強く現れ、うつ病の症状が隠れてしまっているタイプです。
本質はうつ病なのですが、一見うつ病以外の疾患に見えやすく、他の病気だと誤診される可能性の高い疾患です。しっかり見極めができないと、身体的症状に対して治療しても改善はしません。
退行期うつ病
退行期うつ病とは、60~65歳くらいの老齢期に差し掛かる頃に発症しやすいうつ病です。「初老期うつ病」や「更年期うつ病」とも呼ばれます。家庭や職場での立場や、親しい人との別れなどの生活環境の変化によって発症することが多いうつ病です。
退行期うつ病の特徴は、仮面うつ病のような身体的な症状が強く表れ、認知症を併発することも多いです。
この退行期うつ病の厄介なところは、高齢のため自分がうつ病であることを認めないことが多いというところです。
微笑みうつ病
うつ病になるとニコニコして明るく振舞ったりはできません。微笑みうつ病とは、誰かといるときは、心配させないようにという気持ちで、顔は明るく微笑んでいるうつ病のことです。
微笑みうつ病の特徴は、誰が見ても 明らかに調子が悪そうな時でも、微笑んで明るく振舞います。しかし、一人になると抑うつ症状が出てきて、極端にふさぎこんでしまうのです。
季節性うつ病(季節性情動障害)
季節性うつ病は、季節の変わり目にうつの症状が出るうつ病です。夏と冬の変わり目に多く見られます。
夏の間だけ見られるのを「夏うつ」「夏季うつ病」と言い、秋になると症状は回復します。冬の間だけ見られるのを「冬うつ」「冬季うつ病」と言い、春になると症状は回復します。
この季節性うつ病は、疲労感や、意欲低下などの症状が現れ、睡眠障害や食欲の異常が特徴的です。
産後うつ病(マタニティブルー)
産後うつ病は、出産後の女性の10人に1人はなると言われており、産後2週~6ヵ月の間に発症します。育児への不安やプレッシャーがストレスとなって発症します。
授乳や抱っこ、寝かしつけなど子供のことだけでも大変なうえ、洗濯や掃除、炊事など家のこともしていることが多いです。それに赤ちゃんは夜泣きをするので慢性的な睡眠不足にもなります。こういったストレスや疲労が溜まってうつ病になるのです。
婚前うつ病(マリッジブルー)
結婚を控えた人に発症するうつ病で、結婚生活が現実味を帯びることで、不安や迷い、相手に対しての不満などが出てきます。
これは男性女性両方に見られますが、女性の方が環境の変化に敏感なため、女性の方が顕著に表れることが多いです。
結婚のことを考えると憂うつになったり、不安で寝れない日が続いたり、相手のことを信用できなくなって後悔したりというような気持ちが現れます。