不安障害とは?
不安障害とは、不安感や恐怖感、過度の心配や緊張を主な症状とする精神疾患のことです。
ある環境や状況に対して、過剰な不安や恐怖が出ることによって、精神的な苦痛を感じ、その状況を避けようとする回避行動により、日常生活に様々な支障をきたすようになる状態を「不安障害」と言います。
不安や恐怖という感情は、、普段の生活の中でも、誰でも感じる感情なので、これは脳が「危険である」と認識したときに起こる感情であり、正常な自己防衛反応なのです。
しかし、不安感や恐怖感の度合いが、明らかに過剰であったり、長期間持続することで、心身に影響が出て、日常生活に支障が出ている場合は、不安障害の可能性が高いです。
以前では、この不安障害は「神経症」や「不安神経症」などと言われていました。また最近では、「障害」という文言が偏見につながるという見方もあり、その配慮から「不安症」と言われることもあります。
不安障害のタイプ
- 分離不安障害
- 選択性緘黙症(せんたくせいかんもくしょう)
- 限局性恐怖症
- 広場恐怖症
- パニック障害
- 社会不安障害
- 全般性不安障害
- 強迫性障害
- 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
不安障害の治療法
不安障害のように精神的な障害の場合は、自律神経が影響してきます。自律神経が正常に機能していないことが土台にあることで、精神的なストレスを受けやすくなってしまうのです。
自律神経とは
自律神経とは、交感神経と副交感神経の2つからなり、両者がバランスを保ちながら機能しており、人間の身体をコントロールしている神経です。自分の意思でコントロールすることができず、無意識の中で24時間常に機能している生命維持に必要不可欠な神経です。そんな自律神経は、代謝・循環・消化・発汗・心拍・排尿・排便などの生きていく上で欠かせない機能を正常に保つように働いてくれているのです。
この自律神経が正常に機能しないと、身体的な不調や精神的な障害が出やすくなります。
ですので、自律神経を整えることが大切になります。
不安障害の治療法です。以下の方法で自律神経を整えていきます。
- 薬物療法
- 精神療法
- 生活習慣の改善
不安障害の薬物療法
不安障害の薬物療法で処方される薬には以下のものがあります。
- 抗不安薬
- 抗うつ薬
- β遮断薬
抗不安薬
抗不安薬は、「ベンゾジアゼピン系」といわれるタイプのもので、「精神安定剤」とも言われます。
効果としては、神経伝達物質の一つであるGABAの働きを強めることで、興奮状態の神経を鎮めることができます。それによって、自律神経のバランスを整わせ、抗不安効果の他、寝つきが悪いなどの不眠の症状に対して、睡眠を誘発する効果や、緊張状態によって硬くなっている筋肉や身体をやわらげる効果や、抗痙攣効果もあります。
不安症状が強い場合には、抗うつ薬のSSRIと併用して服用します。
代表的なものは、
デパス
コレミナール
ソラナックス
セパゾン
レスミット
メイラックス
などがあります。
服作用
強い眠気が出ます。また、依存性が強いので、用法・用量を守って、短期間の使用が望ましいとされています。
抗うつ薬
抗うつ薬でも代表的なものが、SSRIという薬です。これは「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」のことで、セロトニンの分泌を促進させることで、自律神経を整え、気分の落ち込みや不安感の改善に効果的とされています。
不安が生じにくくなることで、回避行動の減少を促し、新たな行動パターンの確立が期待できます。
セロトニンとは、脳や腸で生成されるホルモンで、「幸せのホルモン」とも言われており、精神的な安定やストレスの抑制に効果があります。
このSSRIは、不安障害に対して有効性が高く、薬物療法の第一選択として処方されることが多いです。また、不安障害に併発することの多い、うつ病に対しても同時に治療できるというメリットもあります。
代表的なものは、
フルボキサミン
パロキセチン
セルトラリン
エスシタロプラム
などがあります。
服作用
他の薬に比較して服作用が少ないのが特徴ですが、眠気や不眠、吐き気や嘔吐、めまいなどがあります。
β(ベータ)遮断薬
不安障害による、倦怠感や動悸、息切れ、発汗や震えなどの症状を抑制する作用のある薬です。このような症状は、自律神経の交感神経が優位に働くことによって起こります。
β遮断薬は、この交感神経を刺激する「アドレナリン」の受容体である「β受容体」を遮断することで、活発になった交感神経の働きを抑え、自律神経のバランスを整えます。
代表的なものは、
インデラル
テノーミン
メインテート
セロケン
ハイパジール
などがあります。
副作用
めまいや立ちくらみ、吐き気や低血圧などの自律神経の症状が出ます。
まとめ
不安障害に対しての薬物療法には、たくさんの薬があります。
もちろん薬には様々な副作用がありますので、それぞれ症状にあった薬の選択と、用法・用量を医師の指示に従って使用して下さい。