不妊の原因は女性?男性?

医者 問診

「結婚して3年たちますが、まだ子供はいません」

そんなあなた。

不妊症の原因は何か知っていますか?

実は、不妊症の原因は女性だけではありません。男性にも原因があることも多いのです。

今回は、その不妊症の原因について詳しく説明していきます。

不妊症とは

一般的には、避妊せず通常の夫婦の性生活を送っていれば、だいたい結婚して半年で7割、1年で9割、2年で10割が妊娠するといわれています。

「不妊」とは、避妊をしないで夫婦の性生活を送っているにもかかわらず、1年たっても妊娠しないものをいいます。

基本的に、健康な男女が、その性周期に合わせて性行為を行った場合、妊娠する確率は約25%といわれいます。

その確率で1年たっても子供ができないとなると、何か問題があるのでは?と考えてしまいます。

これを踏まえて、3年たっても子供ができないのは完全な不妊症です。

ではなぜ妊娠しないのでしょうか?

不妊症の原因

不妊の割合は、カップル約10組に1組と言われており、20人に1人は不妊治療によってできた子供と言えます。

不妊の原因は様々で女性側、男性側、あるいはその両方の場合がありますが、何も原因がない場合もあります。

WHO(世界保健機関)が発表した不妊症原因の統計では、40%が女性側、25%が男性側、25%が女性男性両方、10%が原因不明となっています。

不妊症は病気ではありません。

不妊症と病気の違いは、一般の病気は、どこかが痛いとか、どこか腫れているとか、何か症状があって、それに従って検査をし、原因が判明することで診断がつき、診断に従って治療をします。

しかし、不妊症は、痛みも不快感もなく、検査でわかることはあまりに少ないため、原因の特定が難しいのです。

ですから、不妊症の原因に関しては、妊娠に至る過程の段階での何らかの障害があるもの想定します。

何かしらの原因があって、妊娠までの過程のどこかで障害が起きているのですが、今の医学では全て解明されていないのが現状です。

女性が原因のもの

e2434b12924bd954b2a36574b87a4e6e_lまず、女性側の原因になるものを紹介します。

排卵因子

これは、排卵が起こらないことです。

規則的な月経(生理)のある女性の場合は、月経の約2週間前に「排卵」が起こります。排卵とは卵巣から卵子を排出することです。

排卵が起こることで、女性ホルモンの分泌が変化し、このホルモンの作用によって、子宮内膜も妊娠に向けて準備をします。

そして、受精して妊娠すると、また別のホルモンが分泌されて、子宮で胎児を育てる環境が作られていくのですが、妊娠が成立しなければ子宮内膜は剥がれ落ちてしまいます。これが月経です。

極端な月経不順の場合は、月経時に出血があっても排卵を伴わないことがあります。

排卵がなければ卵子が排出されないので、妊娠は起こりません。

排卵障害の原因

その排卵が起こらない原因にはいくつかあります。

  • 視床下部や脳下垂体の機能低下

女性ホルモンの分泌に関わる、視床下部や脳下垂体と呼ばれるところの機能低下によって排卵が起こりにくくなります。

  • 多嚢胞性卵巣症候群

これは男性ホルモンの分泌が亢進する病気です。これは排卵が起こらない原因で最も多いです。

  • 早発卵巣不全(早発閉経)

通常は50歳前後で閉経を迎えますが、20代や30代で閉経を迎えることです。卵巣機能が極端に低下している状態で、不妊の原因になります。

その他、

  • ストレス
  • 極度の体重の増減
  • 激しいスポーツ

などでも排卵が起こりにくくなります。

排卵しているかどうかは、基礎体温を記録することで確認できます。

卵管因子

子宮の左右には、卵巣と子宮をつなぐ卵管があります。卵巣から排卵された卵子は卵管を通って子宮までたどり着くのですが、そこで卵子と精子が出会って受精します。つまり、生命誕生の場所なのです。

直径は細いところで1mm未満しかありません。

その卵管が詰まっていたり、癒着していたり、炎症をおこしていると、卵子と精子は出会うことができません。なんとか出会って受精したとしても、その受精卵が子宮まで行けなくなるので妊娠はできません。

卵管障害の原因

この卵管障害の原因となるのが、子宮内膜症やクラミジア感染症です。

  • 子宮内膜症

子宮内膜症とは、卵巣や卵管など、本来あるべき子宮の内側以外の場所で、増殖を繰り返し痛みや炎症を引き起こすものです。

月経時の痛みが強い人の場合は、この子宮内膜症の疑いがあります。子宮内膜症によって、卵管周囲の癒着や卵管が詰まってしまうことがあります。

  • クラミジア感染症

卵管障害の原因で最も多いのが、クラミジア感染症です。

クラミジア感染症とは、子宮頸管炎、子宮内膜炎、卵管炎などを発症します。クラミジアに感染しても女性の場合は初期は無症状のことが多く、感染に気づかないことがあります。気づいた時には卵管が詰まっていたということもあります。

子宮因子

受精卵が卵管を通り、細胞分裂を繰り返しながら子宮の内膜にくっついて、母体からの栄養や酸素を受け取ります。この子宮内膜にくっつくことを「着床」と言います。

この子宮に異常があると、着床に適した状態になっておらず、受精卵が子宮内膜に着床できないことによって不妊の原因となります。

着床障害の原因

  • 子宮筋腫

子宮筋腫のなかでも、子宮の内側へ隆起する粘膜下筋腫は、受精卵の着床障害だけでなく、精子が卵子に到達するのを妨げて妊娠しにくくなる原因にもなります。

  • 子宮奇形

子宮奇形とは、生まれつき子宮が変形している状態です。子宮ができる過程で、子宮の中に中隔という壁が残った「中隔子宮」が、不妊や流産の原因になりやすいと言われています。

  • アッシャーマン症候群

アッシャーマン症候群とは、子宮内腔が癒着してしまった状態で、無月経や月経量が減少します。これは人工中絶や流産、月経困難症が原因で、子宮内膜が傷つき癒着を起こしてしまいます。

  • 子宮内膜症
  • 子宮内膜ポリープ

などがあります。

頸管因子

子宮頸管は子宮の出口で、子宮と膣をつなぐ筒のような部分です。

妊娠が成立するためには、精子が子宮頸管を通って子宮内に到達する必要があります。そのため、排卵が近づくと子宮頸部の内部を満たす粘液が分泌され、精子を通しやすい状態に変化します。

子宮頸管障害の原因

  • 子宮の奇形
  • 子宮頸部の手術
  • 子宮頸部の炎症

などがあります。

これらによって、子宮頸管の粘液の分泌量が少なくなったり、精子が通るのに適していないと、精子は子宮内に侵入しにくくなり、妊娠が起きにくくなります。

免疫因子

病原菌やウイルスなどが体内に侵入すると、抗体を作って攻撃し、発病を抑える抵抗力を「免疫」と言います。

その免疫異常によって、精子を攻撃してしまい妊娠しにくくなることがあります。

この抗体は、「抗精子抗体」と呼び、男性側にある場合と、女性側にある場合があります。

抗精子抗体

女性側にある場合、子宮頸管や卵管の中で抗精子抗体が分泌されると、精子の運動性が失われ、卵子に到達できず、妊娠が起こりません。

抗精子抗体が頸管粘液内に分泌されると、運動性の良い精子でも通過を妨げられてしまいます。

また卵管内に分泌されると、人工授精で精子を子宮腔の奥まで注入しても、卵管内でその通過が妨げられてしまいます。

受精の場面でも、精子が卵子と結合することを妨害し、不妊症になることがあります。

原因不明不妊

不妊症の検査を行っても、どこにも悪いところがなく、原因が分からない場合を、「原因不明不妊」もしくは「機能性不妊」と呼んでいます。

原因不明不妊は不妊症の1/3を占めるといわれていますが、本当に原因がないわけではなく、病院によって検査内容が違うため、このようなことになるのです。

実際に「腹腔鏡検査」を含めた精密検査をすれば、原因不明不妊は10%程度、もしくはそれ以下になると考えられています。

原因不明不妊で考えられる要因はあります。

その要因のひとつは、何らかの原因で精子と卵子が体内で受精していない場合で、人工授精や体外受精治療の適応となります。

もう一つの要因は、精子あるいは卵子そのものの機能が低下している場合です。

加齢などがこの原因となると考えられており、その一つの証拠として原因不明不妊は夫婦の年齢が上昇すると一般に割合が高くなることが報告されています。

男性が原因のもの

次は、男性側の原因になるものを紹介します。

男性の不妊の原因には、先天性のものと後天性のものがあります。

  • 先天性

遺伝などにより生まれつき生殖機能に障害があることや、発育段階で性機能が低下してしまうことがあります。

  • 後天性

ストレス、アルコール、喫煙、肥満・糖尿病、病気や薬の影響、精巣の損傷もしくは機能障害、など様々なものが考えられます。

その中で、

  • 造精機能障害
  • 性機能障害

に分けられ、男性不妊の原因の約90%が造精機能障害です。

精子をつくり出す機能自体に問題があり、精子をうまくつくれない状態です。

一度の射精で精子の数は1億から4億とされております。そのうち卵子に出会えるのはたったの1つです。
射精した精子は、99%が子宮の前で死滅し、子宮には数十万以下となります。さらに卵子の周囲まで到達できるのは数百以下とされています。
そのため精子の数が少なかったり、運動性に乏しい場合は卵管に到達する精子が減り、妊娠しない原因となります。

代表的な原因を紹介します。

乏精子症

精液の中に精子はいるけれど、その数が少ないという状態です。

正常値は、1ccあたり6000~8000万以上と言われてます。5000万以下の場合は軽度、1000万以下の場合は中等度、そして100万以下の場合は重症と分けられます。

無精子症

精液中に精子がない状態です。

無精子症には、精子があってもその通路がふさがっている閉塞性と、精子そのものが作られていない非閉塞性があります。

精子無力症

精子の数は正常にあるけれど、元気な精子が少ない状態です。

精液検査で前進する精子が50%未満、または、高速で前進する精子が20%未満であると精子無力症と診断されます。

精索静脈瘤

精巣(睾丸)に血液が逆流し、精巣の静脈血管に瘤(こぶ)ができてしまう状態です。

無精液症

射精感があっても、実際には精液がまったく射精されない状態です。

先天性精管欠損

生まれつき精管が備わっていない状態です。精管がないと精子を運ぶことができないので、正常に射精ができません。

勃起障害(ED)

性交時に勃起が起こらない、または勃起しても一定に時間持続しない状態のことです。

 

などたくさんの原因があります。

現在では、10人に1人は精子に問題があると言われてます。

不妊は女性側の問題だけではないということを理解しておく必要がありますね。

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