不安障害は、ある環境や状況になると強い不安や緊張などを感じ、動悸や頭痛、めまいや吐き気などの症状や、発作が起こります。
不安障害に対しての対処法はあるのか?発作が起こった時はどう対処すればいいのか?
など不安障害に対しての疑問は多いですよね?
今回は、不安障害の種類や、不安障害の発作が起こった時の対処法などをご紹介していきますので、参考にして下さい。
不安障害とは何?
不安障害とは、不安感や恐怖感、過度の心配や緊張を主な症状とする精神疾患のことです。ある環境や状況に対して、過剰な不安や恐怖が出ることによって、身体的な症状が出て、精神的な苦痛を感じることで、不安や恐怖を感じる状況を避けようとする回避行動により、日常生活に様々な支障をきたすようになる状態を「不安障害」と言います。
不安や恐怖という感情は、、普段の生活の中でも、責任重大の仕事を任された時や、試験前、独立して仕事をしていく時など、不安を感じることはあるのが普通です。これは、脳が「危険である」と認識したときに起こる感情であり、正常な自己防衛反応なのです。
しかし、不安感や恐怖感の度合いが、明らかに過剰であったり、長期間持続することで、心身に影響が出て、日常生活に支障が出ている場合は、不安障害の可能性が高いです。
不安障害は、本人の「性格的特徴」によって左右され、「苦痛を感じている」ということが重要なポイントになります。
以前では、この不安障害は「神経症」や「不安神経症」などと言われていました。また最近では、「障害」という文言が偏見につながるという見方もあり、その配慮から「不安症」と言われることもあります。
不安障害はどんな種類があるの?
- 分離不安障害
- 選択性緘黙症(せんたくせいかんもくしょう)
- 限局性恐怖症
- 広場恐怖症
- パニック障害
- 社会不安障害
- 全般性不安障害
- 強迫性障害
- 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
分離不安障害
分離不安とは、乳幼児の子供が、親が自分から離れると不安を感じることです。この分離不安は、子供の時期では自然な感情です。しかし、成長していく中で、この不安感が過剰になり、精神的な不調や、頭痛、腹痛、吐き気、動悸などの身体的な症状が続き、回避行動をとることで、日常生活に支障が出るものを「分離不安障害」と言います。これは年齢関係なく起こります。
- 特定の人と離れている間、または離れることが予測されることで不安
- 特定の人が病気になったり、事故や災害に合うのではないかと不安
- 特定の人がいない状況、自分一人でいる状況が不安
など、こういった不安によって、外出できなくなったり、そういう状況にならないように回避行動をとるようになってしまう不安障害です。
選択性緘黙症
緘黙とは、言語能力があるのにも関わらず、しゃべれない状態です。選択性緘黙症は、他の状況では普通に話すことができるのに、ある特定の社会的状況(学校や会社)では、一貫して話すことができなくなる不安障害です。
これによって、
- 仕事の成績が上がらない
- 人間関係が上手くいかない
- 外出できない(引きこもる)
などの日常生活に支障をきたしてしまいます。
限局性恐怖症
限局性恐怖症とは、特定の対象物や状況に対して、過剰な恐怖を感じることで、めまいや吐き気、パニックや失神などの症状が出て、日常生活に支障が出てしまう不安障害です。
限局性恐怖症には4つのパターンがあります。
- 状況型(高所・閉所・暗所など)
- 動物型(動物・昆虫など)
- 血液・注射・負傷型(採血・手術・怪我など)
- 自然環境型(地震・火事・雷など)
- その他
広場恐怖症
広場恐怖症は、逃げ場がない状況や、自分がコントロールできない状況に対して過剰な恐怖を感じる不安障害です。
例えば、電車や飛行機、エレベーターなど、普通の人では「逃げ場がない」と感じない状況でも、過剰な恐怖を感じてしまいます。
この広場恐怖症は、パニック障害と合併することが多く、発作を経験したことが原因となって、「いつどこで発作が起こるのか不安」という気持ちから広場恐怖症になってしまいます。
こうした悪循環から、徐々に行動範囲が狭くなり、公共機関がつかえなくなったり、外出ができなくなって引きこもってしまうこともあります。
パニック障害
パニック障害の発作は、強い恐怖感が突然、下記の症状とともに現れます。
- 動悸
- 発汗
- 体や手足が震える
- 呼吸困難
- 胸の圧迫感・不快感
- 吐き気
- 腹痛
- めまい・ふらつき
- 自分自身ではないような感覚
- 気が狂う恐怖に襲われる
- 寒気・ほてり感
こういった発作は10〜30分ほどで落ち着きますが、一度パニックを起こすと、また同じ場所や同じ状況になると再びパニックを起こすのではないか、という「予期不安」に襲われ、外に出るのが怖くなるなど、日常生活に支障をきたすようになる不安障害です。
社会不安障害
社会不安障害は、人からの注目や人と接することへの不安や緊張が過度となり、心身や日常生活に様々な支障をきたす不安障害です。
例えば、「大勢の人の前で話すのが緊張する」「初対面の人だと緊張したり恥ずかしいと思う」など、このような場面での不安感が強く以下のような症状が出ます。
- 手が震える
- 頭が真っ白になる
- 大量の汗が出る
- 声が震えたりひっくり返ったりする
そして、こういった状況で苦手意識が強くなり、この状況から回避行動をとることで、ますます同じ状況での不安感が強くなってしまうのです。そういった悪循環の結果「仕事や学校に行けない」ということになってしまうのです。
全般性不安障害
全般性不安障害は、日常生活の中で、まだ来てもいない未来の出来事に対して、過剰な不安や心配を感じてしまいます。これらの過剰な不安や心配は、作業効率的の低下につながり、本人もそれには気づいているのですが、自分自身でこの不安な気持ちを制御することが難しい不安障害です。
- 仕事で失敗をしないか不安
- 人に嫌われないか不安
- 周囲の期待にこたえられるか不安
この全般性不安障害の方は、
- 自己懐疑的
- 自意識過剰
- 完壁主義
- 周囲からの批判に敏感
- 安心感を求めている
- 傷つきやすい
といった特徴があり、常に防御的で緊張しているため、頭痛、発汗、めまい、腹痛などの体の症状を訴えることがあります。
強迫性障害
強迫性障害は、ある考えやイメージが何度も浮かんできて、同じことを繰り返す不安障害です。
誰でも経験があるのは、鍵をちゃんとかけたのか心配になり、戻って確認するというような行為です。これだけでは強迫性障害にはなりませんが、これが過剰になって、日常生活や精神状態に影響する状態を強迫性障害と言います。これは「鍵をかけ忘れたのではないか」という強迫観念にとらわれてしまい、その不安を解消するために「何度も戻って確認する」という強迫行為が結びついています。
自分でも分かっているのですが、止められないのです。このサイクルが、何度も繰り返されることで、悪循環に陥ってしまうのです。その結果、外出できなくなってしまうこともあります。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)
生死に関わるような危険な体験をしたり、その現場を目撃することで、強いショックを受けます。そしてそれが「トラウマ」となって残ることで発症するストレス障害を心的外傷後ストレス障害(PTSD)と言います。
- 自然災害(地震・火事・津波など)
- 社会的不安(戦争・テロなど)
- 生死に関わる体験(事故・犯罪・虐待など)
- 喪失体験(家族や友人との死別など)
このようなトラウマとなっていることが、時間が経っても何度も、その体験が思い出され、また、その時感じた恐怖と同様な恐怖を感じ続けるので、日常生活にも支障が出る不安障害です。
発作や症状が出た時はどう対処すればいいの?
不安障害には種類がたくさんあります。もし発作や症状が出た場合の対処法はどうすれば良いのでしょうか。
事前に対処法を決めておく
周囲の人と事前に、発作が起こった時は状況に応じてどう対処するのかを決めておくことも、不安障害に対する対処法のひとつです。例えば救急車を呼ぶのか、落ち着くまで誰かが側に付いていればいいのか。どう対処すればいいのか分からない方も多いので、事前に対処法を決めておくことが望ましいです。
多くの場合は、数分から長くても30分で発作は治まりますので、そういったことを周知してもらうのもひとつの対処法です。
その状況を中断する
その状況を中断するという対処法はなかなかやりずらいことも多いかと思います。講演会やイベント会場などで、発作や症状が出た場合は、その場から離れるという対処をとるか、中断するということも対処法のひとつです。
深呼吸をする
発作や症状が出たときは、呼吸が短く浅くなります。4秒間吸って6秒間で吐くことを意識しましょう。呼吸が短く浅くなることで余計に不安になりますので、呼吸をしっかりコントロールして対処して下さい。深呼吸による対処がきちっとできると、自律神経が整い徐々に落ち着いてきます。
ずっと続くものではないと自分に言い聞かせる
発作は永遠に続くものではありません。対処法として、「すぐに落ち着く」と自分に言い聞かせてみてください。自分が不安や恐怖を感じていることを意識すると、余計に不安な気持ちが高ぶって悪循環してしまいます。「死んでしまうのかな」「吐いたらどうしよう」「恥ずかしい」など、こういったことを考えてしまうと、症状がさらにひどくなるだけです。
意識をそらすために、他のことを考えるもの不安障害の対処法として効果的です。
涙が止まらない場合は、気が済むまで泣く
涙を流す行為は、ストレスの発散や軽減させたり、情緒を安定させる目的があります。一番良くないことは、我慢することです。涙が止まらない時は、気が済むまで泣くことが不安障害の良い対処法です。泣けば気分がスッキリとします。
香りをかぐ
アロマオイルを数滴たらしたハンカチを持っておきます。発作や症状が出たときの対処法は、このハンカチを鼻に当てて、香りを吸い込み、ゆっくりと呼吸をしましょう。
臭いと言うのはリラックス効果があるのでこういった対処法もあります。人によってリラックスする臭いが違いますので、自分が発作が出た時に、どの臭いならうまく対処できるのか考えて選んでみて下さい。
周囲が「落ち着け」というのは逆効果
不安障害の方が発作や症状が出た時に「落ち着け」と言う対処は逆効果です。
なぜかというと、不安障害の方は、症状や発作が出たときに、周りから「落ち着け」と言われると余計に不安になったり、腹が立っりすることがあります。「落ち着けないから苦しいのに」と思ってしまうのです。
さらに、パニックを無理やり止めようとして、手や足をつかんで体を抑え込んで落ち着かせようとすることはやらない方が良いです。
こういった対処法は逆効果なので覚えておいてください。
しかし、周囲の人は自分を助けてくれようとしているのは事実ですので、そこだけは理解しておいてください。
そもそも、そういった状況で「落ち着け」と言われて落ち着けるなら、不安障害ではないのではないでしょうか。
あなたのそばで不安障害の発作が起こったら?
あなたのそばで発作が起こったらどう対処すればいいのでしょうか。
効果的な対処法です。
- 深呼吸をさせる
- すぐに治まると言い聞かせる
- その場を離れる
- 意識をそらす
こういったことをして対処してあげてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?不安障害の発作や症状はいつどこで出るかわからないことも多いです。もし発作が起こってしまったらどうすれば良いのかという対処法を知っているだけでも、自分をコントロールしやすくなりますし、逆に、あなたの周囲で発作が起きた時の対処法も分かっておいてください。
今回の不安障害に対する対処法の内容は意外と知られていないので、是非参考にしてみて下さい。
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