手根管症候群とは、手のひらのつけ根にある滑膜(かくまく)が炎症を起こすことにより腫れが生じ「神経が圧迫されることで指にしびれが発生する」症状のことです。
手根官症候群は病院・整形外科・神経伝導速度検査などを行なうことによって診断されます。女性の場合、妊娠・出産・更年期のときに発生するようです。
その他にも、手の使い過ぎ等も関係しているようですが、多くの場合「原因不明」という診断も多いようです。
そのため治療方法に関しては色々な意見があり、患者にとっては迷ってしまいます。
今回は代表的な3つの治療方法についてご紹介します。
初期症状は中指に「痛み」「しびれ」
手根管症候群の初期症状として、中指の痛みやしびれが挙げられます。状態が進行すると親指・人差し指・中指の正中神経が通っている部位がしびれます。悪化すると朝方に痛みが襲ってくるので、目を覚ました時に痛みを感じることが増えます。
裁縫など、手を使っての細かな作業ができなくなり、親指と人差し指でOKサインを作ることができなくなります。
手根官症候群の3つの治療方法
この症状への基本的な治療方法は「薬物療法」「手術」「安静」の3つです。症状が軽度の場合は数回のステロイド注射と手首を休ませてあげることで、しびれ、腫れが治まります。
治療方法1. 薬物療法
初期段階の痛みの場合、塗り薬・貼り薬・飲み薬など軽い薬物療法から始めます。末梢神経を再生し保護してくれるビタミンB12を摂取すると効果的です。
症状が進行して、これらの薬で痛みが取れない場合は「神経障害疼痛(とうつう)治療薬」を使用します。これによって神経障害によって発生する痛みを抑えることができます。
他にも手根管の中に直接「ステロイド薬」や「局所麻酔」を注射して、炎症や痛みの緩和を目指す方法もあります。「ブロック注射」「電気治療」「超音波・レーザー治療」なども効果的な方法です。
自分に合った薬と出会えたらすぐに効果が実感できるでしょう。しかし、適切な薬を見つけるまでに時間がかかったり、副作用に悩まされることもあります。
治療方法2. 手術療法
薬物療法や装具などを使用しても痛みが取れず、しびれが強くなり、指の感覚が無くなってきているのであれば手術療法が検討されます。手根官症候群改善のための手術では、正中神経の圧迫を取り除くため手根官のある手のひら側の靭帯を切り開きます。
靭帯の回復は早く、靭帯を切開したままでも別の組織に被覆されるので問題はありません。入院は不要で、手術当初は握力の低下が見られますが、6か月ぐらいで元の握力に戻ります。手術では局所麻酔が使われて約30分弱で終わります。
別の選択肢として、内視鏡を使って靭帯を切開する方法もあります。
手術療法は手術によって根本的な原因を取り除くことができるかもしれませんが、手術後の痛みや違和感を感じることもあります。
そしてこれは稀なケースですが、手術をしても痛みや腫れが治まらないこともあります。専門医とよく話し合って決定することが大切と言えるでしょう。
治療方法3. 安静治療について
手首を使わない
手首を安静に保つためには、なるべく「手首を使わないこと」「動かさないこと」が大切です。現場仕事をされている方や主婦の方にとって手首を使わない作業は難しいことだと思いますが、なるべく意識することが重要です。
重たいものを持つときには両手で持ったり、手首を曲げずに垂直に荷物を持ったりすることで対処できます。
装具の使用
手首をガードするための装具を使用することも必須です。2~3か月の間は装具を装着しておいた方がいいでしょう。可能であれば、仕事中や家事の間も装着しましょう。
どうしても昼間の使用が難しいのであれば、寝ている間に使用するだけでも効果があります。
アイシングとストレッチ
一日の最後にアイシングをしてあげると手首の炎症を抑えることができます。氷の使用やストレッチも効果的です。少しずつ筋肉を柔らかくしてあげましょう。手と手首・指のストレッチに効果的な「グーパー体操」などはおすすめです。
ただし、痛みを感じるときや腫れているときのストレッチは逆効果です。そのような時は腫れや痛みが治まるまで安静にしておきましょう。
この治療方法では薬を使ったりすることがないので、副作用などの心配がありません。その代わり、効果を実感できるまでには時間がかかります。地道な努力が重要です。
自分に合った治療方法を選ぶことが大切
上記の通り、手根管症候群にはいくつかの治療方法があります。しかし、人によって効果の表れ方はさまざまです。手術をせずに完治した方もいますし、手術しても痛みが取れていない方もいます。
まず大切なのは、手根管症候群になった原因を突き止めて改善してあげることです。症状に気づいたなら、なるべく早く対策を打ちましょう。
例えば、主婦の方であれば手首を酷使するような料理(炒め物)などをなるべく控えたり、現場での仕事を行っている方であれば、サポーターなどを賢く利用することによって症状の悪化を抑えることができます。
手根官症候群の症状緩和の第一歩は、自分自身の「症状の状態を知ること」「治療方法を選ぶこと」から始まります。
\この記事は私が書きました/
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