最近は、なんだか疲れやすく肩がこっているような感じがする。
食欲がなく夜もなかなか寝付けず、朝起きても身体が怠い。
電車に乗った時に、特に暑くはなく周りは涼しそうな顔をしているのに、自分だけ汗をかいている。
すぐイライラして、情緒不安定な気がする。
このようなことはありませんか?もし、このような症状が出てきているのなら、自律神経失調症の可能性があります。
今回は、自律神経失調症の症状についてご紹介しますので、参考にしてみて下さい。
自律神経とは
自律神経失調症について理解する為に、まずは、自律神経とはどんなものなのかを理解しましょう。
脳から出た指令や情報を、各臓器や末端の組織に伝達したり、逆に、身体からの情報を脳に伝えたりする働きをするのが神経です。脳と各組織をつなげるネットワークです。
人間の神経系は、意識的に動かすことのできる体性神経と、無意識化で指令を出す自律神経に分けられます。
自律神経は、私たちの身体を24時間常にコントロールしています。自律神経は、代謝・循環・消化・発汗・心拍・排尿・排便などの機能を正常に保つようにコントロールしている神経です。
例えば、呼吸です。呼吸は毎回意識してしません。起きてる時も寝てる時も絶えず呼吸をしています。これは自律神経の働きによってコントロールしてされているためです。他には、胃腸での消化、吸収です。これも意識してできることではありません。外気温が熱くなれば、汗をかいて体温を調節します。これらは全て自律神経の働きによるもので、生きていくのに必要不可欠な神経なのです。
自律神経は、交感神経と副交感神経に分けられます。
交感神経
交感神経が活発になる時は、スポーツをしている時や、仕事中など、興奮状態や緊張状態にある時、または、怒られたときも交感神経が活発に働きます。つまり、体を活動しやすい状態にしてくれています。
交感神経による各器官での働きです。
心臓・・・心拍の促進
気管・・・拡張
肺・・・呼吸の促進
血管・・・収縮
胃腸・・・消化の抑制
肝臓・・・糖分の分解
瞳孔・・・散大
唾液腺・・・唾液分泌減少
膀胱・・・弛緩して尿を貯める
汗腺・・・発汗の促進
などです。
身体を動かすには、頭で考えて、筋肉を動かします。脳も筋肉も働くには、血液が運んでくる糖や酸素が必要になります。なので、交感神経が活発に働いて、血液で糖や酸素をたくさん運べるように、血管を収縮して、血圧を上げ、心臓の動きを早くするのです。
大勢の前でのプレゼンなど、緊張した時に口の中が乾くのも交感神経が活発になっているためです。
副交感神経
副交感神経が活発になる時は、主にリラックス状態にある時です。食事の時や休息時、睡眠時やお風呂に入っている時などです。
副交感神経による各器官での働きです。
心臓・・・心拍の抑制
気管・・・収縮
肺・・・呼吸の抑制
血管・・・拡張
胃腸・・・消化の促進
肝臓・・・糖分の合成
瞳孔・・・縮小
唾液腺・・・唾液分泌増加
膀胱・・・収縮して尿を出す
汗腺・・・作用しない
などです。
睡眠時は、副交感神経が活発になることで、血管を拡張させて、心拍を抑制し、血圧を下げることで、ゆっくりと血液を循環させます。また、食べた物の胃や腸での消化、吸収を促進しているのです。
基本的には、これらの神経は、日中は交感神経が優位で、夜間は副交感神経が優位となります。日々の生活で、交感神経と副交感神経がバランスよく働くことにより、私たちの身体は正常に機能しているのです。
自律神経失調症とは
自律神経失調症とは、身体的ストレスや、精神的ストレス、生活習慣の乱れ、更年期の女性ホルモンのバランスの乱れなどによって、自律神経が正常に機能せず、交感神経と副交感神経のバランスが乱れてしまい、様々な不調が生じてしまうことです。自律神経のバランスが乱れることで、常に交感神経が活発に働いてしまっている状態です。
最近では、更年期を迎えた女性以外の中高年の男性や、若年者にも自律神経失調症が増えてきています。男性の場合は、ストレスの他、男性ホルモンの低下が原因となります。
自律神経失調症はストレスが原因になることが多いのですが、同じストレスでも、人によって受け方、感じ方が違うので、自律神経が乱れることは、その人の性格によっても違ってくるのです。
頭痛や肩こり、倦怠感やめまい、不安感や情緒不安定などの原因不明の症状をの訴えを、「不定愁訴」(ふていしゅうそ)と言います。このような場合は、病院で検査を受けても、原因が見つかりません。その結果、自律神経失調症と診断されます。
自律神経失調症の症状
自律神経失調症の症状はたくさんあります。一つだけの症状が強く出る場合もありますし、複数の症状がでることもあります。どんな症状が出るか、症状の出方は、人によって様々です。また、自律神経失調症は症状が変わりやすく、日によっても症状の強い日と症状のない日があり、日によって症状の程度が違ってくるのも特徴のひとつです。
身体的な症状
- 慢性的な疲労
- 倦怠感
- 微熱
- めまい・立ちくらみ
- 頭痛
- 動悸・息切れ
- ほてり
- 暑くないのに汗をかく
- 吐き気
- 便秘・下痢
- 腹痛
- 耳鳴り
- 幻聴・幻覚
- 肩こり・腰痛
- 手足のしびれ
- 不眠・過眠
- 食欲の低下・過食
- 口やのどの不快感
- 頻尿・残尿感
- 血圧の変動が激しい
- 性機能の低下
精神的な症状
- やる気が出ない
- 集中力がなくなる
- 情緒不安定
- 人間不信
- 不安感
- 被害妄想
- 疎外感
- 落ち込みが激しい
- ゆううつになる
- 感情の起伏が激しい
- あせりを感じる
- 涙もろくなる
女性特有の症状
- 月経不順
このように様々な症状が出てきます。病院に行っても検査では異常が見つからないので、周囲の人からは軽く思われがちですが、当の本人は、症状やそういった周囲の理解などがさらにストレスとなって、かなり辛いのが現状です。
めまい・ふらつき・倦怠感・不安感・頭痛の症状のある症例
32歳の女性で、7年前から、めまいとふらつきが出てきた症例です。
この方は、めまいが主で、ふらつきもあります。そして徐々に、頭痛や倦怠感、不安感が強くなってきました。日によって症状の程度が全然違い、常にふらつきやめまいがあり、特に起床時には10分くらいめまいに襲われ布団から出ることができないくらいでした。かと思えば、調子のいい時は、全然めまいもなく普通に過ごせているのです。調子の悪い時は、全身の倦怠感がひどく、横になっていても、めまいがあり、外出はできるだけ控えていました。
このような症状が出てから、自分は何の病気なのかとても不安になり、病院でめまいの検査を含めたくさんの検査をしても特に異常がないということで、自律神経失調症と診断を受けました。
その後は、いろんな心療内科を受診し、ようやく自分に合う病院を見つけられました。そこで処方される薬や注射を打ってもらい、2年ほどで症状の改善がしてきましたが、良くなったと思ったら、また以前のような、めまいやふらつきが出てきました。このまま一生この状態が続くのかと不安でしたが、現在は、最初に比べると状態はかなり改善して、それに伴って、気持ち的にも楽になってきているという症例です。
自律神経失調症のタイプ
自律神経失調症には4つのタイプがあります。
- 本能性自律神経失調症
- 神経症型自律神経失調症
- 心身症型自律神経失調症
- 抑うつ型自律神経失調症
本能性自律神経失調症
もともと生まれつきに、自律神経機能の調節が上手くできない体質の方で、自律神経のバランスが乱れやすいタイプです。低血圧や、体力がない虚弱体質の方に多く見うけられ、全身の倦怠感が主な症状です。もともとの体質が問題なので、ストレスはあまり関係しないです。なので、自律神経失調症の症状が出ても、それほど重症にはならない事が多いです。
このタイプは、食事や運動、睡眠などの生活習慣を変えることで体質を改善することが大切です。また、アレルギー体質や、乗り物酔いをしやすい人などが発症しやすいという特徴があります。
神経症型自律神経失調症
ストレスや心理的要因に影響を受けやすく、心配性、神経質なタイプです。体調の変化にとても敏感であり、ちょっとしたストレスでも不調になることが多いです。そして、症状が出ると、それが気になって不安になり、必要以上にストレスを感じてしまいます。それが悪循環してしまい、さらに症状が悪化したり、他の症状が出てきてしまいます。
心身症型自律神経失調症
日常的に何でも我慢してストレスを溜め込んだり、体に疲労が溜まることで発症するタイプです。自律神経失調症の中で一番多いタイプです。心身症型自律神経失調症は、真面目、几帳面、完璧主義、神経質の人が発症しやすい傾向があります。症状は、様々で人によって違います。