こんな経験はありますか?
台風が来たときは体が重たくなって頭が痛い。
もしかしたらその頭痛は、気圧が関係しているかもしれません。
今回は、低気圧による頭痛についてご紹介します。
低気圧の頭痛の特徴
低気圧の頭痛の特徴は、一般的な偏頭痛と同じような症状を呈します。
そのため、偏頭痛の原因の一つとして低気圧が含まれています。
20~30歳代の女性に多く、その理由としては、女性ホルモンの影響を受けるためです。女性ホルモンは自律神経にも作用しますので男性よりも女性の方が多くなっています。
ズキンズキンと脈打つような痛みが起こり、その痛みは、体や頭を動かすことで、頭に響いてさらに痛みが増すこともあります。また、光や音に過敏になったり、吐き気を伴うこともあります。
痛みは、だいたい数時間~数日くらい続くこともあり、人によって様々です。
頭痛が起こると鎮痛剤を服用する方も多いと思いますが、低気圧による頭痛は、この鎮痛剤が効かない場合もあります。
気圧が下がるとどうなるのか?
気圧とは?
そもそも気圧とは何なのでしょうか?気圧とは空気の圧力です。圧力が高いと高気圧、圧力が低いと低気圧です。
標高が高いほど気圧は下がります。例えば、イメージしやすいのが、高い山に登ると、お菓子の袋が膨らむことは何となくお分かりでしょうか?あれは、気圧が下がることで、袋の中の気圧が外の気圧より高くなるので膨らむのです。人間の身体も同じように、頭の中の内圧と外の気圧とで変化が起こり、症状として現れるのです。
低気圧になる時期は?
6月から7月の梅雨の時期や、台風が多い夏の終わりから秋にかけて、春や秋も低気圧が定期的に通過します。そのため頭痛の症状を訴える方がこの時期は多くなります。
低気圧の頭痛の原因
では、低気圧になるとなぜ頭痛が起こるのでしょうか?その原因を紹介します。
血管拡張
脳の中にはたくさんの血管があります。その血管の収縮に関わっているのが、「セロトニン」という神経伝達物質です。
気圧の変化によって脳に刺激が加わり、脳内にセロトニンが分泌されます。セロトニンの働きによって、血管、が急激に収縮します。
そして、セロトニンが分解されてくると、収縮していた血管が今度は急激に広がります。この時に、反動で血管が広がり過ぎてしまうことがあります。すると、広がり過ぎた血管が神経を圧迫します。この神経を三叉神経と言います。圧迫された三叉神経は、その刺激によって、痛みの原因となる物質の「神経ペプチド」という物質を分泌します。
神経ペプチドが分泌されたことによって、血管の周囲に炎症が起こり頭痛が起こるのです。そして血液の流れる拍動に合わせて、刺激が伝わることにより、ズキズキとした脈打つような痛みが出てくるのです。要は、血管が広がり過ぎることで神経を圧迫して痛みが出るということです。
これを「三叉神経血管説」と言います。
自律神経
気圧の変化によって自律神経のバランスが変わります。
自律神経とは、体温調整や、心臓、内臓の働き、血管、血圧など無意識下で作用している神経です。その自律神経は、交感神経と副交感神経に分けられます。交感神経は、主に日中、活動的になっているときに優位になります。副交感神経は、食事や睡眠などリラックスしているときに優位になります。この二つの自律神経はお互いにバランスを取りながら、私たちの身体をコントロールしているのですが、気圧の変化などで自律神経のバランスが乱れると、頭痛に限らず、体が怠いなどの、体調不良の原因となってしまいます。
女性ホルモンの乱れ
女性に多い理由として女性ホルモンの影響を受けるためと紹介しました。女性ホルモンと自律神経は互いに影響を受けあっています。なので自律神経が乱れることで女性ホルモンも乱れてしまい、自律神経が乱れると女性ホルモンが乱れてしまうのです。このため、頭痛が起きると言われています。
しかし、女性特有の「月経関連偏頭痛」というものがあります。これは、毎月の月経に伴って起こる頭痛で、毎月の月経の2日前から3日目までに起こります。
女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンというホルモンがあります。このうちのエストロゲンの分泌は月経が始まる2日前~月経3日目まで減少し、その後、少しづつ分泌量は上昇します。そのため、月経時に起こる偏頭痛の時期と、エストロゲンの分泌が減少する時期がほぼ同時期なことから、偏頭痛はエストロゲンとの関係があると考えられています。エストロゲンの分泌が減少すると、脳内のセロトニンの分泌も減少するため、血管が拡張されて頭痛が起こるといわれてます。
低気圧で頭痛が起きていると思っていても、実は、このような月経関連偏頭痛かもしれません。
姿勢
姿勢が頭痛の原因になるの?と思われる方も多いでしょう。実は、慢性的な不良姿勢が背景にあることで、低気圧になったときに頭痛が起こると言われています。
一般的な不良姿勢は、猫背、頭が前に出てる、肩が内巻きなどです。このような状態が続くと、筋肉は硬くなり緊張してしまいます。そうすると、血流も悪くなり、全身の細胞への酸素や栄養の供給が不十分になってしまいます。特に肩や首の筋肉が硬く緊張することで、頭や脳への血流も悪くなってしまいます。というようなことが慢性的な不良姿勢ではみられるのです。
低気圧になると血圧が下がります。慢性的な不良姿勢で筋肉が硬く緊張している状態の体に、低気圧によって血圧が下がると余計に血行不良になってしまいます。これによって脳への血流が低下し、硬くなった筋肉が神経を圧迫して頭痛が起きると言われています。
酸素不足
低気圧時には酸素が薄くなります。そのため、体内や脳に酸素を取り入れる量が減ってしまい、頭痛が起きると言われています。眠気が出たりするのも酸素不足によるものです。
対処法は?
頭痛が出たときの対処法をご紹介していきますね。
深呼吸
深呼吸は非常に大切です。深呼吸をすることで、酸素不足になった体や脳に、酸素をたくさん取り込むことができます。。また、深呼吸には自律神経を整える働きもあります。頭痛が起きた時に限らず、日頃から深呼吸をすることは体にとってとても良いのです。
深呼吸をすると当然ながら肺が膨らみます。肺は左右にあり計24本の肋骨に囲まれています。その肋骨が硬くなると肺が広がりきらなくなってしまい、呼吸が浅くなってしまいます。実はこの肋骨が硬くなっている方が非常に多いのです。特に猫背や慢性的な不良姿勢の方はだいたい肋骨が硬く、呼吸が浅いです。
当院では、この肋骨に対してのアプローチや、自律神経の調整を行っています。
カフェイン
カフェインには、交感神経を活性させる作用があります。交感神経が活性すると、血管を収縮させ血液の流れが速くなり、血圧が上がります。
徹夜する時や、眠気防止にはコーヒーを飲む方は多いと思います。眠気がきたときは、リラックスの神経、つまり副交感神が優位になっています。なので、コーヒーを飲んで、交感神経を活性することで眠気を抑えているのです。
低気圧によって拡張した血管に対して、カフェインを摂取して、収縮を促すことで頭痛を軽減させるということです。
カフェインを含む飲み物です。
- 玉露
- コーヒー
- 紅茶
- ウーロン茶
- 緑茶
などがありますが、それぞれ商品によってカフェインの含有量が違ってきます。
安静
頭痛が起きた時は、部屋を暗くして静かな部屋で安静にすることが良いです。光や音に過敏になることも多く、頭痛を余計に悪化させることがあるので、できるだけ暗く静かな部屋で休みましょう。
鎮痛剤
低気圧による頭痛は、鎮痛剤が効かないこともあります。そんな時は、痛くなる前に飲んだり、酔い止めが効果があるという意見もあります。
冷やす
冷やすことによって拡張した血管を収縮させます。頭を冷やすのも良いですが、首やこめかみの血管は頭へとつながってますので、そういうところを冷やしてあげるもの効果的です。
低気圧が原因だと思ってたが、実は違うことが原因だった
頭痛が起こる原因はたくさんあります。
- ストレス
- 長時間の同一姿勢
- 女性ホルモン
- 睡眠不足
- 緊張からの解放
- アルコール
- 喫煙
- チラミン
- 枕が合っていない
などです。
例えば、ストレスが原因で頭痛が出たときに、たまたま雨の降る前だったりすると、低気圧が原因と思い込んでしまう方も実際にいます。
予防
日頃から生活習慣を見直して自律神経を整えましょう。軽い運動を取り入れる、睡眠をしっかりとる、朝太陽の光を浴びる、ストレス解消、食生活、喫煙、アルコールなど、生活習慣は現在のあなたの体を作り出しています。日頃からの生活習慣の見直しはとても大切です。
こんな症状が出たときは要注意
頭痛でも種類があり、以下のような症状が出た場合は、クモ膜下出血や脳出血、脳腫瘍の可能性があるので、すぐに専門医を受診して下さい。
激しい頭痛
「ハンマーで殴られたような激しい痛み」と訴える方が多いです。
嘔吐
ふらつき
視覚障害
物が二重に見えるなど
手足の麻痺
手や足が動かしづらい、力が入らないなど
言語障害
呂律が回らない、上手く喋れない
閃輝暗点
人によっては、偏頭痛の前兆として、突然、目の前にチカチカとした動く光が見え、しばらくの間、部分的にものが見えなくなるといったことが起こります。これを「閃輝暗点(せんきあんてん)」と呼びます。
この閃輝暗点が起きたら必ずしも危険という事ではありません。重要なのは閃輝暗点が起きた後に偏頭痛が起こらない時です。偏頭痛が起こらなければ重篤な病気が隠れているケースがあるのです。可能性として考えられるのは、脳梗塞や、脳腫瘍による血管の圧迫です。そのような場合は、脳神経外科や神経内科などの専門医を受診していください。
まとめ
いかかでしたでしょうか?低気圧による頭痛は、梅雨の時期や、台風、雨の降る前など、女性を中心に非常に多く見られます。しかし、本当の原因は低気圧ではなかったということもあります。命の危険を伴う頭痛もあります。自分の頭痛は何が原因で起きているのかというのを理解しておくことも大切ですね。