ここ最近、「不安障害」という言葉を耳にするようになってきました。
不安や恐怖といった誰にでもある感情が、過剰に感じてしまう精神障害の一種です。
9種類のパターンがあり、症状の出方も人によって異なるため、本人も気づいていないことも多いのが現状です。
そんな不安障害は治し方はあるのか?
そこで今回は、「不安障害の治し方」についてご紹介していきますので、是非参考にしてみて下さい。
不安障害とは
不安障害とは、不安感や恐怖感、過度の心配や緊張を主な症状とする精神疾患のことです。ある環境や状況に対して、過剰な不安や恐怖が出ることによって、身体的な症状が出て、精神的な苦痛を感じることで、不安や恐怖を感じる状況を避けようとする回避行動により、日常生活に様々な支障をきたすようになる状態を「不安障害」と言います。
不安や恐怖という感情は、、普段の生活の中でも、責任重大の仕事を任された時や、試験前、独立して仕事をしていく時など、不安を感じることはあるのが普通です。これは、脳が「危険である」と認識したときに起こる感情であり、正常な自己防衛反応なのです。
しかし、不安感や恐怖感の度合いが、明らかに過剰であったり、長期間持続することで、心身に影響が出て、日常生活に支障が出ている場合は、不安障害の可能性が高いです。
不安障害は、本人の「性格的特徴」によって左右され、「苦痛を感じている」ということが重要なポイントになります。
以前では、この不安障害は「神経症」や「不安神経症」などと言われていました。また最近では、「障害」という文言が偏見につながるという見方もあり、その配慮から「不安症」と言われることもあります。
不安障害は9種類
不安障害には9種類あります。
- 分離不安障害
- 選択性緘黙症(せんたくせいかんもくしょう)
- 限局性恐怖症
- 広場恐怖症
- パニック障害
- 社会不安障害
- 全般性不安障害
- 強迫性障害
- 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
不安障害の治し方
不安障害を治し方は、まず原因を考える必要があります。しかし原因ははっきりと分からず、環境や性格によることが多いのです。では、なぜ精神的に障害が出てしまうのでしょうか。
このような精神的な障害の場合は、自律神経が影響してきます。自律神経が正常に機能していないことが土台にあることで、精神的なストレスを受けやすくなってしまうのです。不安障害の治し方は自律神経を正常に機能させることです。それには生活習慣の改善が必要不可欠です。さらに、薬を使った薬物療法での治し方や、薬を使わない精神療法などの治し方があります。
- 薬物療法
- 精神療法
- 生活習慣の改善
自律神経とは
自律神経とは、交感神経と副交感神経の2つからなり、両者がバランスを保ちながら機能しており、人間の身体をコントロールしている神経です。自分の意思でコントロールすることができず、無意識の中で24時間常に機能している生命維持に必要不可欠な神経です。そんな自律神経は、代謝・循環・消化・発汗・心拍・排尿・排便などの生きていく上で欠かせない機能を正常に保つように働いてくれているのです。
この自律神経が正常に機能しないと、身体的な不調や精神的な障害が出やすくなります。
薬物療法による治し方
抗不安薬
抗不安薬による治し方です。抗不安薬は、「ベンゾジアゼピン系」といわれるタイプのもので、精神安定剤とも言われます。効果としては、神経伝達物質の一つであるGABAの働きを強めることで、興奮状態の神経を鎮めることができます。抗不安効果の他、寝つきが悪いなどの不眠の症状に対して、睡眠を誘発する効果や、緊張状態によって硬くなっている筋肉や身体をやわらげる効果や、抗痙攣効果もあります。
不安症状が強い場合には、SSRIと併用して服用する治し方もあり、短期間の使用が望ましいとされています。
抗うつ薬
抗うつ薬による治し方です。抗うつ薬でも代表的なものが、SSRIという薬です。これはセロトニンの分泌を促進させることで、不安を生じにくくさせる効果があります。不安が生じにくくなることで、回避行動の減少を促し、新たな行動パターンの確立が期待できるという治し方です。SSRIは効果が出るのに2週間はかかります。飲んですぐに効果がでるわけではありません。また再発予防のため、1年以上継続することが望ましいとされています。
セロトニンとは
セロトニンとは脳や腸で生成されるホルモンで、「幸せのホルモン」とも言われており、精神的な安定やストレスの抑制に効果があります。
このSSRIは、不安障害の治し方に対して有効性が高く、他の薬に比較して服作用が少ないのが特徴です。また、不安障害に併発することの多いうつ病に対しても同時に治療できるというメリットもあります。
精神療法による治し方
認知行動療法
認知行動療法による治し方です。
不安障害に対して、不安や恐怖に対する間違った思い込みを、認知と行動で変えていく治し方が、認知行動療法です。不安障害には、認知行動療法による治し方が有効との報告が多くみられるようになっています。
例えば、パニック障害であれば、電車に乗っている時に発作が起こり、発作が終わった後にも動悸が残っていると「このままでは死ぬのではないのか」と感じてしまいます。このような経験をすることで、「電車に乗ると発作が起こる」と思い込んでしまうのです。このようなネガティブな思考パターンが、予期不安へと発展し、悪いサイクルとなってしまいます。
不安障害の考え方の特徴
- マイナス思考
- 100か0かの考え方
- 物事の悪い部分だけしかみえない
- 全て自分の責任だと感じる
- 自分の感情を基準に考える
このような考え方が不安障害では特徴的です。
認知行動療法によって、今までの自分の考えや感じ方に対して、新しい認識と行動パターンを覚えさせていくことで、不安や恐怖に対してのセルフコントロールしていくことができ、症状の出る状況に対応できるような治し方をしていきます。
認知行動療法
①認知行動療法や病気を理解する
自分の不安障害の病気について、発作や予期不安が起こるメカニズム的なところや、認知行動療法とはどういった治し方なのかというところを理解していきます。
②自分の状態を客観的に見て理解する
- 不安や発作の頻度・症状
- どういった状況で不安が強くなるのか・発作が起きるのか
- 自分が何に対して不安なのか
ということを理解していきます。
③自律訓練法
自律訓練法(6つの公式)
自律訓練法の効果としては、
- 疲労回復
- 血行促進
- 緊張の解消
- 抗ストレス効果
- 集中力アップ
- セルフコントロール力アップ
- 弛緩作用
- 精神の安定
などがあります。
方法を説明します。
まず、静かな部屋で、リラックスできるBGMを静かに流します。
体を締めつけない服装で、ベルト・眼鏡・時計は外します。
基本姿勢は、仰向けに寝るか、椅子に座るかどちらかです。仰向けの場合は、自分の高さにあった枕を使用します。椅子の場合は、膝の上に手を乗せます。全身の力を抜き、頭を軽く前に倒します。
両腕は指、手首、肘は軽く曲げた状態で体につかないように横に置きます。両足は、軽く開いてつま先が外側を向くようにします。膝の下にクッションを入れても大丈夫です。
全身の力を抜いて、目を閉じます。
そのままの状態で、「気持ちが落ち着いている」と頭の中で繰り返します。自然に気持ちが落ち着いている感覚になることが重要です。気持ちが落ち着いたら次に進みます。
1 重感練習
両腕両足が重たいと感じる練習です。利き腕から始めます。
右利きの場合「気持ちが落ち着いている。右腕が重たい」と頭の中で繰り返します。
意識を右腕の指先から肩に集中させます。重たく感じることが重要です。重たく感じたら同時に反対の腕も重たい感じを感じます。
両腕が重たく感じれたら、「両腕が重たく右足も重たい」と同じように行い「両腕が重たく両足も重たい」と進みます。
2 温感練習
両腕両足が重たく感じたまま、「右腕が温かい」と頭の中で繰り返し、温かいことを感じます。同様に左腕、両足と行います。
3 心臓調整練習
心臓が静かに鼓動している
4 呼吸調整練習
楽に呼吸している
5 腹部温感練習
お腹が温かい
6 額涼感練習
額が心地よく涼しい
このように進めていきます。最初は2番目まででも十分効果があります。
生活習慣の改善による治し方
不安障害の治し方に生活習慣の改善があります。問題となる生活習慣の乱れとはどういうことなのでしょうか。
- 偏った食生活
- 不規則な睡眠
- 運動不足
人は、食事で身体を作り、運動で代謝し、睡眠で回復する、という3つの大きな原則があります。そして、この3つの質を上げることによって、自律神経の状態も変わり、不安障害の治し方として効果的になります。
食生活の改善による治し方
食生活の改善は、自律神経を整えるうえで大切です。頻繁な外食や、コンビニ弁当、ラーメンやジャンクフードの食べ過ぎは、栄養バランスが偏ってしまうので、体にも良くなく、自律神経も整いにくくなってしまいます。ですので、栄養バランスの摂れた食事を心がけましょう。
栄養バランスの摂れた食事とは、「一汁三菜」を基本としたメニューにすることです。これは、主食、汁物、おかず(メイン1品、小鉢2品)というような、和食のイメージです。これを意識することで、糖質、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルをバランスよく含んだメニューに近づけることができます。
食生活の改善は不安障害の治し方としてとても重要です。
規則正しい睡眠による治し方
脳には、視床下部(ししょうかぶ)という場所があります。自律神経はその視床下部によってコントロールされています。さらに視床下部には、体の様々な情報が伝達され、睡眠、覚醒、体内時計の調節もしています。なので、不規則な生活習慣によって、睡眠時間が極端に短かったり、睡眠不足が続いたり、寝る時間や起きる時間が毎日バラバラだと、視床下部を介して自律神経に影響して不安障害に影響します。
自律神経を整えるうえで、睡眠時間をしっかりと確保することと、規則正しい睡眠生活も不安障害の治し方としてはとても大切です。
適度な運動による治し方
散歩やウォーキングなどの有酸素運動は、自律神経を整えるのに効果的で、不安障害の治し方に良い影響を与えます。
運動することは、全身の筋肉を使います。筋肉が動くことによって血流循環や代謝が良くなり、呼吸が増えることで、全身の細胞に酸素が運ばれやすくなります。これによって身体はリラックスし、自律神経が整いやすくなるのす。
また、運動することによって、セロトニンの分泌が増加しますので、精神的な安定やストレスの抑制に効果的です。
週に3日くらいは運動をする習慣をつけましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。不安障害の治し方にはいくつかありますが、今すぐにできる治し方は、やはり生活習慣の改善です。食事、睡眠、運動を中心に改善して、自律神経を整えましょう。また生活習慣の改善は、不安障害の治し方だけでなく、予防や健康にとっても良い事なので是非行って下さい。
当院では、自律神経の整体を行っていますので、不安障害でお困りの方は一度ご相談下さい。
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