パニック障害とは
パニック障害は、不安障害の一種です。パニック障害は突然以下の症状が起こります。
- 動悸
- 発汗
- 体や手足が震える
- 呼吸困難
- 胸の圧迫感・不快感
- 吐き気
- 腹痛
- めまい・ふらつき
- 自分自身ではないような感覚
- 気が狂う恐怖に襲われる
- 寒気・ほてり感
- 死ぬかもしれないと思う
こういった発作は数分~30分ほどで落ち着きますが、一度パニックを起こすと、また同じ場所や同じ状況になると再びパニックを起こすのではないか、という「予期不安」に襲われ、外に出るのが怖くなるなど、日常生活に支障をきたすようになります。
発作の頻度は、人によって異なり、1日に数回起こることもあれば、1ヵ月に1回起こるか起こらないかという人もいます。
パニック障害という病気だということを、周囲の人も認識しておくことが大切になります。
パニック障害の治療
パニック障害は、早期に適切な治療を受ければ早く改善する病気です。
特に、初めて発作が起こってから3ヵ月以内に適切な治療をすることで、早期の回復が高確率で期待できます。放置すると症状は悪化し、改善に時間がかかってしまいます。つまり、パニック障害は早期発見・早期治療が重要です。
ただ、どれくらいの治療期間がかかるかというのは治療してみないと分かりません。極端な例では、自分の状態が分かっただけで改善する場合もあります。それだけ精神的な不安が影響しているということです。
パニック障害を疑う場合は、内科などでは検査に異常は見つからないので、精神科や心療内科を受診する必要があります。
薬物療法
抗不安薬
抗不安薬は、「ベンゾジアゼピン系」といわれるタイプのもので、精神安定剤とも言われます。効果としては、神経伝達物質の一つであるGABAの働きを強めることで、興奮状態の神経を鎮めることができます。抗不安効果の他、寝つきが悪いなどの不眠の症状に対して、睡眠を誘発する効果や、緊張状態によって硬くなっている筋肉や身体をやわらげる効果や、抗痙攣効果もあります。
不安症状が強い場合には、SSRIと併用して服用し、短期間の使用が望ましいとされています。
抗うつ薬
抗うつ薬でも代表的なものが、SSRIという薬です。これはセロトニンの分泌を促進させることで、不安を生じにくくさせる効果があります。不安が生じにくくなることで、回避行動の減少を促し、新たな行動パターンの確立が期待できます。SSRIは効果が出るのに2週間はかかります。飲んですぐに効果がでるわけではありません。また再発予防のため、1年以上継続することが望ましいとされています。
セロトニンとは
セロトニンとは脳や腸で生成されるホルモンで、「幸せのホルモン」とも言われており、精神的な安定やストレスの抑制に効果があります。
このSSRIは、パニック障害に対して有効性が高く、他の薬に比較して服作用が少ないのが特徴です。また、パニック障害に併発することの多いうつ病に対しても同時に治療できるというメリットもあります。
認知行動療法
パニック障害に対して、不安や恐怖に対する間違った思い込みを、認知と行動で変えていくのが認知行動療法です。不安症状には、認知行動療法が有効との報告が多くみられるようになっています。
例えば、電車に乗っている時に発作が起こり、「このままでは死ぬのではないのか」と感じてしまいます。このような経験をすることで、「電車に乗ると発作が起こる」と思い込んでしまうのです。
このようなネガティブな思考パターンが、予期不安へと発展し、悪いサイクルとなってしまいます。
認知行動療法によって、今までの自分の考えや感じ方に対して、新しい認識と行動パターンを覚えさせていくことで、不安や恐怖に対してのセルフコントロールしていくことができ、症状の出る状況に対応できるようにしていきます。
①認知行動療法や病気を理解する
自分の病気について、発作や予期不安が起こるメカニズム的なところや、認知行動療法とはどういった治療法なのかというところを理解していきます。
②自分の状態を客観的に見て理解する
- 不安や発作の頻度・症状
- どういった状況で不安が強くなるのか・発作が起きるのか
- 自分が何に対して不安なのか
ということを理解していきます。
③自律訓練法
自律訓練法(6つの公式)
自律訓練法の効果としては、
- 疲労回復
- 血行促進
- 緊張の解消
- 抗ストレス効果
- 集中力アップ
- セルフコントロール力アップ
- 弛緩作用
- 精神の安定
などがあります。
方法
まず、静かな部屋で、リラックスできるBGMを静かに流します。
体を締めつけない服装で、ベルト・眼鏡・時計は外します。
基本姿勢は、仰向けに寝るか、椅子に座るかどちらかです。仰向けの場合は、自分の高さにあった枕を使用します。椅子の場合は、膝の上に手を乗せます。全身の力を抜き、頭を軽く前に倒します。
両腕は指、手首、肘は軽く曲げた状態で体につかないように横に置きます。両足は、軽く開いてつま先が外側を向くようにします。膝の下にクッションを入れても大丈夫です。
全身の力を抜いて、目を閉じます。
そのままの状態で、「気持ちが落ち着いている」と頭の中で繰り返します。自然に気持ちが落ち着いている感覚になることが重要です。気持ちが落ち着いたら次に進みます。
1 重感練習
両腕両足が重たいと感じる練習です。利き腕から始めます。
右利きの場合「気持ちが落ち着いている。右腕が重たい」と頭の中で繰り返します。
意識を右腕の指先から肩に集中させます。重たく感じることが重要です。重たく感じたら同時に反対の腕も重たい感じを感じます。
両腕が重たく感じれたら、「両腕が重たく右足も重たい」と同じように行い「両腕が重たく両足も重たい」と進みます。
2 温感練習
両腕両足が重たく感じたまま、「右腕が温かい」と頭の中で繰り返し、温かいことを感じます。同様に左腕、両足と行います。
3 心臓調整練習
心臓が静かに鼓動している
4 呼吸調整練習
楽に呼吸している
5 腹部温感練習
お腹が温かい
6 額涼感練習
額が心地よく涼しい
このように進めていきます。最初は2番目まででも十分効果があります。
まとめ
パニック障害は、早期発見で早期に適切な治療をすることで改善します。もし自分が、パニック障害かもしれないと思った場合は、すぐに精神科か心療内科を受診して下さい。