夜布団に入ると考え事をしてしまい、目がさえてなかなか寝れない。やっと寝れても、2~3時間で目が覚める。
重要な仕事を任されてからすごいプレッシャーを感じて寝れなくなってきた。しかも、仕事中の思考力が以前より明らかに低下している。
8時間十分寝たつもりなのに、熟睡感が全くなく、朝起きてもすごく眠たい。運転中も眠気に襲われ、注意力が散漫になって怖い。
という経験はありませんか?
もしあなたがこのような経験をしているのであれば、それは「不眠症」かもしれません。
今回は、不眠症とストレスの関係性についてご紹介しますので、是非参考にしてみてください。
睡眠とは
人生の1/3もの時間を占める睡眠。90歳まで生きるとしたら、30年間分は睡眠なのです。こう考えると、時間の無駄と思うかもしれませんが、逆にこれだけ睡眠は大切だということです。
睡眠の効果としては、エネルギーの節約、疲労回復、記憶の定着などがあり、私たちが生きていく中で、健康を維持していく上でとても重要なものなのです。
しっかり睡眠がとれないと、生活習慣病をはじめ、様々な不調を引き起こし、最悪の場合は死に至ることもあります。この睡眠が障害される状態を「睡眠障害」といい、睡眠障害の1つに「不眠症」があります。
不眠症とは
不眠症とは、十分な睡眠が取れず、日常生活や心身に何らかの支障をきたしている状態です。具体的には、寝ようとしているのに寝れなくなったり、十分時間があるのに思うように睡眠がとれなくなったなどです。そのため、十分に眠った感じがしない、日中の眠気、思考力の低下、注意力の欠如、疲労感などの身体の不調が起こり、生活に悪影響を及ぼしてしまう状態です。また、イライラしたり情緒不安定など、精神的にも不安定になることもあります。
多忙によって睡眠が十分にとれず、朝起きても眠たいというのは、ただ単に寝る暇がないだけです。このような場合は、時間が確保できれば十分に睡眠ができるので、これは不眠症とは言わず、「睡眠不足」ということになります。
厚労省の調査結果によると、5人に1人が、自分は不眠がちだと感じており、10人に1人は、長期間不眠に悩まされており、3人に1人は、過去に不眠で悩んだことがある、と報告されています。
何時間以下の睡眠が不眠症になるのかではなく、本人が十分に睡眠ができていないと感じ、日常生活に支障が出て困っているなら、それは不眠症と判断されます。
熟睡感は深いノンレム睡眠の量と関係する
睡眠の状態は、身体の活動状態によって2つのパターンがあります。
- レム睡眠
- ノンレム睡眠
レム睡眠
レム睡眠は、眠りは浅く脳が起きている状態です。夢を見ている時の睡眠状態です。脳が起きている状態なので、眼球の動きが見られます。眠りが浅いため、音や光など、ちょっとした外部の環境でも目覚めやすくなります。
ノンレム睡眠
ノンレム睡眠は、眠りが深く、脳も休んでいる状態です。自律神経の副交感神経が優位になり、体はリラックス状態になっています。体の疲れや脳の疲れを解消するのは、ノンレム睡眠中なので、この睡眠が大切なのです。
レム睡眠とノンレム睡眠は、1時間半のサイクルで交互に起こります。睡眠してからの3時間の間に、深いノンレム睡眠が出現します。この時間帯のノンレム睡眠が増えることで、しっかりと睡眠ができ、熟睡感が得られます。これが睡眠の質を上げるということです。
不眠症の4つのタイプ
①入眠障害
入眠障害とは、寝ようと思っていても、なかなか睡眠できない状態です。入眠するまで30分~1時間かかり、長い人の場合では、2時間以上かかるケースもあります。しかし、一度寝ることができれば、朝まで覚醒することはほとんどありません。
原因
布団に入ると考え事をしてしまう
自律神経の乱れ
生活習慣の乱れ
睡眠前のカフェイン摂取
体が疲れていない(運動不足)
②熟眠障害
熟眠障害とは、睡眠時間は十分に取れているはずなのに、熟睡した感じがせず、体の疲れがなかなか取れず、眠気が続く状態です。これは、ノンレム睡眠が短いということです。
熟眠障害は、他の不眠症のタイプと比べても自覚しにくいので、不眠症と気づきにくいことが多いです。直近一か月の間で、睡眠での問題に対して20%以上が「熟睡できていない感じがする」ということでした。
原因
睡眠時の環境が悪い
自律神経の乱れ
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
③途中覚醒
途中覚醒とは、眠っている途中に何度も目が覚めてしまい、その後再び眠れなくなることです。途中覚醒が起こるタイミングは眠りについてから、3時間後か4時間半後です。これはレム睡眠とノンレム睡眠のサイクルによって、眠りの浅いレム睡眠が1時間半ごとに起こるからです。
途中覚醒する人でも、昼間に眠たくもならず、生活に支障がない場合は特に問題ありません。例えば、高齢者の方は若い時と比べると、眠りが浅くなりやすいため、中途覚醒が多くなります。しかし、生活に支障が出ることはほとんどありません。これは、加齢によって生じている生理的な状態なので、あまり気にする必要はないです。
原因
自律神経の乱れ
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
寝酒の習慣
体が疲れていない(運動不足)
④早朝覚醒
早朝覚醒とは、自分が起きたい時間よりも1~2時間ほど前に目が覚めてしまうことです。朝6時に起きたいのに、4時とか5時に目が覚めてしまいその後再び眠れなくなるものを言います。夜9時に寝て4時とか5時に目が覚めても、日中眠たくならず、生活に支障をきたすことがない場合は、特に問題はありません。
原因
加齢によるもの
自律神経の乱れ
不眠症の原因
不眠症の4つのタイプ全ての原因にもなっているのは、自律神経の乱れです。自律神経が乱れる原因としてはいくつかありますが、特に多いのは、ストレスです。現代社会はストレス社会と言われるほど、ほとんどの人が何かしらのストレスを抱えているのです。このストレスによって自律神経は正常な働きが阻害されてしまうのです。
ストレス
ストレスには様々な種類があります。一時的なストレスはあまり不眠には影響せず、慢性的なストレスが問題となることがほとんどです。
私たちが受けるストレスは、
暑さ・寒さ・気候・騒音などの物理的、環境的なストレス
細菌・ウイルス・黄砂・花粉などの生物的ストレス
病気・怪我・疲労・姿勢などの身体的ストレス
人間関係・死別・別れ・仕事・恐怖・不安・失敗・挫折・落ち込みなどの精神的ストレス
など様々です。この中でも、特に不眠に影響しやすいのは、精神的ストレスです。
精神生理性不眠症
- 仕事での責任やプレッシャーがあり、ずっと仕事のことを考えていて体が常に緊張している
- リストラされて、今後の人生の不安が頭から離れない
- 悩み事があって、すぐイライラして興奮してしまう
このような、精神的なストレスが慢性化することによって、不眠症になります。このような不眠症のことを「精神生理性不眠症」と言います。
自律神経とは
神経は脳から出た指令や情報を各臓器や末端の組織に伝達したり、逆に、身体からの情報を脳に伝えたりする働きをしてます。
神経系は、その働きから、意識的に動かすことのできる体性神経と、無意識化で脳が必要に応じて指令を出して働く自律神経とに大きく分けられます。
自律神経は、代謝・循環・消化・発汗・心拍・排尿・排便などの機能をコントロールしており、生命維持のための重要な役割を担っています。自律神経は、私たちが意識してもコントロールできないもので、常に無意識の中で身体が正常に働くように機能しているのです。
呼吸を毎回意識してしている人はいません。そんな呼吸や、スポーツの時に心拍数を上げて汗をかくのもすべて自律神経のおかげなのです。
自律神経は、
- 交感神経
- 副交感神経
の2つに分かれます。
交感神経
交感神経が働くと、血管収縮、血圧上昇、心拍促進、瞳孔散大、消化抑制など、身体が活動しやすい状態にしてくれます。
スポーツや仕事など、興奮や緊張状態にある時、また疲労やストレスを感じている時などでも交感神経が優位に働きます。
副交感神経
副交感神経は、血管拡張、血圧降下、心拍緩徐、瞳孔収縮、消化促進など、活動的な時に働く交感神経とは逆に、身体がリラックスしているときに働きます。
食事をしている時、お風呂に入っている時、睡眠中などは副交感神経が優位に働きます。
自律神経は、基本的に日中は交感神経が優位に働き、夜間は副交感神経優位に働き、日々の生きているうえで、この交感神経と副交感神経がバランスよく働くことにより、私たちの身体は正常に機能しているのです。
自律神経と不眠の関係
慢性的なストレスが溜まることで、自律神経はバランスを崩し、交感神経が優位に活動します。本来は、交感神経と副交感神経がバランスよく作用するのですが、ストレスによって、交感神経が活動的になり過ぎて、副交感神経が活動しにくくなります。
夜寝る前になると、交感神経の活動が低下して、副交感神経が優位に活動するため眠たくなるのです。交感神経が興奮状態で、副交感神経が活動しにくくなると寝れなくなってしまうのです。この状態が長期間続くと、不眠になり、少し寝れたとしても、体や脳が休憩できてない状態になってしまいます。
睡眠の効果は、エネルギーの節約、疲労回復などです。精神的な安定やストレスの排除などにも効果があります。睡眠がとれないことで、さらに自律神経が乱れ、寝れないということ自体がストレスになってしまい、悪循環になってしまうのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?ストレスが溜まって慢性化すると不眠症になってしまうのです。最初にもお伝えしましたが、睡眠は私たちが生きていくうえでもとても重要なものです。その睡眠が障害されることは、とても悲惨な状態なのです。ストレスとは上手に付き合い、定期的に発散することが大切です。
当院では自律神経の調整を行っていますので、不眠症でお困りの方は一度ご相談下さいね。