過敏性腸症候群の治療における食事療法や薬物療法のポイント

過敏性腸症候群

「irritable bowel syndrome」の頭文字から「IBS」と表記される過敏性腸症候群。
消化器系の機能性腸疾患とされており、腹痛とともに便秘や下痢などの症状を繰り返すという特徴がみられます。

成人の10~20%が発症すると言われており、特に若年層の女性に多い病気です。原因として、ストレスや不安、緊張などの心理的要因や食事、薬などが挙げられます。
ここでは、過敏性腸症候群の治療における食事療法や薬物療法のポイントをご紹介します。

過敏性腸症候群に有効な食事療法について

食事療法

過敏性腸症候群の治療は段階を経て進められていくのが一般的で、はじめに食事療法をメインとした生活習慣の改善を行います。

暴飲暴食を避け、少量の食事を複数回に分けることが基本となりますが、食事の内容にも注意が必要です。

油脂や香辛料、コーヒーなどは過敏性腸症候群を誘発する

過敏性腸症候群の患者のうち、60%の人が食事を要因とし腹痛やガス症状(鼓腸)を起こすといいます。特に、油脂の多い食べ物や香辛料、コーヒー(カフェイン)、炭酸飲料などが顕著で、これらには腸を刺激する作用があるとされており、摂取することで過敏性腸症候群が誘発されてしまいます。[注1]
また、アルコールも同様です。お酒を飲む習慣のある方は摂取を控えましょう。

食物繊維の含まれる食品は便秘に効果がある

過敏性腸症候群のうち便秘の症状に効果的とされているのが、食物繊維が多く含まれた食事です。[注1]
食物繊維には排便を促し腸管内の水分をコントロールする働きがあると考えられています。摂取量の目安は一日20~25グラムとされており、野菜や果物、海藻類などに含まれます。[注2]

ただし、トウモロコシや小麦などに含まれる不溶性繊維質については、患者によって症状を悪化させる可能性があります。そのため、食物繊維の中でも水溶性繊維質を摂ることが望ましいでしょう。
また、鼓腸の症状がある場合、食物繊維を多く摂取すると悪化してしまう恐れがあります。豆類やいも類、キャベツなどは避けるようにしましょう。[注1]

砂糖や乳製品、ダイエット食品は下痢を悪化させる

りんごやはちみつ、ブドウに含まれる果糖や菓子類に含まれる砂糖、乳製品は下痢の症状を悪化させる恐れがあるので摂取量に注意が必要です。[注1]
また、ソルビトール、ヘキシトール、マンニトールなどの成分も同様で、ダイエット食品やチューインガムなどの甘味料として使用されているため大量摂取は控えましょう。[注3]

過敏性腸症候群に有効な薬物療法について

薬物療法

食事療法だけで過敏性腸症候群の症状が改善しない場合、薬物療法を行うことがあります。医師と相談の上、適切な薬剤を使用していくことで症状の改善を図ります。過敏性腸症候群の症状に合わせて薬剤を選ぶのが一般的です。

整腸機能のある薬剤は便秘、下痢いずれの人にも用いられる

薬物療法で用いる初歩的な薬は、整腸機能のある消化管機能調節薬や鼓腸を抑えるプロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌など)が挙げられます。[注4]
これらの薬剤は便秘、下痢いずれの症状を持っている患者に対しても用いられます。

また、食事での食物繊維の摂取は、一部の患者において鼓腸がみられるため、その場合は「メチルセルロース」と呼ばれる製剤で代替することで症状は治まります。

目立つ症状があれば、症状に応じて異なる治療薬が処方される

過敏性腸症候群においては、どの患者にも同じ薬剤を用いるというわけではなく、便秘、下痢、腹痛などの目立つ症状に応じたものとなります。下痢の症状には止痢薬を、便秘の症状には下剤を用いるのが基本的です。

さらに、腹痛の症状がある場合は抗コリン薬を、過敏性腸症候群が心因性のものである場合は抗うつ薬や抗不安剤などを用いることがあります。[注4]
近年増加傾向にある男性の過敏性腸症候群では、5-HT3拮抗薬(下痢対象)やCIC-2 賦活剤(便秘対象)なども使用されるようになりました。[注4]

過敏性腸症候群の治療の基盤は生活習慣の改善

ジョギング

過敏性腸症候群の改善には食事療法や薬物療法が非常に有効といえます。しかしながら、睡眠不足や運動不足、過度なストレスなどが続けば、思うように治療が進まない可能性が高いでしょう。
また、過敏性腸症候群が心因性である場合、心理的な療法も重要と考えられます。患者自身に適した治療法を選択していくことが改善の近道ではないでしょうか。

参考:

[1]『IBSに食事指導・食事療法(高繊維食増加,油脂減少,香辛料減少など)は有効か?』日本消化器病学会機能性消化管疾患診療ガイドライン

[2]『生活習慣と排便異常』細田誠弥

[3]『機能性下痢や機能性便秘へのアプローチ―診断特に IBS との鑑別, 一般的治療法―』穂苅量太,三浦総一郎

[4]『過敏性腸症候群の薬物療法』秋穂裕唯,中村和彦

\この記事は私が書きました/

氏永 真司

氏永 真司

大阪市福島区MITO整体院
院長 氏永 真司(うじなが しんじ)

・柔道整復師
・鍼灸師
・整形外科付属の整骨院2店舗で院長として勤務

整形外科付属の整骨院で勤務している時に、痛みが出ている部分だけの施術には限界があることに気づきました。筋肉や骨盤、背骨の調整だけでなく内臓、静脈、リンパ、経絡などを含めて全身のバランスを調整することにより痛みが自分で改善できるようになります。

もし、あなたがマッサージや骨盤矯正を受けても痛みが改善しないのであれば、ぜひ当院にご相談ください。

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