頚椎ヘルニアの治療方法
頚椎ヘルニアの治療は、症状が軽いか重いかで違ってきます。こちらでは、軽症の頚椎ヘルニアに対して行われる保存的療法に加え、現在日本で行われている頚椎ヘルニアの主な手術法をいくつかご紹介します。
1.軽症の頚椎ヘルニアには保存的療法が一般的
人の頭の重さは5〜6㎏と言われており、姿勢が良くない人の場合はその何倍もの負荷が首(頚椎)にかかります。
軽度の頚椎ヘルニアの症状が見られた場合は、そういった負荷がかからないよう頚部カラーで首を固定するのが一般的です。医師の診断によっては、専用の機械で軽く首を引っ張り上げる「牽引治療」や「頚部マッサージ」が行われるケースも比較的多くみられ、これらの療法を保存的療法と言います。
しびれがあればビタミンB剤、痛みがあれば消炎鎮痛剤などの処方も同時に行われます。頚椎カラー(ネックカラー)を市販で購入することも出来ますが、長期間の使用は頚部の筋肉が萎縮してしまいますので注意が必要です。医師の指示のもと、経過観察をしてもらいながら様子をみましょう。
こちらの保存的療法で頚椎ヘルニアの症状が改善しなかった場合は、手術療法を行う流れとなります。特に、手足の動きに不自由さがでてくる「巧緻(こうち)運動障害」、階段の昇り降りや小走りがしにくくなる「歩行障害」、尿の回数が多くなる「膀胱症状」などの症状が出てきたら、早めの手術を検討した方が良いでしょう。
2.前方除圧固定術(前方法)
全身麻酔を行った後、首の前方からメスを入れ、脊髄や神経を圧迫している部分の椎間板を取り除く方法です。取り除いた部分にできたスペースには、自分の骨やチタン製のインプラントを移植したり、移植した骨が動かないよう金属製のプレートで固定したりする方法がとられます。
通常は2~3時間程度の手術となるでしょう。手術後は、インプラントの移植やプレートでの固定法を行った場合、早くて翌日から歩行が可能です。一般的には10日から2週間程度で退院となりますが、自骨の移植を行った場合は癒合するまでに数か月かかることもあります。また、手術前から歩行障害などが見られていた場合は、術後のリハビリテーションが数か月ほど必要になることもあります。
3.後方除圧固定術(後方法)
後方法は、首の後ろからメスを入れ、症状の原因となっている椎間板には手を付けず、脊髄の周りの空間を確保し、圧迫部分を緩和するという方法です。中でも椎弓形成術や脊柱管拡大術などが代表的で、自骨や人工骨を支えにしたり、特殊な金属で椎弓の間を固定するといった方法が行われています。術後は1日から数日の安静後、頚椎を固定する装具をつけての歩行訓練を行うのが一般的です。術前のまひの程度や手術方法にもよりますが、概ね2~3週間での退院が可能と言われています。
4.PLDD:経皮的レーザー椎間板減圧術
局部麻酔後わずか1㎜の針を刺し、その中にレーザーファイバーを刺し通して、原因となっている椎間板や膨隆部分をレーザー熱によって凝固収縮させる手術で、軽度~中度の椎間板ヘルニアに有効といわれています。
通常は20分程度で終わる日帰り手術です。一般的には椎間板の中央部分に照射を行うところが多いようですが、頚椎には膨隆部そのものに照射を行う方が有効だという病院もあります。
5.PECD:経皮的内視鏡下頚椎椎間板摘出術・前方アプローチ
全身麻酔後、ミリ単位の内視鏡と小鉗子で直接ヘルニア部分を摘出し、レーザー光線で凹凸を凝縮させるという手術です。比較的大きなヘルニアで、骨の変形は目立たないけれど痛みは強いといったケースに適しています。世界最小最短の手術として知られ、傷口はわずか4㎜という小ささです。
身体への負担も少なく傷口は絆創膏で対応できるので、当日手術して翌日退院することもできるようです。ただし医師には高度な技術と経験が求められるため、日本整形外科学会では技術認定制度も設けられており、技術認定を受けた医師はまだそう多くありません。ですので、手術を受けるなら、適切な研修と経験を積んだ認定医師のもとで行うのが望ましいでしょう。
症状が軽い場合は保存療法・そうでなければ手術
症状が軽い頚椎ヘルニアの治療方法としては、ネックカラーを使った頚部固定療法や機械で首を引っ張る牽引治療などの保存的療法が一般的です。保存的療法で症状の改善が見られない、症状が進行している、機能障害が見られるといった場合は手術を検討することになるでしょう。
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