ドロッとした鼻水が喉に流れてきて辛い。
寝ている時も呼吸がしづらくてしっかり寝れない。
口臭も気になって人と話すのが嫌になってきた。
そんな辛い後鼻漏。
何をしても改善しない場合は漢方は効果的なのでしょうか?
今回は、そんな後鼻漏に対して効果的な漢方をご紹介していきますので是非参考にしてみて下さい。
後鼻漏とは?
鼻の粘膜は、1日に1リットルもの鼻水が分泌され、粘膜の表面を常に湿らせています。さらに鼻の粘膜は、ほこりやごみ、花粉やウイルスなどを吸着する働きもあります。つまり、吸い込んだ空気は、鼻を通過する時に加温され、さらに、空気中に含まれるほこりや細菌やウイルス、花粉などを取り除いて、肺に送り込むようになっているのです。
副鼻腔の粘膜の表面には「繊毛」が密集しています。この繊毛は、体を細菌やウイルスから守る働きがあります。
細菌やウイルスを吸着した鼻水は、この繊毛によって、鼻水として体外へ排泄されたり、鼻からのどへ送り出されたり、胃に飲み込まれて胃酸で消滅させたり、咳によって体外へ排泄されたりします。
副鼻腔炎になると、繊毛の機能が低下してしまいます。こうなると鼻水を排泄する機能が正常に機能しなくなるため、鼻水が副鼻腔に溜まったままになってしまいます。
この溜まった鼻水が継続的に喉へ流れる状態のこと後鼻漏といいます。
後鼻漏の場合は、ドロッとした粘り気のある鼻水が大量に喉に流れていきます。中には、喉にへばりついているように感じることもあります。
口から痰として出ることもありますが、喉にへばりついた感じだと、口から出そうと思っても出せないことも多いです。
後鼻漏は、仰向けで寝ている時も起こります。その場合は、喉に鼻水が流れたりへばりついたままになり、呼吸がしずらくなることもあります。人によっては、窒息しているような息苦しさで目を覚ます場合もあります。
このような後鼻漏は、副鼻腔に溜まった膿が混ざっています。ウイルスや細菌の感染によって、それらを排除しようと攻撃した白血球や細菌などの死骸、それが膿です。実はこの膿は臭いがします。嫌な臭いを自分で感じたり、口臭がきつくなったりします。
後鼻漏は副鼻腔炎で起こる?
後鼻漏は、副鼻腔炎や蓄膿症の症状のひとつです。
副鼻腔炎とは、左右に4つずつある副鼻腔に、風邪などをきっかけに、ウイルスや細菌などの感染によって、炎症が起こった状態です。
この副鼻腔炎が慢性化することで、副鼻腔に膿が溜まってしまいます。この状態を「蓄膿症」と言います。別名「慢性副鼻腔炎」とも呼ばれます。
このように副鼻腔炎や蓄膿症になると、後鼻漏の症状が出てくるのです。
後鼻漏に効果的な漢方は?
ではこの後鼻漏に対してどの漢方が有効なのでしょうか?
人それぞれ体質や身体の状態が違う為、漢方を飲んだからと言って、全員の後鼻漏が改善するということではありませんが、効果的だと言われている漢方は、辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)と言われる漢方です。
辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)
辛夷清肺湯とはどんな漢方なのでしょうか?
「夷」という字が当てられていることからも分かるとおり、「洟(はな)」の病気を治す漢方として代表的です。
「チクナイン」という市販薬をご存知でしょうか?副鼻腔炎や蓄膿症の市販薬です。このチクナインは、辛夷清肺湯を顆粒タイプと錠剤タイプに分けた商品です。
辛夷清肺湯の効果としては、
- 膿の排出効果
- 鼻詰まりの改善
- 炎症の改善
などです。
ですので、膿が原因となる、副鼻腔炎や蓄膿症による後鼻漏に効果があるとされています。
では、辛夷清肺湯は、どのような体質・状態の方に、体質改善の効果が見込めるのでしょうか?
- 乾燥しやすい
- 鼻水は少なく鼻詰まりがある
- 暑さや空気の乾燥などで症状が悪化しやすい
- 鼻~喉に熱感がある
などが挙げられます。
辛夷清肺湯は、どのような生薬が配合されているのでしょうか?
- 石膏(セッコウ)
- 麦門冬(バクモンドウ)
- 黄芩(オウゴン)
- 山梔子(サンシシ)
- 知母(チモ)
- 百合(ビャクゴウ)
- 辛夷(シンイ)
- 枇杷葉(ビワヨウ)
- 升麻(ショウマ)
計9種類の生薬が配合されています。
石膏(セッコウ)
石膏は植物ではなく、鉱物由来の生薬で「軟石膏」とも呼ばれます。天然の含水硫酸カルシウム(硬石膏は無水硫酸カルシウム)です。
主な効能としては、
- 清熱
- 止渇
- 沈静
などがあり、生理作用としては、解熱作用、消炎作用、止渇作用、血糖降下作用などがあります。
麦門冬(バクモンドウ)
麦門冬は、ユリ科のジャノヒゲの根の膨大部を乾燥したものです。
主な効能としては、
- 止咳
- 補陰
- 去痰
などがあり、せき、口の渇き、便秘などに効果があります。
切れにくい痰や咳き込む方にも適した生薬です。
黄芩(オウゴン)
黄芩は、シソ科コガネバナの根の周皮を除き、乾燥したものです。
主な効能としては、
- 抗菌
- 解熱
- 利尿
- 抗アレルギー
- 解毒
- 肝機能の活性化
などがあり、呼吸器感染、胃腸炎、下痢などに効果があります。
山梔子(サンシシ)
山梔子は、アカネ科のクチナシの果実を乾燥したものです。
主な効能としては、
- 清熱
- 除煩
- 消炎
などがあり、熱症状、のぼせ、イライラ感、不眠などに効果があります。
知母(チモ)
知母は、ユリ科のハナスゲの根茎を乾燥したものです。
主な効能としては、
- 清熱瀉火
- 滋陰潤燥
などがあり、煩燥、便秘、糖尿病、手足のほてりなど不快な熱感などに効果があります。
百合(ビャクゴウ)
百合は、ユリ科のオニユリやハカタユリなどのリン片葉を主に蒸して乾燥したものです。
主な効能としては、
- 潤肺
- 止咳
- 安神
などがあり、せき、動悸などに効果があります。
辛夷(シンイ)
辛夷は、モクレン科のコブシあるいはタムシバなどのつぼみを乾燥したものです。
主な効能としては、
- 解熱
- 発散
- 鎮痛
などがあり、副鼻腔炎や蓄膿症などに効果があります。
枇杷葉(ビワヨウ)
枇杷葉は、バラ科のビワの葉を乾燥したものです。
主な効能としては、
- 止咳
- 止嘔
などがあり、せき、痰、嘔吐などに効果があります。
升麻(ショウマ)
升麻は、キンポウゲ科のサラシナショウマなどの根茎を乾燥したものです。
主な効能としては、
- 解表
- 透疹
- 清熱
などがあり、麻疹、や蕁麻疹などの初期症状に効果があります。
小青竜湯(ショウセイリュウトウ)
風邪などの急性副鼻腔炎や花粉症に伴う水っぽい無色の鼻水の後鼻漏には、この小青竜湯が効果的です。
しかし、鼻水や鼻詰まりに対しては多少の効果が期待出来ますが、後鼻漏に対しての効果は期待できないとの意見もあります。
このあたりは、体質や身体の状態や違うためだと思われます。
ドロッとした鼻水が喉に流れてくるタイプの後鼻漏の場合は、辛夷清肺湯の漢方が適しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
漢方にはいろんな生薬が配合されており、様々な効果があります。後鼻漏に関しては、今回ご紹介した辛夷清肺湯が効果的かと思います。
一度試してみて下さい。
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