長年の蓄膿症でずっと鼻声だ。以前のような声にはもう戻れないのかな~。
しかも最近はおでこの頭痛がひどくなってきて、大好きな酒を飲むとよけいに頭痛がひどくなる。
病院へ行って抗生物質をいろいろと変えてもらったけど効果がなく、このまま飲み続けるのも不安だな~。
鼻詰まりがひどくて、臭いも分からず、趣味のお花の香りがわからないので楽しみがなくなった。
蓄膿症は治らないとネットに書いてあったからこの先が不安。
など、蓄膿症は様々な症状が出ます。
今回は、そんなつら~い蓄膿症はどんな症状がでるのか?治療法はどういうのがあるのか?などをご紹介しますので、是非参考にしてみて下さい。
副鼻腔とは
顔の真ん中で鼻の穴の奥に、鼻腔(びくう)という空洞があります。鼻腔の真ん中には、鼻中隔(びちゅうかく)と言う鼻の穴の間にある仕切りで、鼻腔を左右に隔てています。鼻中隔の左右には、それぞれ4つの空洞があります。これを副鼻腔(ふくびくう)と言います。
前頭洞(ぜんとうどう)
前頭骨の内部にあり、鼻の上方、おでこの下部にある空洞です。
上顎洞(じょうがくどう)
ほっぺたの骨の裏にある空洞で、副鼻腔で最も大きいのがこの上顎洞です。
篩骨洞(しこつどう)
両目の間の裏にある空洞です。
蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)
鼻の奥の一番深いところにある空洞です。
このように、副鼻腔は4つの空洞により構成されており、全てが細い穴で鼻腔に通じています。これらの副鼻腔は、薄い粘膜で覆われおり、粘膜の表面にはごく短い繊毛(せんもう)が密集しています。通常は、副鼻腔の中は空気で満たされている状態です。
蓄膿症とは
蓄膿症とは「慢性副鼻腔炎」のことで、年齢を問わず発症します。
副鼻腔炎とは、名前の通り、副鼻腔に炎症が起こった状態で、鼻水や、鼻詰まりなどの症状が出てきます。この副鼻腔炎がなかなか治まらず、慢性化することで、副鼻腔に膿が溜まってしまいます。この状態を「蓄膿症」と言います。
急性副鼻腔炎
症状が1カ月以内に治まるもの
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
症状が3カ月以上続くもの
副鼻腔に膿が溜まることで、鼻が詰まったり、嫌な臭いがしたり、頭痛といった症状が出てきます。様々な症状が日常生活に支障を引き起こし、治療を継続しても改善されない場合は、手術適応になることもあります。
蓄膿症の原因
蓄膿症になる主な原因は、
- 細菌やウイルス
- 花粉・ハウスダスト
- 鼻中隔の弯曲
- ノミ・ダニ・カビ
- 虫歯
- 好酸球
- ストレス
などがあります。
蓄膿症の症状
蓄膿症になる前の初期の急性副鼻腔炎の場合は、風邪やアレルギー性鼻炎のような、くしゃみや鼻水、鼻詰まり、頭痛といった症状が出ます。また、急性の場合は、強い頭痛が出る場合も少なくありません。
これは、ウイルス感染や、アレルギー反応によって、鼻の粘膜に炎症が起こることで、このような症状が出ます。こういう場合は、ほとんどの場合が自然に治ったり、短期間の抗生物質の使用で比較的簡単に治ります。しかし、自然に治らなかったり、症状が続いているにも関わらず、ちゃんと処置をせず、そのまま放置をしてしまうと、徐々に進行して慢性化し蓄膿症になってしまいます。鼻茸(はなたけ)というポリープができることもあります。最悪の場合は、手術適応になるくらい重症化するケースもあります。
頭痛がなかなか治まらなかったり、頭痛が出始めた時期と、鼻の症状が出始めた時期が同じ時期というような場合や、起床時に頭痛の痛みが強く出たり、眉間や頬を軽く叩くと痛みが出る、頭を下に向けると痛みが強くなる、というような場合は、蓄膿症の可能性が高いです。
蓄膿症になった場合は、鼻詰まりなどの鼻の症状や、頭痛、頭が重たく感じて集中できない、ボーっとして思考力の低下、疲れやすいといった症状が出たりします。
蓄膿症の主な症状は、
- 鼻水が止まらない
- 鼻詰まり
- 鼻声
- 粘り気のある鼻水
- 鼻水が黄色や黄緑色
- 鼻水が臭い
- 後鼻漏(こうびろう)
- 頭痛
- 頭が重い
- 顔の奥の痛み
- 目の間や頬っぺたの痛み
- 臭いが分かりづらい
- 喋りずらい
など、頭痛以外にも、鼻、顔、頭部の症状が出てきます。
鼻の症状
ウイルスなどの感染によって副鼻腔の粘膜に炎症が起き、この腫れによって鼻詰まりが起こります。鼻詰まりがひどくなると、口で呼吸をするようになります。口呼吸は口臭の原因になったり、のどの乾燥につながります。
また、後鼻漏と言って、粘り気のある鼻水がのどの方にドロッと流れ込むため不快に感じたりします。
さらに、鼻水の色が黄色や黄緑色になったり、鼻水が臭くなったりもします。
この鼻水の臭いが原因で、会話がスムーズにできないということもあるのです。原因は、蓄膿症による鼻水の臭いですが、口臭がひどいと勘違いする人もいます。しかし、口呼吸や鼻水の臭いによって、実際に口臭がきつくなるケースもあります。
顔の症状
顔の奥や、目の奥、頬っぺたなど顔が痛くなったり、圧迫感が出ることもあります。重度になると、吐き気や歯痛、熱が出ることもあり、嗅覚障害や味覚障害が起こり、臭いや味が分からなくなることもあるのです。
頭の症状
頭痛に関しては、片頭痛や緊張型頭痛の場合は、ズキズキするような痛みであったり、締めつけられるような痛みが出るのに対して、蓄膿症の頭痛は鈍痛が起こります。おでこから眉間にかけての頭痛が起こることもあります。
繊毛の重要な役割
繊毛の機能とは
鼻は、空気を吸い込む際に、加湿、加温し、空気中のほこり、細菌やウイルスを取り除いて肺に送り込んでいます。鼻の粘膜では1日に1リットルもの鼻水が分泌され、粘膜の表面を常に湿らせています。そして、鼻を通る空気を加湿したり、ほこりやごみ、花粉やウイルスを吸着する働きもあります。
粘膜の表面には繊毛が密集しており、細菌やウイルスを吸着した鼻水は、この繊毛によって、鼻水として体外へ排泄されたり、鼻からのどへ送り出されたり、胃に飲み込まれたり、咳によって体外へ排泄されたりします。つまり、体を細菌やウイルスから守る働きがあるのです。
副鼻腔炎になると、この繊毛の機能が低下してしまいます。機能低下を起こすことで、ウイルスや細菌を排泄できず、炎症が継続して、頭痛などの症状が出てしまうのです。
炎症の起こる場所によって痛みの出る部位が変わる
副鼻腔の4つのどの場所で炎症が起こっているのかによっても、頭痛などの症状の出る部位は違ってきます。
炎症は、上顎洞と篩骨洞に多いと言われており、前頭洞や蝶形骨洞では比較的少なく、特に蝶形骨洞は全体の3%と言われています。
前頭同の炎症
おでこから眉間のかけての頭痛
上顎洞の炎症
頬っぺたや歯の痛み
篩骨洞の炎症
目のあたりに痛み
蝶形骨洞の炎症
頭痛や頭重感
蓄膿症の治療法
蓄膿症の治療は、初期の段階では抗生物質やステロイド剤や、点鼻薬等の薬で治療を行ったりします。また、溜まっている膿を吸い取ったり、鼻の中を広げる処置をしたり、ネブライザーという細かい粒子状にした薬剤を副鼻腔に送る吸入療法などが行われることが一般的です。
薬物療法
消炎酵素剤
消炎酵素剤は、膿や痰を分解することで、鼻水や痰の排泄を促し、炎症を抑える抗炎症薬です。抗生剤の効果を助ける作用もあります。
去痰剤
去痰剤は、痰や膿の排泄を促進させる薬です。鼻水や膿の粘り気の原因となっているものは「ムチン」というものです。蓄膿症は、このムチンの分泌が過剰になってしまうため、粘り気のある鼻水が出るのです。
抗菌薬
副鼻腔炎になる原因菌があります。その原因菌に対する適切な抗菌薬を十分な量で使用することで、副鼻腔の細菌を減少、あるいは消失させる上で高い有効性が得られます。
マクロライド療法
これは、マクロライド系抗菌薬を少量で3ヶ月間内服する治療法です。ステロイド剤や免疫抑制剤などのように、強い作用はないので重い副作用の心配がありません。薬の量は通常の半分程度で、長期投与で効果を持続させます。
ネブライザー治療
耳鼻科などでは蓄膿症の治療として多く使用されています。
薬を液体にして鼻に入れたとしても、副鼻腔には届きません。ネブライザー療法は、抗生剤などの薬を霧状にして、粒子を細かくすることによって、鼻呼吸した時に、副鼻腔内の粘膜まで薬を送り込むという、噴霧吸入法です。鼻に器具をあてて、鼻で呼吸するというシンプルなものです。痛みもなく、子供から高齢者まで誰でも簡単に使用できます。
耳鼻科で行なうネブライザーと、市販の家庭用ネブライザーの違いは薬液が入っているかいないかです。耳鼻科では、ネブライザーには抗生剤や膿が出やすくなるような薬が入っています。
市販のネブライザーの場合は、生理食塩水のみなので、薬としての効果はありません。しかし、副鼻腔を保湿するという効果はあります。鼻腔や副鼻腔の乾燥した粘膜に潤いを与えて、繊毛の機能を促進させる効果が期待できます。
鼻水をしっかり出す
鼻水を出すことは非常に大切です。鼻水が出たら、吸わずに鼻をかむようにしましょう。鼻水にはウイルスや細菌が含まれています。体にとって害になるウイルスや細菌を排除しようとする体の反応で鼻水が出るのです。なので、鼻水は吸わずにかむようにしてください。鼻をかむ時は、左右別々でかむ方が良いです。
手術療法
薬物療法などで改善が認められなかった場合や、重度の蓄膿症の症状の方に適応となります。
手術療法には、顔面を切開して行う方法と、鼻の穴に内視鏡を挿入して行う内視鏡手術があります。内視鏡下副鼻腔手術と呼ばれます。現在では、ほとんどの症例でこの内視鏡下副鼻腔手術が行われています。
内視鏡を挿入し、各副鼻腔に穴を開ける手術です。穴を開けることで、副鼻腔内の換気、循環を良くして、副鼻腔内に溜まった膿が排泄しやすくします。副鼻腔内を、膿がない状態に保つことにより、炎症で腫れた粘膜が正常な粘膜に置き換わり、頭痛が治まったり蓄膿症が改善されます。
まとめ
蓄膿症は鼻・顔・頭を中心に様々な症状が出て非常につらいです。症状が出たら、早めに耳鼻咽喉科の受診をお勧めします。治療法もありますが、何をしてもいまいち効果がなく、日常生活に支障をきたすとなると、この先が不安になるという人も多いのです。
蓄膿症は、膿が溜まってうまく排泄ができなくなっています。ですので、リンパや血液の循環を上げることで膿が排泄されます。さらに、ストレスなどによって自律神経が正常に機能していないと、免疫の低下が起こり、炎症を抑えられなくなってしまうのです。頭痛や顔の痛みに関係する神経は自律神経です。なので、自律神経を調整することでも改善することができるので、蓄膿症でいろいろ試しても効果がないとお悩みの方は、一度当院にご相談下さい。
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