ぎっくり腰になるとどんな症状が出るのか?以前ぎっくり腰になって今でも腰が痛いのだけど?
というようなぎっくり腰に対して疑問を持っている方も多いかと思います。そんなあなたのために、今回はぎっくり腰とはどういうものか??どんな症状がでるのか??についてご紹介していきます。
腰痛の実は!?
腰に痛みが出るものを腰痛と言います。ぎっくり腰もそのうちの一つです。
そんな腰痛は2つに分類されます。
- 特異的腰痛
- 非特異的腰痛
2つの違いを簡単に説明すると、
特異的腰痛
医師の診察や画像検査(レントゲン・MRI)などで原因の特定ができるもの
非特異的腰痛
原因が特定できないもの
となります。
特異的腰痛は、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎分離症、圧迫骨折などがあります。これらはレントゲンやMRIなどの画像検査で原因が特定できます。
これに対して非特異的腰痛は、椎間板障害、椎間関節障害、仙腸関節障害、筋・筋膜性腰痛などがあります。これらは、レントゲンやMRIでもはっきりと原因が特定できません。
非特異的腰痛の約80%は、3ヵ月以内に自然に改善すると言われています。臨床的には「命に危険のない疼痛」と考えられています。しかし、いったん痛みが落ち着いても、1年以内の再発率は、約80%と非常に高いことが報告されています。
両者の割合はなんと、
・特異的腰痛・・・15%
・非特異的腰痛・・・85%
実は、85%が原因が特定できないのです。
ぎっくり腰は、この非特異的腰痛に分類されます。
なぜ、85%も原因が特定できないのでしょうか?
非特異的腰痛の特徴として、痛みは腰に出るのですが、腰に必ず原因があるとは限らないのです。原因となり得ることは様々で、筋肉や関節の硬さ、筋力低下、体の歪み、運動不足、疲労、生活環境の問題、姿勢不良、肥満、内臓など、複数の要因が関係しています。なので、原因を特定するのが難しいケースが多いのです。
ぎっくり腰とは?
ぎっくり腰は、突然、腰に激痛が出て動けなくなります。厳密には、ぎっくり腰という診断名はなく、正式には「急性腰椎症」や「腰椎捻挫」と呼ばれます。その痛みの様子から、欧米では「魔女の一撃」とも言われています。
たまに、腰椎椎間板ヘルニアの初発症状で、ぎっくり腰のような激痛が出ることがあります。
・腰椎椎間板ヘルニアとは
腰椎の骨と骨の間にある、クッションの役割をしている椎間板という組織があります。その椎間板の中に髄核と言われるジェル状の組織が存在してます。加齢変性やスポーツ、仕事などにより、腰に繰り返しのストレスがかかり、髄核がブチュッと外に飛び出して、腰椎の周囲を通っている神経を圧迫してしまった状態です。20~40歳代に好発し、腰の痛み以外に下肢のしびれや感覚障害、筋力低下が見られる場合もあります。腰椎椎間板ヘルニアは、MRIで診断可能です。
椎間板の中から髄核が外に飛び出して、神経を圧迫した時に、炎症が起きてぎっくり腰のような激痛が出るのです。ぎっくり腰になった後に、足のしびれや、感覚障害、筋力低下が起きている場合は、腰椎椎間板ヘルニアのような病態が隠れているかもしれませんので注意してみてください。
ぎっくり腰の、痛みの出方や度合い、原因は人それぞれで、早ければ2~3日で治まることもあります。痛みが長引いて、数ヵ月も経つと、なかなか改善しない慢性的な腰の痛みに移行することもあります。
ぎっくり腰の原因
ぎっくり腰は、原因がはっきりと分かっていません。しかし、ぎっくり腰の原因になり得ることはいくつかあります。
- 筋力低下
- 筋疲労・柔軟性の低下・筋バランスの崩れ・冷え
- 身体の歪み・姿勢
- 急な過負荷
- 内臓由来
- 体の使い方
などが考えられます。そして、ぎっくり腰になりやすい動作としては、
・重たい荷物を持った時
・子供を抱っこした時
・起き上がろうとした時
・立ち上がろうとした時
・咳やくしゃみをした時
・洗顔で前かがみになった時
・自転車を持ち上げた時
・階段を上がろうとした時
・前かがみの姿勢から捻った時
などがあります。これ以外にもちょっとした動きでぎっくり腰になることもあります。ぎっくり腰は「重たい物を持った時」になるというイメージを持っている方が多いですが、それだけではなく、特にきっかけになった動作が分からないぎっくり腰もあります。
ぎっくり腰の症状は?
魔女の一撃と言われるほどのぎっくり腰は、どのような症状が出るのでしょうか?ぎっくり腰の症状は、軽度のものから重度のものまで人によって様々です。
- 歩けないほどの強い痛み
- ゆっくりならなんとか歩けるが体勢を変える時に痛い
- 立ち上がれないし起き上がれない
- 寝返りができない
- 前かがみや後ろに反らすと痛い
- 立ってるだけで精一杯
- 椅子に座れない
- 咳やくしゃみをすると腰に響く
- 最初は腰の違和感だったが、徐々に痛みが増して数時間後には動くことができない
- 冷や汗が出る
などの症状が出ます。痛みは、腰からお尻にかけて出ることが多いです。
ぎっくり腰と聞くと、急に激痛が走って動けなくなるとイメージするかと思いますが、それだけではなく、急な痛みがなくても、徐々に痛みが強くなるぎっくり腰の症状もあります。痛みの度合いや、症状の出方など、人によって様々な症状があるのです。
例えば、何か重たい物を持つなど、腰に負担のかかる動作を行った瞬間に、激痛が出ることがあります。また、動作を行った瞬間は、痛みは感じなく、時間がたつにつれて、徐々に違和感が出てきます。そして、動きがだんだんゆっくりになり、最終的に夜になった時には動けなくなる、というようなぎっくり腰の症状の出方もあります。
歩行時の痛み
ぎっくり腰の症状のひとつに歩行時の痛みがあります。具体的な症状は、
・痛くて一歩も足が出ない
・痛みは強いがゆっくりならなんとか歩ける
・痛いけど何とか歩ける
・一人では歩くことができないが、誰かに支えてもらうと歩くことができる
・何とか歩くことは出来るが、椅子に座れなかったり、体の向きを変えることができない
・何とか歩けても首を左右に向けると痛い
というように、ぎっくり腰の歩行時の痛みだけでも様々な症状があるのです。
ぎっくり腰は、腰が痛いのになぜこのように、腰以外を動かしても症状が出るのでしょうか?
それは、全身はつながっているということと、腰は体を動かす際の土台として働くためです。
全身のつながり
足を前に出すという動きをするときには、必ず片足立ちになる瞬間があります。この片足立ちの瞬間に、体のバランスを保つ必要が出てくるのです。このバランスを保つ筋肉の中で主に作用するのが、背骨の横についている脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)と、お尻についている中殿筋(ちゅうでんきん)と言われる筋肉です。もちろんこれだけではありませんが、代表的な筋肉です。脊柱起立筋は背骨の横を頭から腰まで付いている長い筋肉で、腰椎や骨盤に付着します。中殿筋も骨盤に付着しています。そのため、こういった筋肉が歩行の際にバランスを保とうと収縮するので、付着する骨盤や腰椎には、当然引っ張られる力がかかるのです。それによって痛みや症状が出てしまうのです。動かしているのは足ですが、それによって、足以外の筋肉が働くのです。つまり全身はつながっているということです。
土台としての作用
腰には、腰椎しか骨がないため不安定な構造をしています。なので、周囲の筋肉によって安定させることができています。この筋肉は体幹のインナーマッスルと言われており、これが非常に重要になってきます。インナーマッスルとは、主に4つの筋肉に囲まれた一つのユニットです。これらの筋肉を中心に、骨盤の上に乗っている腰椎を支えています。
さらには、手を上げたり足を動かしたりする時など、動作をする前に、先行してこのインナーマッスルが収縮して、腰椎や骨盤などの体幹を安定させて、それぞれの動作が効率よくできるように作用しているのです。つまり、体幹のインナーマッスルは、体を動かす際に土台になる筋肉なのです。
このインナーマッスルがしっかりと機能していないと、他の筋肉が代償で収縮するので、体のどこかを動かそうとすると、腰椎や骨盤が不安定のまま周りの筋肉に引っ張られる形になります。それによって痛みや症状が出るのです。
咳やくしゃみをすると腰に響く
ぎっくり腰の症状には、咳やくしゃみをすると、腰に痛みが響くことがあります。なので、席やくしゃみをするのが怖いという方もいます。これは、咳やくしゃみをすることで、瞬間的に腹圧が上がるために出る症状です。一瞬で腹圧が上がると、腰椎を前から後ろに押し出す力がかかります。なので、腰に響いて痛みや症状が出てしまうのです。
ぎっくり腰の症状の出方は?
ぎっくり腰を経験したことがある人は分かるかと思いますが、ぎっくり腰といっても症状の出方はいろいろです。
・昔に1度だけぎっくり腰になったことがある
・2年に1回のペースでぎっくり腰になる
・ある時期になると(季節の変わり目など)ぎっくり腰の手前の抜けそうな感じがする
・以前は2年に1回の頻度だったが、それが1年に1回、半年に1回と徐々に頻繁に繰り返すようになり、今ではずっと鈍痛が残っている
など、人それぞれです。ぎっくり腰だからといって、激痛が数日続くだけではありません。
ぎっくり腰が慢性化した場合の症状は?
ぎっくり腰は急性腰痛と言い、その痛みが3ヵ月以上続くと慢性腰痛と言われます。ぎっくり腰から慢性腰痛に移行することも結構多いので、ぎっくり腰になった時は、適切な治療を早い段階で受けてた方が良いでしょう。
慢性腰痛の症状としては、ぎっくり腰になった時の激痛に比べると、痛みは少ないです。いわゆる「鈍痛」と言われる、鈍い痛みの症状が出ます。具体的には、腰が「だるい感じ」「重たい感じ」と表現されることが多いです。また、症状が強くなったり楽になったりを繰り返す場合もあります。人間の背中には大きな筋肉がいくつかあります。その中には腰から肩、首にかけてつながっている筋肉もあります。そのため、慢性化することで、背中の痛みや怠さ、肩こりや首の違和感などの症状が出てくることもあります。慢性化すると、腰が痛い時でも安静にしてても症状を改善することは難しくなります。逆に、日常的な痛みがストレスとなって、余計に痛みを悪化させたり、長引いたりすることもあるのです。
このようにぎっくり腰が慢性化してしまうと、症状がなかなかとれなかったりすることも多いので、ぎっくり腰になった時は早期に症状の改善をするための治療をしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?ぎっくり腰を経験したことがある方はなんとなく分かって頂けたかと思いますが、ぎっくり腰の経験のない方は、ぎっくり腰に対する印象が変わったのではないでしょうか。ぎっくり腰には様々な症状があります。今回はぎっくり腰の具体的な症状をいくつかご紹介しました。これ以外にも、人によってぎっくり腰の症状の出方や程度はいろいろあります。
また、ぎっくり腰の急性の腰の痛みから慢性的な腰の痛みに移行することも多いので注意して下さい。
\この記事は私が書きました/
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