あなたは頭痛の経験はありますか?
頭痛がすると、仕事をするのも何をやるにも集中できませんよね?我慢しながらするのも辛いかと思います。
特に後頭部が痛いという経験はありませんか?
頭痛の中でも痛みが出る場所によって頭痛の種類や原因が変わってきます。
今回は「後頭部に痛みが出る頭痛」について解説していきます。
後頭部が痛む頭痛の種類
まずは、頭痛の中でも後頭部に痛みが出るものを紹介します。
- 偏頭痛
- 緊張型頭痛
- 後頭神経痛
- クモ膜下出血
- 髄膜炎
- 高血圧脳症
- 椎骨動脈解離
偏頭痛
偏頭痛は、80%が女性で、20~40歳代の年齢で多くなっています。
偏頭痛とは、頭の片側がズキンズキンと脈打つような痛みが起こり、吐き気を伴ったり、光や音に敏感になったりすることもあります。偏頭痛と言うと頭の片側というイメージがありますが、後頭部に出ることもあります。
偏頭痛は、体や頭を動かすことで、頭に響いてさらにひどくなるといったこともあるのです。
こんな辛い痛みは、だいたい数時間~3日くらい続くこともあり、人によって様々です。
前兆としては、あくび、めまい、イライラする、半身の脱力感やしびれ、言語障害など様々です。頭痛が起きた時は、光や音に敏感になっていることが多いため、静かな部屋で電気を消してじっとしていると楽になることもあるようです。
原因
偏頭痛の原因はまだ解明されていませんが、諸説ある中で「三叉神経血管説」が最も有力視されています。
三叉神経血管説とは、脳の血管が収縮した反動でこんどは逆に拡張し、三叉神経を圧迫することで頭痛が出ると言われています。
緊張型頭痛
頭痛の70%が緊張型頭痛と言われており、有病率は20~30%で最も多い頭痛です。
特徴としては、こめかみから頭全体を何かで締めつけられるような感じや、後頭部の鈍痛などの症状が出ます。偏頭痛のようなズキンズキンと脈を打つような痛みはありません。
徐々に頭痛を感じ始め、肩こりや首こりの症状があることが多く、めまいや全身のだるさなどを伴うこともあります。偏頭痛のように、頭を動かすと痛みが強くなるということはありません。
緊張型頭痛は偏頭痛に比べて長く持続することが多いです。人によって様々ですが、頭痛は30分で治まることもあれば、長いと1週間程続くこともあります。まれに、1カ月のうち半分以上続く場合もあります。
緊張型頭痛は国際頭痛学会分類に基づいて分類されます。
- 稀発反復性緊張型頭痛
- 頻発反復性緊張型頭痛
- 慢性緊張型頭痛
- 緊張型頭痛の疑い
反復性緊張型頭痛の一部は、慢性緊張型頭痛に移行する場合もあります。
稀発反復性緊張型頭痛
1ヵ月に1日未満(年間12日未満)の頻度で生じる頭痛
頻発反復性緊張型頭痛
1ヵ月に1日以上15日未満(年間12日以上180日未満)の頻度で生じる頭痛
慢性緊張型頭痛
1ヵ月に15日以上(年間180日以上)の頻度で生じる頭痛
緊張型頭痛の疑い
緊張型頭痛の診断基準を1つだけ満たさず、かつ偏頭痛でないもの
偏頭痛のと違い
偏頭痛は、血管拡張によって神経を圧迫しているので、頭を振ると痛みが出ますが、緊張型頭痛は、頭を振っても痛みは出ません。
原因
原因は、ストレスです。身体的ストレスと精神的ストレスです。
デスクワークなどの長時間の同一姿勢などで、肩や首の筋肉が硬くなって、脳への血管や神経を圧迫して頭痛が出ます。
精神的ストレスが溜まることでも、身体の筋肉が緊張状態になるために、頭痛が出てきます。
後頭神経痛
後頭神経痛は、頭皮のズキズキ・チクチクした痛みが出る頭痛で、表面的な痛みが出るのが特徴的です。痛みは、後頭部から頭頂部、後頭部から側頭部、首から耳の裏に出現します。両側性の場合もありますが片側のみに出る場合が多く、頭皮の感覚が鈍くなることもあります。
後頭神経は、
- 大後頭神経
- 小後頭神経
- 大耳介神経
に分けられ、それぞれの神経に沿って痛みが出現するので、痛みが出ている場所によってどの神経が障害を受けているのかを特定します。
分かりやすいのは、後頭部を押さえるとその神経に沿って痛みが出ることです。
この後頭神経痛は、偏頭痛や緊張型頭痛と間違いやすい頭痛です。
偏頭痛と緊張型頭痛との違い
・後頭神経痛
神経の圧迫によるものなので首や後頭部を押さえるとその神経に沿って痛みが出ます。
・偏頭痛
血管が関係しているのでズキズキとした脈を打つような痛みが出ますが、後頭神経痛ではこれは出ず、吐き気が伴うことや、光や音に過敏になることもありません。
・緊張型頭痛
緊張型頭痛も神経や血管が筋肉の圧迫によるものですが、首や後頭部を押さえても痛みは誘発されません。
原因
長時間の不良姿勢によって首から肩の筋肉が緊張し後頭神経を圧迫して頭痛が出ます。また、ストレスや気圧の変化によっても後頭神経痛が出てきます。
クモ膜下出血
クモ膜下出血とは、脳を覆う3層構造の硬膜、クモ膜、軟膜の中のクモ膜で血管が破れて出血することです。
クモ膜下出血は、脳動脈瘤の破裂、頭部の外傷によって発症します。
前兆として、1週間~1ヵ月前に、突然激しい頭痛が起こります。後頭部を「ハンマーで殴られたような痛み」と訴えることが多いですが、後頭部に限ることはありません。頭痛が出たときに嘔吐することもあり、脳動脈瘤の場所によっては、物が二重に見えたりなど視覚障害を伴います。
このクモ膜下出血の半分は死に至ります。死に至らなかったとしても30%の人は、手足の麻痺や言語障害、記憶障害の後遺症が残ります。
原因
- 高血圧(食生活)
- ヘビースモーカー
- 過度に飲酒の習慣のある人
- 身内で脳卒中になった人がいる人
クモ膜下出血や脳出血は、生命に関わるものなので、前兆や症状が現れたらすぐに病院を受診しましょう。
髄膜炎
髄膜炎とは、脊髄神経と脳を覆う髄膜という膜に、細菌やウイルスが入って炎症が起こることです。
症状は、風邪に似た、頭痛や発熱の症状が出ますが、初期は微熱しかでないことが多いのです。特徴的なのは、38度以上の高熱が出て、頭が割れるくらいの激しい頭痛や嘔吐を伴い、後頭部から首にかけて痛くなったり硬くなったりすると、下を向こうとしても向けなくなることです。
髄膜炎は恐ろしいことに進行が早く、進行すると、意識障害や痙攣を発症し、死亡に至る場合もあります。そのため、早期の治療が重要になるのですが、初期は微熱程度しか出ないことも多いので、病院に行っても風邪と診断されることがあるみたいです。
原因
無菌性(ウイルス性)髄膜炎
・エンテロウイルス
・アルボウウイルス
・ムンプスウイルス
・マイコプラズマ
などです。この中でもエンテロウイルスによるものが最も多く、これは子供に多い手足口病のウイルスです。手足口病後に発熱や頭痛、嘔吐が出たら髄膜炎の可能性があるので、病院を受診しましょう。
細菌性(化膿性)髄膜炎
・インフルエンザ菌(Hib)
・肺炎球菌
・黄色ブドウ球菌
・リステリア菌
などです。この中ではインフルエンザ菌によるものが最も多くなっています。
高血圧脳症
高血圧脳症とは、急激な血圧の上昇によって、頭蓋内圧が上がり、頭痛、意識障害、嘔吐、吐き気、視力障害、痙攣などを引き起こす疾患です。中には、呼吸困難や胸の痛みを訴えることもあります。
脳は身体の司令塔の役割をします。その脳には、血液によって酸素や栄養素がしっかりと供給されるように、脳の血圧は自動的に一定になるよう調整されています。
ところが、血圧が急上昇し一定以上の範囲を超えてしまうと、脳の血圧調整機能が低下し、脳へ負担がかかってしまいます。その結果、脳がむくみ(脳浮腫)が生じ、頭痛などの症状が出現します。これを放置すると脳出血や心不全などによって死に至る場合もあるので大変危険な疾患です。
原因
- 慢性的な高血圧
- 腎臓病
- 妊娠高血圧症候群
- クッシング症候群
- 膠原病(全身性エリテマトーデスなど)
- 薬物中毒
などがあげられます。
椎骨動脈解離
椎骨動脈とは、首の骨の中を左右に分かれて通っている血管で、脳に栄養を送っています。椎骨動脈解離とは、その椎骨動脈の血管の内側の膜が避けて解離し、そこに血液が流れ込んでしまうことです。そうなると、解離した側の後頭部や首の後面に、突然頭痛が出ます。
これは20~60歳代の男性に多くみられる疾患です。
血管が裂けた際の度合いが軽度であれば、頭痛も軽度の場合が多いですが、血管の裂ける度合いや場所によっては、激痛を訴える場合もあります。
脳梗塞・クモ膜下出血のリスク
解離した部分の血管に付いてる、血栓という固まりが剥がれて血管が詰まり、脳に血液を供給できなくなったりすると、「脳梗塞」を引き起こします。そうなると、手足の麻痺や言語障害などが出現します。
また、解離した部位がこぶ状にふくれて「解離性動脈瘤」を作り、それが破裂すると「クモ膜下出血」になります。椎骨動脈解離の約60%が、クモ膜下出血を合併すると言われています。椎骨動脈解離から脳梗塞やクモ膜下出血が合併するのは、頭痛が出てから数日後に発症する場合がほとんどです。軽い頭痛で早期に発見すれば問題なく回復しますが、発見が遅れると、死に至ることもあるので、早期の発見、早期の適切な治療が必要となります。
原因
椎骨動脈解離の原因ははっきりと分かっていない事もありますが、
- カイロプラクティックでの頚椎を捻って矯正する手技
- 首を良く動かすスポーツや動作(特に捻る動き)
- 頭部頚部への外傷
- 高血圧
- 遺伝的要因
などが考えられます。
危険なサイン
- 手足が思うように動かせない
- 呂律が回らない
- 物が二重に見える
- 頭痛が酷く嘔吐する
- 意識障害
頭痛に加えて、このような症状が出たときは重篤な疾患の可能性があるので、すぐに病院を受診して下さい。
まとめ
今回は後頭部に出る頭痛について説明しました。頭痛の経験は誰もが一度はしたことがあると思います。偏頭痛もちの方や、慢性的な緊張型頭痛の方は頭痛には慣れていることもあるかと思いますが、今回説明したように、命に関わるものや、後遺症が残るものもあるのが事実です。いつもと違う感じや、今回のブログのような症状が出た場合は、迷わずすぐに病院を受診して下さい。