食事後の胃酸の逆流、胸やけ。そんな状態が続いていて、食事が楽しくなくなってきた。
げっぷがよく出て、口の中が酸っぱい感じがして、とてもつらい。
そんな逆流性食道炎は日常生活に支障をきたすことは少なくありません。
今回は、逆流性食道炎の原因の一つでもある食生活について。どんな食べ物が良くて、どんな食べ物がダメなのか?そういった内容をご紹介していきますので、是非日々の食生活の参考にしてみて下さい。
逆流性食道炎とは
逆流性食道炎とは、胃液が胃から食道へと逆流することによって、食道の粘膜に炎症が起こった状態です。
逆流性食道炎は、幅広い年代層にみられ、最近では食生活の変化に伴って、20~30代の方も増加傾向にあります。昔の日本は和食中心でしたが、高度成長期の頃から段々と食生活が欧米化され、脂肪分の多い食事を摂る若い人が増えていることもひとつのようです。
逆流性食道炎が重症化すると、手術の適応になることもありますので注意が必要な疾患です。
逆流性食道炎のメカニズム
横隔膜の下には胃があり、食道は横隔膜を貫いて胃へとつながっています。口の中から食べ物が入ると、食道を通って胃に入り十二指腸へと送られます。
食道と胃の境目には、下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)と言う筋肉があります。これは、弁の構造になっているので、食べ物や飲み物が胃に入るときは広がり、胃に入ったものが逆流してこないように閉じるという構造になってます。このように正常に下部食道括約筋が機能していると、食べ物や胃酸は逆流することはありません。
食道は、伸びたり縮んだりする「蠕動運動」によって、食べ物を胃に送り込んでいます。この蠕動運動によって、もし胃酸が食道の方へ逆流したとしても押し返してくれるのです。
しかし、こられの下部食道括約筋や蠕動運動が、何らかの要因によって機能低下を起こした場合、胃酸を含む胃の内容物が逆流してしまうのです。
胃には、食べた物を消化する胃酸が分泌されます。胃酸は、非常に強い酸で、食べ物を噛まずに飲み込んでもちゃんと消化できるくらい強力なのです。
当然、胃の粘膜は、胃酸に耐えられる機能がもともと備わっているのですが、食道は胃酸に耐える粘膜ではありません。そのため、胃酸が逆流してくることで、食道の粘膜に炎症や潰瘍が生じてしまうのです。
症状
逆流性食道炎になると出る症状は、
- 胸やけ
- 胸の痛み
- 吐き気
- 肩こり
- 背中の痛み
- 吞酸(喉の奥に胃酸がこみ上げる)
- 口の中が苦味や酸っぱい感じ
- 胃もたれ
- 飲み込みづらい
- 咳
- げっぷ
などがあり、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。
原因
逆流性食道炎の多くは、主に、下部食道括約筋の機能低下によって、胃と食道の間が閉まらなくなってしまうことが、逆流性食道炎の原因になります。
下部食道括約筋が機能低下を起こす要因となるものです。
- 食生活の乱れ
- ストレス
- 加齢
- 姿勢の悪さ
- 肥満
- 妊娠
- 食道裂孔ヘルニア
こういったことがきっかけとなって、下部食道括約筋が正常に機能しなくなってしまうのです。
その中でも、今回は「食生活の乱れ」に関して、詳しく説明していきますね。あなたもこれを機に、自分の食生活はどうなのか見直してみましょう。
食生活の見直し
食の欧米化
食生活の変化に伴って、逆流性食道炎の方は増加傾向にありますとお伝えしました。
和食中心の食事は、野菜も多く摂取することができ、栄養バランスの摂れた食生活を送ることができます。しかし、食生活の欧米化が進むにつれて、栄養のバランスの摂れた食事をすることが減ってきています。そうなることで、ハンバーガーやホットドッグなどのジャンクフードや脂っこく消化の悪い食べ物を摂取する頻度が増えて、必然的に胃への負担がかかるようになってきます。
こういったことが背景にあり、逆流性食道炎は年齢を問わず、若い世代の人々にも身近な存在になってきているのです。
食生活の欧米化は、やはり和食などの栄養や野菜の量を摂取することがなかなか難しいため、「便秘」で悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。
人間は食べる物で栄養を摂取し、身体を作っているので、「食生活は」とても大切な事なのです。
食生活のポイント
まず、食事の際のポイントとしては、食べ物や食べ方を見直しましょう。大食いや早食い、脂質やタンパク質を多く含む食べ物や、食物繊維を多く含むものは、消化不良の原因になります。
このようなことによって、胃の中に食べ物が長時間残りやすい状態になるので、胃が過活動を起こします。さらに、消化するのに時間がかかってしまうので、胃酸が過剰に出てしまい、胸やけの症状や、胃酸が逆流しやすい状態を起こしてしまいます。こういったことが日々の食生活習慣になっていると、下部食道括約筋の機能が低下して逆流性食道炎になってしまうのです。
- 大食い早食いはしない
- 寝る前に食べない
- 腹八分目にする
- よく噛んで食べる
- 食後は横にならない
- 消化の良いものを食べる
- アルコールの多飲は避ける
こういったことを心がけるようにして下さい。
当然ですが、寝る前に食べることはよくありません。食後すぐに横になると、胃の内容物が逆流しやすくなるので、なるべく胃の中に食べ物が入っていない状態で寝るようにした方が良いです。
また、暴飲暴食は避け、腹八分目を心がけましょう。食べる時は、よく噛んで食べる意識を持って下さい。よく噛むことで、唾液の分泌が増加し、消化しやすい状態で胃に入ります。よく噛まずに食べると、どんなものでも胃には負担がかかります。さらに、食べた物が逆流しないように、食後は、前かがみになるなどの腹圧が上がる姿勢に気をつけた方が良いです。
一度にたくさんの量を食べるのこともよくありませんが、食べる回数が増えすぎてもいけません。できるだけ間食などは避け、適度な量を摂取する事が大切です。逆流性食道炎の方は、胃酸の量が増えることが症状を引き起こす原因のひとつになるので、胃を充分に休ませてあげることが大切です。
逆流性食道炎に効果的な食べ物
逆流性食道炎の方に効果的な食べ物は、胃に優しく消化の良い物です。糖分や脂質、刺激物などが少ない食べ物で、咀嚼しやすいものがおすすめです。
- 脂肪分が少ない食べ物
- 刺激が少ない食べ物
- 消化の良い食べ物
具体的には、
- お粥
- うどん
- 鶏むね肉
- 鶏ささみ
- 白身魚
- 山芋
- 大根
- 白菜
- 豆腐
- 卵
- キャベツ
- りんご
- バナナ
- ホットミルク
- お白湯
このようなものがあります。
ご飯を食べるときは、お粥にして、大根や白菜、卵を入れて食べるのも良いでしょう。
タラ、鯛などの白身魚は、優良なタンパク質を含んでいますので、逆流性食道炎には効果的です。煮たり、蒸して調理すると良いでしょう。焼く場合は、油をできるだけ少なくして焼くようにしてください。
コレシストキニン
脂っこいものを食べて、胃の調子が悪くなったことは誰でも経験があるかと思います。脂質の多く含む物を摂取すると、コレシストキニンというホルモンが十二指腸より分泌されます。このホルモンは、下部食道括約筋の機能を低下させ、げっぷが出やすくする作用があります。
逆流性食道炎で控えた方がいい食べ物
逆流性食道炎の方が控えた方が良い食べ物は、刺激が強い物や、消化の悪い物です。
- 揚げ物
- 豚肉・牛肉
- 脂身
- ベーコン
- ソーセージ
- ケーキ
- チョコレート
- ラード
- ラーメン
- パスタ
- アルコール
- コーヒー
- 香辛料
脂質や油分の多い食べ物
揚げ物やステーキなどの脂質や油の多い食べ物は、消化に時間がかかり、多くの胃酸が分泌されます。長時間胃に食べ物が残ってしまうので、逆流しやすい状態になります。
どうしても肉類を食べたい場合は、煮たり、蒸したりすることで油分と脂肪分を減らすことができるので、肉類を食べるときは調理法にも注意して摂取した方が良いです。また、鶏肉は比較的低脂肪なので牛肉や豚肉よりも、鶏肉を食べる方が望ましいです。
ラーメンは、食の王様と言われるくらい多くの方が好きな食べ物です。たくさんの種類があり、お店をはじめ、コンビニやスーパーなどいたるところで販売されています。しかし、油をたくさん使用していることに気づきにくいものもあり、注意が必要です。
ベーコンやソーセージ、ハムなどの加工食肉も油や脂肪分が多く含まれています。
冷たい物
アイスや冷たい飲み物は、胃を冷やしてしまいます。胃が冷えることで、食べ物を消化する機能が低下し消化に時間がかかります。その結果、胃酸が過剰に分泌され、逆流するリスクが高くなってしまうのです。
アルコール
日々の生活習慣で、お酒をよく飲むという方は注意が必要です。アルコールを摂取することで、食道括約筋は機能低下を起こしますので、逆流性食道炎のリスクが高くなります。
刺激が強い物
コーヒーやアルコールも刺激が強いものの一つになりますが、辛い物、酸っぱい物、炭酸飲料水も刺激が強いため、逆流性食道炎のリスクとなります。
唐辛子はもちろんですが、豆板醤、ラー油、タバスコなどにカプサイシンが含まれています。 カプサイシンとは、唐辛子の辛みの主成分で、体内に取り込まれると、胃や下部食道括約筋が刺激を受けます。さらにカプサイシンは、脳内に運ばれ、内臓への神経にも刺激を与えてしまいまうので、逆流性食道炎の方は控えた方が良いです。
また、お酢や、柑橘系の飲み物、栄養ドリンクも刺激が強く、炭酸はげっぷが出やすいので、胃酸が逆流しやすくなります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?逆流性食道炎は食生活との関りが非常に深いです。普段自分が食べているものは大丈夫でしたか?食べる物ももちろんですが、食事の仕方や食後もとても大切なのです。
宴会シーズンなどは、外食で暴飲暴食になりがちで、「今日ぐらい大丈夫かな」と思ってしまう気持ちも分かりますが、その習慣や積み重ねが、結果的に逆流性食道炎のリスクを高めてしまうのです。
今回お伝えしたように、消化の悪い食べ物はできるだけ避けて、消化の良い食べ物を食べる習慣を身につけていきましょう。