原因が様々で、なかなかハッキリとした原因がわからないケースも多い坐骨神経痛。
治療ではまずその症状を和らげることから始まります。
坐骨神経痛で受診する場合は整形外科が一般的
坐骨神経痛の原因は様々ですが、整形外科を受診するのが一般的です。
レントゲンやCT・MRI検査などを行ないますが、はっきりとした原因が分からないケースも多いようです。
初めて受診する時は痛みやしびれがひどく、患部も広がっているため、おおもとの原因を突き止めにくいからです。
そのため、まずは痛みやしびれを軽くするところから治療が始まることがほとんどです。
坐骨神経痛に対する治療法として主に有効なのは次の療法です。
- 薬物療法
- 神経ブロック注射
- 理学療法(リハビリ)
- 認知行動療法・リエゾン療法
- 脊髄刺激療法
- 手術療法
薬物療法は鎮痛に有効
現在はまだ坐骨神経痛の特効薬がありません。鎮痛剤などで痛みを抑えることになります。
非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)などの痛み止めが処方されるケースがほとんどです。
長期服用すると、吐き気や便秘、発疹・かぶれなどの副作用が出ることもあるので、空腹時の服用を避け、食後の服用前に牛乳を飲むことで胃粘膜を保護するなどの対処が必要かもしれません。
ステロイド剤は強力な抗炎症・鎮痛作用に加え免疫抑制作用があり、痛みを起こす物質を作り出す酵素の働きを阻害することで鎮痛します。高脂血症や副腎不全などの副作用が出るケースがあります。
鎮痛以外の目的で開発されるが鎮痛効果のある「鎮痛補助薬」
本来他の目的で開発された薬物でも、鎮痛効果が期待できる薬が「鎮痛補助薬」として処方されることもあります。
- 抗うつ薬
神経伝達物質が細胞に取り込まれるのを防ぐことで鎮痛効果が期待できます
- 抗てんかん薬
神経細胞のイオンチャネルなどに作用し、神経細胞の過剰興奮を抑制・鎮痛します
- 抗不整脈薬
神経の興奮を抑え、痛みを和らげます
- 神経障害性疼痛治療薬
神経伝達物質の過剰分泌を抑え、鎮痛します。神経痛に対して最初に処方する薬剤として推奨されています。
しびれや発作的に鋭い痛みがある時に処方されることが多いです
- 筋緊張弛緩剤
消炎鎮痛剤と併せて処方されるケースがほとんどで、筋肉の緊張を解します。
- 抹消血管拡張薬
痛みの原因物質になるホルモンを誘導する効果があります
症状の強さなど状況に応じて処方薬の組み合わせが変わります。
副作用が出る可能性もありますが、処方通りの服用量と回数を守り、異変を感じたらすぐに医師や薬剤師に相談しましょう。
神経ブロック注射は薬物療法と併用されることが多い
痛みやしびれのある神経周辺に局所麻酔薬を注射し、痛みが伝わる経路をブロックする方法です。
神経の炎症を抑えることで痛みの緩和効果が期待できます。
血流も良くなり、筋肉のこわばりも無くなるケースが多いですが、一度では痛みを取り除くことはできないので薬物療法と併用されることが一般的です。
理学療法(リハビリ)は効果が緩やか
理学療法は、薬物療法や神経ブロック注射のような劇的な鎮痛効果はありません。
しかし、日常的に体を動かすことによって血流改善や身体機能の向上に効果があり、着実に症状の改善ができます。
筋肉増強訓練やストレッチなどの運動療法では、筋肉の緊張を解し血流を改善させることで、痛みの原因物質の除去を促します。また運動することで脳内ドーパミンが活性化し、その影響で痛みが和らぐケースもあります。
お尻の最上部、奥深くにある梨状筋(りじょうきん)の硬化による「梨状筋症候群」が原因の場合は、梨状筋をほぐすストレッチが有効です。
温熱療法や電気刺激療法は、組織を温めて血管を広げたり、低周波の電気刺激を与えることで痛みの原因物質をなくしたり、痛みを伝える神経の働きを抑制する効果が期待できます。
認知行動療法は痛みの認識を変えていくことで痛みが抑えられる
行動日誌をつけて「15分自転車に乗ることができた」「友だちと話している間は痛みを感じなかった」などを記入していきます。
日誌をつけるだけで鎮痛効果があるとは驚きですが、「痛みのせいで何もできない」という認識を「痛みがあっても出来ることはたくさんある」とプラスの方向へ変えていくことで、以前よりも痛みを感じにくくなるそうです。
また、ウォーキングやストレッチなど今できる運動を始め、少しずつその活動量を増やしていくことで、痛みが軽くなることもあります。
行動の種類や活動量が必ずしも痛みを悪化させているのではないことが理解できれば、痛みが軽減され活動量も増やせるのです。
こうした認知行動療法を実施する場合は、心と身体の両面から治療することになり、整形外科・心療内科・精神科など複数の医師の連携(=リエゾン)が必要となります。
脊髄刺激療法は脳に弱い電流を送ることで鎮痛させる
脊髄近くに電極を埋め込み、脳に弱い電流による刺激を与えることによって痛みを和らげる方法です。
脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)による坐骨神経痛に多く使われます。
また、薬物や神経ブロック療法で効果がない時にも行なわれます。
手術療法は最終手段
他の治療法で効果が見られない場合や、膀胱(排尿)や直腸(排便)に障害が見られる場合に行なわれます。
神経を圧迫している原因と取り除くものと、痛みを発信している神経を治療する方法があり、症状に合わせて行なわれます。
ここまで坐骨神経痛の治療方法についてご紹介してきましたが、複数の方法を併用するパターンが多いようです。足や腰など下半身に痛みやしびれを感じた時は、ひどくならないうちに医師の診察を受けることをおすすめします。
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