ズキズキする。
たいていの人は頭痛を経験したことがあるかと思います。
なんと、日本の3000万人、つまり4人に1人は頭痛もちといわれています。
今回は、その頭痛に関して解説していきます。
頭痛の種類
頭痛は大きく分けて3種類あり、
- 偏頭痛
- 緊張型頭痛
- 群発頭痛
に分けられます。
危険な頭痛としては、
- クモ膜下出血
- 脳出血
- 脳腫瘍
などがあります。
偏頭痛
偏頭痛は、20~40歳代の年齢で多く、80%が女性です。
偏頭痛とは、頭の片側がズキンズキンと脈打つような痛みが起こり、光や音の敏感になったり、吐き気などを伴うこともあります。また、体や頭を動かすことで、頭に響いてさらにひどくなるといったこともあるのです。
こんな辛い痛みは、だいたい数時間~3日くらい続くこともあり、人によって様々です。
前兆としては、あくび、めまい、イライラする、半身の脱力感やしびれや言語障害など様々です。頭痛が起きた時は、光や音に敏感になっていることが多いため、静かな部屋で電気を消してじっとしていると楽になることもあるようです。
閃輝暗点(せんきあんてん)
人によっては、突然、目の前にチカチカとした動く光が見え、しばらくの間、部分的にものが見えなくなるといったことが起こります。これは閃輝暗点と呼ばれる症状で、偏頭痛の前兆として現れます。
閃輝暗点は約3割の人に見られます。そして、まれにですが脳梗塞の前兆としても起こることがあるので注意が必要です。
偏頭痛と脳梗塞とで見分けるポイントとしては、閃輝暗点が現れた後に偏頭痛が起こるか起こらないかで判断します。
偏頭痛が起こらなければ重篤な病気が隠れているケースがあるのです。可能性として考えられるのは、脳梗塞や、脳腫瘍による血管の圧迫です。そのような場合は脳神経外科や神経内科などの専門医を受診していください。
偏頭痛の原因
偏頭痛の原因はまだ解明されていません。ですが、諸説ある中で最も有力視されているものがあります。
それは「三叉神経血管説」です。
三叉神経血管説
私たちの目から入った視覚情報を認識しているのは、脳の後ろにある後頭葉という部分の視覚野というところです。
脳の中にはたくさんの血管があります。その血管の収縮に関わっているのが、セロトニンという神経伝達物質です。
脳に何らかの刺激が加わることで、セロトニンが大量に分泌され、血管を急激に収縮させてしまいます。
視覚情報を認識してる後頭葉の血管が収縮して血流量が減ると、視覚野の機能に影響が出てしまい、閃輝暗点の症状が引き起こされるというわけです。つまり閃輝暗点は脳の血流の障害によって引き起こされるのです。
そして、セロトニンが分解されてくると、収縮していた血管が今度は急激に広がります。この時に、反動で血管が広がり過ぎてしまうことがあります。
すると、広がり過ぎた血管が三叉神経を圧迫します。圧迫された三叉神経は、その刺激によって「痛みの原因となる物質」である神経ペプチドという物質を分泌します。
神経ペプチドが分泌されたことによって、血管の周囲に炎症が起こり偏頭痛が起こるのです。そして拍動に合わせて刺激が伝わることによりズキズキとした脈打つような痛みが出てくるわけです。
簡単に言うと、血管が広がり過ぎることで神経を圧迫して痛みが出るということです。
このように血管が収縮拡張する原因としては、
・ストレス
・睡眠不足
・女性ホルモンの低下
・騒音や強い光・きつい臭い
・天気・気候
・喫煙
・アルコール
などが代表的なものです。
緊張型頭痛
頭痛の70%が緊張型頭痛と言われており、有病率は20~30%で最も多い頭痛です。
特徴としては、こめかみから頭全体を何かで締めつけられるような感じの症状が出ます。
偏頭痛のようなズキンズキンと脈を打つような痛みはなく、後頭部の鈍痛や重たい感じと訴える人も多いです。徐々に頭痛を感じ始め、肩こりや首こりの症状があることが多く、めまいや全身のだるさなどを伴うこともあります。偏頭痛のように、頭を動かすと痛みが強くなるということはありません。
緊張型頭痛は偏頭痛に比べて長く持続することが多いです。人によって様々ですが、頭痛は30分で治まることもあれば、長いと1週間程続くこともあります。まれに、1カ月のうち半分以上続く場合もあります。
緊張型頭痛は国際頭痛学会分類に基づいて分類されます。
- 稀発反復性緊張型頭痛
- 頻発反復性緊張型頭痛
- 慢性緊張型頭痛
- 緊張型頭痛の疑い
反復性緊張型頭痛の一部は、慢性緊張型頭痛に移行する場合もあります。
稀発反復性緊張型頭痛
1ヵ月に1日未満(年間12日未満)の頻度で生じる頭痛
頻発反復性緊張型頭痛
1ヵ月に1日以上15日未満(年間12日以上180日未満)の頻度で生じる頭痛
慢性緊張型頭痛
1ヵ月に15日以上(年間180日以上)の頻度で生じる頭痛
緊張型頭痛の疑い
緊張型頭痛の診断基準を1つだけ満たさず、かつ偏頭痛でないもの
緊張型頭痛の原因
緊張型頭痛の原因はストレスです。ストレスの中でも、身体的ストレスと精神的ストレスが関係してきます。
身体的ストレス
・長時間の同一姿勢
・噛み合わせが悪い
・睡眠不足
・運動不足
・合わない枕
などが代表的です。長時間の同一姿勢は、デスクワークや車の運転など、仕事によって変わってきます。身体的ストレスによって肩や首の筋肉に負担がかかることが原因となります。このような状態が続くと、肩や首の筋肉が緊張して硬くなり、疲労物質が溜まって神経を刺激したり、脳への血流も悪くなって頭痛が発症してしまうのです。
精神的ストレス
・人間関係
・仕事関係
・学校関係
・家庭関係
などです。精神的ストレスが溜まると、交感神経が優位になるので筋肉が常に緊張状態になってしまいます。そして肩や首の筋肉が硬くなり頭痛に発展してしまうのです。
精神的ストレスを受けやすい4つのタイプの性格です。
①真面目、神経質タイプ
②感情抑制して人に合わせるタイプ
③妥協しらずの完璧主義タイプ
④マイナス思考で内向的
群発頭痛
群発頭痛とは、簡単に言えばとんでもない激痛です。あまりの痛さに壁に頭を打ち付けたり、失神してしまうこともあり、中には自殺する人もいるほど強い痛みを伴います。
この群発頭痛は、痛みは片側に起こり「目の奥がえぐられるような痛み」「刺されるような痛み」「頭を金槌で叩かれるような痛み」などと表現されることが多いです。
群発頭痛は、20~40歳代の男性に多く、1000人に1人の割合と言われています。
発作中には、痛みのある側の涙や鼻水が出たり、目の充血を伴う事も多く、アルコールの摂取によって発作が誘発されることもあります。頭痛は、ほぼ毎日同じ時間帯、特に夜中~朝方にかけて発症することが多く、30分~2時間ほど続きます。いったん痛みが出ると1~2ヵ月痛みが続き、この時期を「群発期」といいます。この群発期は1年に1回、ある時期になると発症します。
人によって様々ですが、1回の発作が数時間の人もいれば、1日に数回出る人、数ヵ月間持続する人、1年に数回の群発期が出ることもあります。群発期を過ぎると、自然に頭痛がなくなる寛解期になります。
比較的認知度は低いです。
群発頭痛の原因
群発頭痛の原因はいまだ解明されていません。
しかし、偏頭痛の治療薬であるトリプタンが効果があるということから、偏頭痛と同様に、三叉神経血管説が有力視されています。
また、睡眠時に多く発症することから、視床下部や松果体などの体内時計との関係も指摘されています。最近の研究では、群発頭痛の発作時にPET検査を行い、群発頭痛でない人と比べると、後視床下部灰白質の活性化が生じ、細胞密度が高いことから、視床下部が群発頭痛の原因になっている可能性があると言われています。
クモ膜下出血
クモ膜下出血とは、脳を覆う3層構造の硬膜、クモ膜、軟膜の中のクモ膜で血管が破れて出血することです。
クモ膜下出血は、脳動脈瘤の破裂、頭部の外傷によって発症します。
前兆として、1週間~1ヵ月前に、突然激しい頭痛が起こります。後頭部を「ハンマーで殴られたような痛み」と訴えることが多いですが、後頭部に限ることはありません。頭痛が出たときに嘔吐することもあり、脳動脈瘤の場所によっては、物が二重に見えたりなど視覚障害を伴います。
このクモ膜下出血の半分は死に至ります。死に至らなかったとしても30%の人は、手足の麻痺や言語障害、記憶障害の後遺症が残ります。
脳出血
脳出血は、クモ膜下出血と似たような症状を呈しますが、厳密には違います。脳出血は、脳内の血管が破裂して、脳の中に出血するものを脳出血といいます。くも膜下出血は、脳の中ではなく、脳を覆うクモ膜の血管が破裂して出血することです。
その出血した血液が固まって血腫を作り、大きくなった血腫が周囲の神経を圧迫して症状が出ます。症状は、クモ膜下出血と同じように、激しい頭痛、手足の麻痺、言語障害、視覚障害などが起こります。
クモ膜下出血・脳出血の原因
- 高血圧(食生活)
- ヘビースモーカー
- 過度に飲酒の習慣のある人
- 身内で脳卒中になった人がいる人
クモ膜下出血や脳出血は、生命に関わるものなので、前兆や症状が現れたらすぐに病院を受診しましょう。
脳腫瘍
脳腫瘍による頭痛は特徴的で、起床時の頭痛です。脳腫瘍の人の70%は頭痛が出ます。クモ膜下出血のように「ハンマーで殴られたような痛み」と訴える人もいます。また、めまいや嘔吐を伴う事が多く、嘔吐した後は、脳圧が一時的に下がるので、頭痛も緩和されることも特徴的です。
脳腫瘍も脳の病変なので、頭痛以外に手足の麻痺や、言語障害、視覚障害、ふらつきなどの症状が出ることもあります。
頭痛の出る人、出ない人がいますが、共通していることは日を追うごとに頭痛がひどくなっていくことです。
脳腫瘍の原因
脳腫瘍ができる原因は、解明されていません。
そんな中でも、遺伝的要因が考えられています。身内に脳腫瘍になったことのある人がいる場合は、罹患率が高くなると言われています。
直接の原因は解明されていませんが、脳腫瘍を進行させる要因になるものはあります。
- 喫煙
- ストレス
- 頭部への放射線照射
- 高たんぱく、高脂肪食品
などがあげられます。
脳腫瘍は1万人に1人の割合と言われており、乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層に起こるのが特徴です。
まとめ
一言に頭痛と言っても、命に関わるものから関わらないものまで様々です。脳は、私たちの身体の司令塔的な役割を担っているので、とても大切な場所なのです。いつもと違う頭痛を感じたり、少しでも気になったら病院を受診した方が良さそうですね。