睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が止まる状態です。「Sleep Apnea Syndrome」の頭文字をとって、「SAS(サス)」とも言います。
この睡眠時無呼吸症候群は、寝ている時の状態なので、自分で気づいてないことが多いです。日本では、そういった潜在患者も含めると、200万人以上にもなると言われています。
無呼吸とは、10秒以上の気流停止(気道の空気の流れが止まった状態)のこと言います。
無呼吸が一晩(7時間睡眠)で30回以上、あるいは、1時間に5回以上止まれば、睡眠時無呼吸症候群です。無呼吸状態は、通常20秒~30秒で、長い場合だと1分~3分にもなります。当然その時間は窒息状態になっています。
人は睡眠中に、脳の休息や身体の疲労回復をします。しかも、生きる上で必要不可欠な呼吸が止まるということは、体への負担がかなり大く、日常生活に様々な支障をきたしたり、生活習慣病につながるリスクも高くなってしまうのです。
睡眠時無呼吸症候群の特徴的な症状
- 激しいいびき
- 寝汗をかく
- 夜中に何度も目が覚める
- 朝起きても疲れが取れない
- 日中の強烈な眠気
- 集中力の低下
睡眠時無呼吸症候群のタイプ
睡眠時無呼吸症候群は原因によって2つに分けられます。
- 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)
- 中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)
それぞれ、上気道の閉塞と呼吸中枢の機能異常が原因となります。
睡眠時無呼吸症候群の治療
睡眠時無呼吸症候群の治療法は主に以下のことが行われます。
- 鼻の治療
- CPAP
- スリープスプリント
- 手術
鼻の治療
睡眠時無呼吸症候群やいびきをかく方の約25%に鼻中隔湾曲、20%にアレルギー性鼻炎、10%に慢性副鼻腔炎が存在します。
鼻づまりがあると空気が鼻腔を通過する時に、軟口蓋(のどちんこ)が震えていびきの原因となります。
また、鼻詰まりによる口呼吸では、下顎が下がることで上気道が狭くなりますので、睡眠時無呼吸症候群やいびきの原因になります。
なので、鼻詰まりがある方は、まず鼻の治療を優先して行います。
CPAP療法
「Continuous Positive Airway Pressure」の頭文字をとって、「CPAP(シーパップ)療法」と呼ばれます。別名、「経鼻的持続陽圧呼吸療法」と言います。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群に有効な治療法として最も普及している治療方法です。
これは一定圧を加えた空気を、鼻から送り込むことによって、上気道の閉塞を取り除き、睡眠中の気道を確保する非常に有効な治療法です。ほとんどの睡眠時無呼吸症候群の方に対して、一番最初に選択される治療法です。
スリープスプリント
スリープスプリントという歯科装具のマウスピースを使用した治療法で、「口腔内装置治療法」と言います。
このマウスピースを使用した治療法は、睡眠中に口にはめることで下顎が下がらないように前方に持ち上げることで、上気道のスペースを確保することが目的です。
CPAP療法よりも費用面での負担が少なく、口にはめるだけなので楽に行えます。
手術
アデノイドや扁桃肥大などが原因の場合は、摘出手術が有効なことが多いです。
口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)
睡眠時無呼吸症候群に対しての最も一般的な手術です。
UPPPという口蓋垂・口蓋扁桃・軟口蓋(のどちんこ)の一部を切除して気道を広げる手術です。睡眠時無呼吸症候群の約50%の方に有効と言われています。
最近ではいびきに対してもこのUPPPが行われるようになりました。いびきの原因のひとつに口呼吸があります。口呼吸により喉が腫れ、上気道が狭くなってしまいます。
鼻中隔弯曲矯正術
鼻中隔は左右の鼻腔を隔てる仕切りで、外傷や成長過程で歪んでいることが多く見うけられます。その場合、鼻詰まりやいびき、睡眠時無呼吸の原因となりますので、鼻中隔弯曲矯正術の適応になります。
歪んでいる部分の鼻中隔軟骨を切除して、まっすぐな部分だけに整える手術です。