「頚椎椎間板ヘルニアと診断されたが手術しないといけないのかな?」
「薬や注射を続けていて改善するんだろうか?」
「痛みがなかなか引かないから手術をした方がいいんだろうか?」
あなたはこんなお悩みをお持ちではありませんか??
ここでは頚椎ヘルニアと診断され、手術もお考えのあなたに読んでいただきたいと思います。
症状の度合いにもよりますが、頚椎ヘルニアの診断を受けたからと言ってすぐに手術を検討しなければならない訳ではありません。
ある程度の症状で止まっている場合は体の負担や術後の体調変化なども考慮して、保存療法で様子を見る事が大多数になります。
次に頚椎ヘルニアの原因と症状を挙げますので、あなたにも心当たりがあるかもしれませんね。
頚椎ヘルニアの原因
首から腰までつながった「椎骨」の首部分にヘルニア症状が現れることを、「頚椎ヘルニア」と言います。頚椎ヘルニアになる原因には、以下のようなものがあります。
1.長時間のデスクワーク・スマホ操作による姿勢の影響
人の頭の重さは約5〜6㎏と言われており、首はその重さを支えていますが、猫背姿勢の方の場合は、その3倍から4倍の20㎏もの負荷が首にかかることになります。
長時間のデスクワークをしている方などに症状が出やすく、他にも読書や裁縫、近年ではスマートフォンの長時間利用も原因のひとつとなっているようです。
2.前傾姿勢になりやすいスポーツ・格闘技による首への負荷
水泳、テニス、ゴルフ、自転車競技などのスポーツや、プロレスやボクシングなどの格闘技をしている方も頚椎ヘルニアになりやすいと言われています。テニスや自転車競技は前屈姿勢が基本ですので、首にかかる負荷は大きいものです。
また、水泳やゴルフなどは、身体や頭をひねる動作が多いため首に負担がかかりやすくなります。プロレスやボクシングなどの格闘技は、首に衝撃がかかる場面が多いため、首を鍛えるのが基本となるほど、負荷がかかりやすい競技です。
3.首に衝撃がかかる事故や転倒
交通事故や転倒など突発的なことが原因で頚椎を痛めてしまうこともあります。格闘技をしている人と同じく、首に衝撃がかかってしまうことが原因です。
すぐには症状が現れないこともあり、意外と見過ごされがちですが、腕や手の指などに痛みやしびれが現れる場合、頚椎に支障をきたしている可能性があるので、専門の病院で神経学テストを受けるなどして調べてもらいましょう。
4.加齢による頚椎の老化・変形
頚椎ヘルニアが最も多いのは50代から60代というデータがあります。椎間板は水分やコラーゲンが豊富な軟骨で形成されていますが、その水分やコラーゲンは加齢とともに徐々に少なくなっていくものです。弾力性を失ってしまうと、椎間板を囲む推体が変形してしまうこともあります。
また、骨粗しょう症がもとで、椎骨じたいがもろくなって変形してしまい、神経を圧迫するというケースもあるようです。
頚椎椎間板ヘルニアの2つの症状:「神経根症」「脊髄症」
頚椎椎間板ヘルニアの症状は大きく2つに分けられます。神経根症と脊髄症です。
片方の手や肩が痛む「神経根症」
神経根症は、背骨を走る神経から左右に伸びた神経根をヘルニアが圧迫して起こる症状で、初めは寝違いと似た痛みを感じることが多く、やがて片方の手や肩など広い範囲に痛みが出てきます。
両方の手や肩、足などに痛みが起こる「脊髄症」
脊髄症は、神経が束になった脊髄部分をヘルニアが圧迫し起こる症状で、神経根症と異なるのは、両方の手や肩、足などに痛みが起こり、歩きづらい、ボタンがはめられない、お箸やペンが持てないなどの運動障害を起こします。
手術はしないといけないの??
頚椎ヘルニアと診断されたからといって必ずしも手術が必要なわけではありません。
- 手術が必要な場合
- 膀胱直腸障害
- 巧緻運動障害
- 麻痺
これらの症状がある場合には緊急性も高い場合もあるので、手術が必要になると思います。
- 手術をせずに様子をみてもいい場合
頚椎ヘルニアと診断されても手術以外の方法でも対応可能な症状
- 痛み
- しびれ
- 握力低下
このような症状で、ヘルニアの度合いも強くない場合には手術をすぐに考えず、違う方法を考えても良いと思います。
また、セカンドオピニオンで、違う見解を聞いてからでも遅くはないと思います。
服薬やブロック注射が効果ないと手術なの??
痛み止めの薬やブロック注射が効果なければ手術をお考えになる方も多くいらっしゃるようですが、それもまだ必要ないかと思います。
そもそも薬やブロック注射はどちらも痛みの対象が神経やというように決まっているので頚椎ヘルニアの治療としての効果は少ないのです。
なので、薬やブロック注射が効果なかったからといって手術をすぐに検討しなくても大丈夫だと思います。
しかし、服薬やブロック注射などの保存療法を半年間続けてもなかなか改善が見られず、症状も悪化しているようならば、次は医師との相談のうえ手術を検討する事になると思います。その手術に関して種類と方法を挙げていきますね。
頚椎ヘルニアの手術はどんな方法??
1.前方除圧固定術(前方法)
全身麻酔を行った後、首の前方からメスを入れ、脊髄や神経を圧迫している部分の椎間板を取り除く方法です。取り除いた部分にできたスペースには、自分の骨やチタン製のインプラントを移植したり、移植した骨が動かないよう金属製のプレートで固定したりする方法がとられます。
通常は2~3時間程度の手術となるでしょう。手術後は、インプラントの移植やプレートでの固定法を行った場合、早くて翌日から歩行が可能です。一般的には10日から2週間程度で退院となりますが、自骨の移植を行った場合は癒合するまでに数か月かかることもあります。また、手術前から歩行障害などが見られていた場合は、術後のリハビリテーションが数か月ほど必要になることもあります。
2.後方除圧固定術(後方法)
後方法は、首の後ろからメスを入れ、症状の原因となっている椎間板には手を付けず、脊髄の周りの空間を確保し、圧迫部分を緩和するという方法です。中でも椎弓形成術や脊柱管拡大術などが代表的で、自骨や人工骨を支えにしたり、特殊な金属で椎弓の間を固定するといった方法が行われています。術後は1日から数日の安静後、頚椎を固定する装具をつけての歩行訓練を行うのが一般的です。術前のまひの程度や手術方法にもよりますが、概ね2~3週間での退院が可能と言われています。
3.PLDD:経皮的レーザー椎間板減圧術
局部麻酔後わずか1㎜の針を刺し、その中にレーザーファイバーを刺し通して、原因となっている椎間板や膨隆部分をレーザー熱によって凝固収縮させる手術で、軽度~中度の椎間板ヘルニアに有効といわれています。
通常は20分程度で終わる日帰り手術です。一般的には椎間板の中央部分に照射を行うところが多いようですが、頚椎には膨隆部そのものに照射を行う方が有効だという病院もあります。
4.PECD:経皮的内視鏡下頚椎椎間板摘出術・前方アプローチ
全身麻酔後、ミリ単位の内視鏡と小鉗子で直接ヘルニア部分を摘出し、レーザー光線で凹凸を凝縮させるという手術です。比較的大きなヘルニアで、骨の変形は目立たないけれど痛みは強いといったケースに適しています。世界最小最短の手術として知られ、傷口はわずか4㎜という小ささです。
身体への負担も少なく傷口は絆創膏で対応できるので、当日手術して翌日退院することもできるようです。ただし医師には高度な技術と経験が求められるため、日本整形外科学会では技術認定制度も設けられており、技術認定を受けた医師はまだそう多くありません。ですので、手術を受けるなら、適切な研修と経験を積んだ認定医師のもとで行うのが望ましいでしょう。
頚椎ヘルニアの手術の合併症
手術によって起きる可能性のある合併症は、首の前から手術(前方除圧固定)するか後ろから手術(後方除圧)するかによって異なります。首の前面には食道や気管や頚動脈など非常に重要な器官があるので、前方除圧固定の方が手術の難易度は高いようです。
前方除圧固定の最も重い合併症として、手足が動かなくなる四肢麻痺が挙げられます。手術中になんらかの力が脊髄に加わってしまい感覚障害が悪化したり、非常に稀ではありますが、場合によっては脊髄を損傷して完全麻痺になったりすることもあります。
手術は簡単な事ではないので、常に完璧は難しいですよね・・・。
また、脊髄の周囲を包んでいる液体(髄液)が外に漏れ出す、髄液漏(ずいえきろう)という合併症もあります。
急性肺血栓塞栓症が起きる場合も考えられます
手術対象のヘルニアが1か所の場合、全身麻酔下では約2時間、ヘルニアが2箇所だと4時間かかります。その間、患者さんは動けないので足の血液の流れが悪くなり、血管の中で血液の塊ができることがあります。
そして、術後に動こうとした時に、その塊が末梢から中枢へ流れていき、肺の血管につまると肺梗塞(はいこうそく)という合併症が起きてしまいます。
これは、エコノミークラス症候群として知られているものと同じで、最悪の場合死亡することもあります。一般的に、2時間を超える全身麻酔での手術にはこの危険がつきまといます。
手術中にふくらはぎを自動的にマッサージするなどの予防策は行われていますが、完全に防ぐことはできないと言われています。
夜、寝ている時は体が勝手に寝返りをうつなどして動かしているので心配いらないのです。
逆にあまり動いていないような方は要注意かもしれないですね。
他の合併症としては、手術した部位の細菌感染があります。この場合は再手術が必要になります。また、移植した骨やチタン制のインプラントがずれることがあり、数日以内に再手術が必要になる場合もあります。
まとめ
以上の7項目は事前に考えておくと、これからの計画の参考になるかもしれないですよね。
もちろん早急に手術しか対応できない場合もありますが、多くの場合は、手術適応になってしまうまでに時間はあると思います。
ですから、早い段階で頚椎ヘルニアが分かった時点で、少しずつでも改善する為の行動をとるように心がけましょう。
自分自身でも適度な運動や体のケアはできるので頑張りましょうね。
それでも、1人では改善が見られない場合は専門家に相談して下さい。
当院もいつでもお待ちしております。
少しでもあなたのお役に立てれば幸いです。