起立性調節障害とは
起立性調節障害とは、自律神経失調症の一種で、Orthostatic Dysregulation略して「OD」と言われています。
思春期の中学生・高校生に起きやすい病気です。思春期の5~10%の子に発症し、決して軽視できるものではありません。
特徴的な症状は、「朝起きれない」ことが圧倒的に多いです。そのため不登校になりやすく、中退せざるを得ない状況になることもあります。
この起立性調節障害は重症化すると、うつ病や不安障害などの精神的な問題に発展することもある深刻な病気なのです。
起立性調節障害の症状は、
朝起きれない
立ち上がった時の立ちくらみ
これは、ほとんどの起立性調節障害に見られる症状です。
重症化すると、朝起こそうとして体をゆすっても起きれません。
- めまい
- 立ちくらみ
- 倦怠感
- 動悸
- 頭痛
- 腹痛
- 食欲低下
- 睡眠障害
- 失神
起立性調節障害は、自律神経の乱れによって、血圧を上手く調節できず、脳への血流量の低下により、このような症状が現れます。
4つのタイプ
健康な人でも朝起きた時は、一時的に血圧が下がりますが、95%は25秒で戻ります。
それを基準に起立試験を行い、血圧低下や心拍数の結果によって、4つのタイプに分類します。
- 起立直後性低血圧(INOH)
- 体位性頻脈症候群(POTS)
- 神経調節性失神(MMS)
- 遅延性起立性低血圧
起立直後性低血圧(INOH)
起立直後に血圧の低下が起こり、血圧の回復に25秒以上要するタイプです。
立ちくらみ、めまいなど、失神することもあります。
体位性頻脈症候群(POTS)
起立時に血圧の低下は起こらないが、心拍数が35以上増えるタイプです。
倦怠感、頭痛、ふらつきなどの症状があります。
迷走神経性失神(MMS)
起立中に突然血圧が低下し、意識消失などの発作が起きるタイプです。
顔面が蒼白、冷や汗、けいれん発作を起こすこともあります。
遅延性起立性低血圧
起立直後の血圧・心拍数は正常だが、起立後、3~10分後に、血圧が寝ている時の15%以上低下するタイプです。
動悸、冷や汗、気分の悪さなどの症状があります。
重症度の判定基準
小児心身医学会のガイドラインによる重症度の判定基準です。現在は、遅延性起立性低血圧の重症度の基準はありません。
起立直後性低血圧(INOH)
軽症・中等度
血圧が回復する
重症
起立後3~10分の血圧の低下がみられる
体位性頻脈症候群(POTS)
軽症・中等度
起立時心拍数が、115/分以上または、心拍数増加が35/分以上
重症
起立時心拍数が、125/分以上または、心拍数増加が45/分以上
迷走神経性失神(NMS)
軽症・中等度
起立直後性低血圧または体位性頻脈症候群を伴わない
重症
起立直後性低血圧または体位性頻脈症候群を伴う
症状や日常生活状況
軽症
症状は時々があるが、日常生活や学校生活への影響は少ない
中等度
午前中に症状が強く、日常生活や学校生活に支障があり、週に1、2回遅刻や欠席する
重症
強い症状のため、ほとんど毎日、日常生活や学校生活に支障をきたしている
まとめ
起立性調節障害は、タイプや重症度によって治療方針を決定します。
子供がどのタイプで軽度~重度のどれに相当するのかを見極めるためにも、しっかりと生活記録をとることをおすすめします。