腰から足にかけて伸びている坐骨神経が圧迫・刺激される事によって発症する「坐骨神経痛」。
症状が軽い人もいれば、歩行障害を伴うような傷みや痺れを感じる人もいるこの坐骨神経痛ですが、今回はその原因を探っていきます。
原因が特定される坐骨神経痛は1〜2割程度?
五十肩やぎっくり腰のケアやリハビリ指導を行っている理学療法士の話によると、坐骨神経痛を訴える患者さんが整形外科に来院し、検査機などを使ってもその原因ははっきりとはわからない事が多いそうです。
理学療法士の体感でいうと、その割合は8〜9割程度なのだとか。
これは何故かというと、症例のほとんどが受診時の段階では神経や血管、筋肉の痛みや炎症などが混在している可能性があるからなのです。
そのため、そういった患者さんはリハビリやマッサージ、薬の投与などを徹底的に行い、少しずつ原因を特定していくことになります。
筋肉の硬さが原因の多くだという説も
坐骨神経痛ははっきりとした原因の特定は非常に難しいですが、その多くは「筋肉の硬さ」にあるとも言われています。
坐骨神経の周りには多くの筋肉が密集しており、その筋肉のいずれかが固くなると坐骨神経を圧迫してしまうのです。
そのため、坐骨神経痛は「坐骨神経の通り道である筋肉を柔らかくすること」で改善されていくのだとか。
前述の通り、原因不明と言われることが多い坐骨神経痛ですが、それは筋肉などの組織がレントゲンでは映らないからなのです。
整形外科などで原因不明と言われた患者さんがリハビリやマッサージを受けるのはこのためでしょう。
単純かつ軽度の坐骨神経痛であれば、筋肉がほぐれることで痛みやしびれは回復していきます。
繰り返す坐骨神経痛は根本的な原因を解消するところから始めよう
すでに筋肉を柔らかくする治療を行っているのに回復の兆しが見られない…という方は、坐骨神経痛の根本的な原因を解消するところから始めましょう。
簡単に言うと、痛みが出ている場所に諸悪の根源があると判断してはいけない…という事です。
私たちの体は「筋膜」という筋肉を覆い包む膜が全身に繋がっており、足などを包む筋膜が硬くなる事によっても腰への痛みを感じる場合などがあるのです。
坐骨神経痛を起こすのは筋肉が硬くなっているから…というお話をしましたが、その筋肉を硬くしている原因は人によって違うということ。
この原因をきちんと特定して治療を行わなければ、いくら治療をしても痛みは繰り返してしまいます。
まずはあなたの坐骨神経痛がなぜ起きているのかを特定することを意識しましょう。
坐骨神経痛を引き起こす疾患は「椎間板ヘルニア」や「腰部脊柱管狭窄」など
「椎間板ヘルニア」や「腰部脊柱管狭窄」などの疾患によって坐骨神経痛が引き起こされていることがわかる可能性も十分に存在します。
ここではその辛い痛みを引き起こす疾患について詳しくご説明していきます。
椎間板ヘルニア
背骨と背骨の間にあるクッションのような働きをする軟骨を椎間板といいます。
椎間板の中には髄核(ずいかく)というゼリー状の部分があり、この髄核がはみ出したり、飛び出たりして神経を圧迫し、坐骨神経痛を引き起こすのが「椎間板ヘルニア」です。
椎間板ヘルニアは同じ姿勢を長時間続けたり、いきなり重いものを持ち上げたりすることで突如発症する可能性がありますので、毎日の生活に適度な運動などを取り入れることで、そのリスクを下げていきましょう。
腰部脊柱管狭窄
「腰部脊柱管狭窄」とは、その名の通り腰部にある脊柱管が狭くなって神経が圧迫されて起きる疾患の事。
多くは50代を越えた中高年に多く見られます。
脊柱管が老化などの原因で狭くなって坐骨神経痛を引き起こし、場合によっては歩行障害を伴うことがあります。
この疾患は腰に負担をかけ過ぎると発症する危険性があります。
日常生活では自転車、ご高齢の方は手押し車などを使用して腰への負担を少なくすることをおすすめします。
変形性腰椎症
こちらもその名の通り、腰椎がとげ状に変形する事で神経を圧迫する疾患です。
前の2例と同じく加齢や同じ姿勢を長時間続けたり、腰に負担をかけすぎる事が原因として挙げられます。
原因の特定さえできれば坐骨神経痛は改善する
この他にもすべり症や梨状筋(りじょうきん)症候群、腰椎分離症や外傷による圧迫など様々な疾患で坐骨神経痛が起きる危険性があります。
原因さえ特定できてしまえば、今の辛い痛みは改善の兆しを見せるでしょう。
その特定が難しいのですが、しっかりと治療やカウンセリングを行えば必ず根本的な原因が判明するはず。
まずは痛みを放置せず、整形外科に相談してみましょう。
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