「胸郭出口症候群と診断さて、悩んでいる」
「症状が悪化すれば、手術が必要なの?」
「理学療法や運動療法ではなかなか改善しないと手術なのかな?」
胸郭出口症候群と診断され、改善の為に注射や運動療法など治療に取り組んできたが改善がみられず、
今後の計画に悩んでいませんか?
症状が特に重度の場合は病院で手術をすすめられる場合があります。
「生まれつきの骨格や筋肉の付き方の問題」や「事故による障害」などによる胸郭出口症候群に適応されることが多く、
生活習慣や姿勢不良などにより発症してしまった胸郭出口症候群には少ないと思います。
ここでは、症状が改善せずに手術の話もでてきたか、もしくは手術を考えたいくらいに症状が辛くて悩んでいるという
あなたにとって参考になると思います。
胸郭出口症候群の種類
胸郭出口症候群といっても様々あります。大きく分けると、
- 神経と血管が圧迫されて起こる圧迫型
- 神経と血管が引っ張られて起こる牽引型
の2種類です。
また障害されてしまう場所によっても3つに分類されます。
斜角筋症候群(しゃかくきんしょうこうぐん)
斜角筋とは頚椎と呼ばれる首の骨から第1肋骨と第2肋骨についている筋肉です。
この場合は、斜角筋が硬くなるなど、緊張してしまう事で神経や血管が圧迫されてしまう症状です。
前斜角筋か中斜角筋、もしくはその両方が過緊張したことにより、斜角筋隙と呼ばれるその隙間を通る神経や血管が圧迫されて起こります。
血管が圧迫されていれば、レントゲン検査で血液造影すると診断されやすくなると思います。
症状が急激に現れることは少なく、この場合も肩こりくらいですが、徐々に指先や手のしびれ、だるさ、冷えが出てきたりします。
さらに悪化すると、指先や手の感覚異常、ペットボトルのキャップが開けられないというような力が入りにくいなどの症状も現れます。
吊革につかまる、高い所に洗濯物を干すように手を挙げたり、重い荷物を肩に掛けたりすると悪化し、お風呂などで温めると楽にな場合がみられます。
神経型の症状
神経が挟み込まれて圧迫される事で起こる症状です。
一般的には首や肩の辺りの症状から始まり、腕や手、指の方に広がるとされています。
- 首や肩、肩甲骨の間、胸の前上部辺り(前胸部)の痛み、うずくような不快感
- 手や指、腕のしびれ、なまったような感じ
- 手指、腕に熱感(熱い感じ)や冷感(冷たい感じ)がある
- 脱力感
初めは物を持ち上げたり家事をしたりなど労作時に症状が出ますが、次第に何もしなくても常に症状を感じるようになります。
動脈型の症状
鎖骨下動脈が圧迫される事で血液が流れにくくなることで起こる症状です。
- 手や肩、指のむくみ
- 色が青白くなる
- 痛み
冷たい場所に行くと、指が青白くなりしびれを感じる事もある「レイノー症候群」と呼ばれる症状が出る場合もあります。
肋鎖症候群(ろくさしょうこうぐん)
鎖骨と第1肋骨の間の隙間を肋鎖間隙といいます。
この隙間を神経や血管が通っており、ここで圧迫を受けて症状が出るものを肋鎖症候群と呼びます。
この症状の特徴は鎖骨が下がってしまう事で起こりやすく、なで肩の女性や猫背の方に多くみられます。
物理的に鎖骨と肋骨の間で神経や血管が圧迫を受けて、肩、腕、手、指や背面に痛みやしびれなどが表れるというのが、肋鎖症候群の症状です。
症状から肋鎖症候群とそうでない疾患を見分けるための特徴を把握しておくと良いでしょう。
症状が急激に現れることは少なく、この場合も肩こりくらいですが、徐々に指先や手のしびれ、だるさ、冷えが出てきたりします。
さらに悪化すると、指先や手の感覚異常、ペットボトルのキャップが開けられないというような力が入りにくいなどの症状も現れます。吊革につかまる、高い所に洗濯物を干すように手を挙げたり、重い荷物を肩に掛けたりすると悪化し、お風呂などで温めると楽にな場合がみられます。
肋鎖症候群であっても肩の両側に痛みが起こる場合はありますが、脊髄性疾患の場合もあります。
脊髄性疾患の場合は進行すると治療も難しくなる可能性もありますので、医療機関で診断を行って下さい。
胸郭出口である鎖骨中央から外へ抜けた神経や血管が、鎖骨と肋骨の間で圧迫を受けてしまい血行不良に陥ってしまった状態ですので、血流が不足すると筋肉の各部位に痛み物質が発生するため、肩こりとして知覚されることもあります。
肋鎖症候群の場合は比較的後天的な原因の影響が強いと言えます。
習慣性の首から腕にかけての過労からくる血行不良、姿勢や老化などによる骨格の変位、怪我などで鎖骨や肋骨を骨折した後の変形などが肋鎖症候群になりやすくなる原因になってきます。
女性に多いとみられるのが、筋・筋膜過労です。筋・筋膜過労は炎症を引き起こしている状態ですので、筋肉の膨張や硬くなってしまうことから血管を圧迫して血行不良、次いで代謝異常などになってしまいます。
仕事で日々重い荷物を背負わなければならない方々も日頃から肩こりだからと簡単に思わずに疲労を取るようにしましょうね。
小胸筋症候群・過外転症候群(しょうきょうきんしょうこうぐん・かがいてんしょうこうぐん)
小胸筋とは胸の前にあり、少し深い場所にある筋肉です。
この小胸筋のすぐ下を神経や血管が通っているため、腕を真横に挙げて伸ばされた時に圧迫を受けてしまい症状が起こります。
症状が急激に現れることは少なく、この場合も肩こりくらいですが、徐々に指先や手のしびれ、だるさ、冷えが出てきたりします。
さらに悪化すると、指先や手の感覚異常、ペットボトルのキャップが開けられないというような力が入りにくいなどの症状も現れます。
吊革につかまる、高い所に洗濯物を干すように手を挙げたり、重い荷物を肩に掛けたりすると悪化し、お風呂などで温めると楽にな場合がみられます。
なで肩の女性や上半身を特に鍛えている方に多いと言われていますが、それ以外の方も含めて小胸筋症候群と診断された方を
診てみると、ほとんどの方にある共通点が見つかります。
- 症状が軽度の場合
保存療法で経過をみることが多いです。
胸郭出口症候群を引き起こしている原因の腕や鎖骨、肩甲骨の筋肉のストレッチや筋力トレーニングをする事で症状の緩和を図ります。
血流を改善し痛みや炎症を抑えるお薬や神経ブロック注射を服用しながら経過をみる事が多いと思います。
- 症状が重度の場合
胸郭出口症候群の症状がかなり重度の場合は手術を行う事もあります。
神経や血管を圧迫している筋肉を切開したり、第一肋骨を切除したりする手術になります。
胸郭出口症候群の予防
それでは胸郭出口症候群にならないようにするためには、なってしまったら自分でなにをどうすればいいのでしょうか?
日頃の姿勢を注意しよう
胸郭出口症候群は猫背で肩も前に出てしまい、うなだれるような姿勢だと起こりやすくなります。
デスクワークやスマホの見過ぎで頭が前に出て背中が丸くなっている姿勢がまさにその姿勢ですね。
いつも片側に重たいショルダーバックをかけている人も要注意です。
重たさによって肩甲骨が下にさがってしまい、首や肩甲骨をつないでいる筋肉を常に伸ばしている状態となります。
『なで肩』の人は胸郭出口症候群になりやすいとお伝えしましたが、荷物を下げている事で常になで肩の状態を作ってしまっている事になるので注意しましょう。
長時間同じ姿勢を取らない
パソコン作業などの場合、、1時間に1回は休憩を取りましょう。肩や首、腕を回したり、背筋を伸ばしたりと、ストレッチをすると効果的です。
正しい姿勢を保つ
座る時は、あごを引いて背すじを伸ばすと、頚椎が自然なカーブを描き、負担が少なくなります。正しい姿勢は疲れにくいため、日頃から意識しましょう。
冷えを解消する
首や肩が冷えると凝りの原因なります。スカーフや肩掛けなどで冷房が直接当たらないようにしましょう。
同じ腕で荷物を持たない
荷物をかける時、どうしても安定感のよい側にかけがいです。しかし、いつも同じ側に荷物をかけていると負担が偏り、胸郭出口症候群になりやすくなりますから、できる限り交互にかけるようにしましょう。
改善方法は?
- 仰向けに寝る。もしくは、椅子の背もたれに体を預けます。
- 3回深呼吸して、腕の力を抜きます。
- 軽くアゴを状態で5分目をつむって下さい。
- これを1日3回してみてください。
椅子に座ってすると症状が悪化する方は、牽引型の可能性があるのでなるべく寝てするようにして下さいね。
無理のない範囲でする事をオススメします。
胸郭出口症候群の手術~簡単な概要~
まず大前提として、胸郭出口付近で「神経や血管を障害しているもの」を取り除くということになります。
- 頚肋や第一肋骨を切り取る
この方法は、骨格が神経や血流を障害している場合です。簡単に説明すると骨を切り取ってしまう事で邪魔を
している物を取り除く事になります。
- 前斜角筋と中斜角筋を切り離す
この方法は、筋肉の隙間が少ない事によって圧迫を受けている場合に用いられます。
切り開くイメージで良いと思います。
骨によって神経や血管が障害されている場合は骨を、筋肉による場合は筋肉を切る事で、
神経・血管の通りを良くするというものです。
胸郭出口症候群の手術~その後~
しかし、あなたが知りたいのは「手術をすれば完全に良くなるのか」
「手術をしなくても治る方法はないのか」ではありませんか?
手術後はやはり、完全に取り切れなくても重度の症状が軽くなる事は多いようです。
とは言っても、良い事ばかりではありません。
痛みやしびれの軽減は一時的な場合が多く、胸郭出口症候群を引き起こした「姿勢の歪みや生活習慣」
が改善されないと再発してしまう事も多くあるようです。
生まれつきの骨格の問題以外が原因で発症した場合は、骨や筋肉によって障害されてしまう原因が必ずあります。
その原因を改善しないままでは、結果として障害されていた部分を手術しても、また同じような障害が
出てきたりということは十分ありえますよね?
4.胸郭出口症候群の手術~まとめ~
手術をしても完全に治る保証は100%ではありません。
そして、胸郭出口症候群になってしまったのには「原因」があるはず。
その原因を改善できればほとんどの胸郭出口症候群は改善していくはずです。
その原因とは「姿勢不良」や「筋肉のアンバランス」などの重心位置のズレになります。
ただしそこまで重症化した胸郭出口症候群を自分だけで改善するのは簡単な事ではないと思います。
そういった場合はしっかりとした技術を持つ専門家に任せるのがおすすめです。
もし、あなたが手術をお考えならその前に頼ってみる価値はあると思いますよ。
まとめ
あなたが手術を考えるほどの重症で、毎日なやんでいるのでしたら辛さはとても理解できます。
しかし重心位置のズレを改善していけば、多くの胸郭出口症候群は手術をしなくても良くなるはずです。
まだ症状を我慢できるのであれば、まず自分でできる対策として「ストレッチ」や「体操」をしたり、
自律神経を調整して自分の回復力を上げることから始めると、そこから筋肉や姿勢の状態も良い方向に変わっていきます。
もちろん重症の場合は期間が掛かりますが、それでも手術で体に傷を入れるよりは負担も後遺症もないので安心ですよね。
手術は本当に最終的な選択肢手段として取っておきましょう。手術が絶対に良くないのではなく、違う方法でも改善は望めるので、まずは体を傷つけずに方法から実践する事をオススメします。自分でできる対策や、身体に負担のない改善方法を見つけられたらこんなに素晴らしい事はありませんよね。
当院でも胸郭出口症候群の患者様は多く来院しておられます。
あなたが本気で改善したいと希望を持っておられるならいつでもご相談下さい。
あなたのお手伝いができるはずです。