脊柱管狭窄症の手術は現在6つありますが、その中でも最近は背中を切り開く必要がない内視鏡手術が主流になってきました。また内視鏡手術の場合、入院日数も短ければ4日と、以前よりぐんと短くて済むようになりました。
手術費用においては、内視鏡手術であっても切開手術と同水準の費用で済みますし、高額療養費制度があるので、費用が驚くほど高額になる心配もありません。
具体的な入院日数と費用の目安を知って、脊柱管狭窄症の手術に対する心の準備を始めましょう。
1.椎弓切除術は30~40万円、2〜3週間で退院
背中を切開して、神経を圧迫している骨などを取り除く手術です。棘突起縦割式は脊柱の突起部分を縦方向に割って、神経への圧力を下げる方法。
入院期間は2~3週間ほど。費用の目安は30~40万円程度。
2.MEL(内視鏡下部分椎弓切除術)は25~30万円、4日~1週間で退院
MEL(Micro Endoscopic Laminectomy)は、内視鏡を用いて椎弓等を切除することによって、脊柱管を広くし、圧迫されていた神経の痛みを除く手術です。
入院の目安は4日から1週間程度。費用の目安は25~30万円程度。
3.脊椎固定術は70万円、3週間で退院
圧迫されている部位が広範囲であったり、すべり症があったりして固定する必要がある場合に行われる手術。背中を切開して、椎骨を金属で固定します。
入院期間は3週間ほど。費用の目安は70万円程度。
4.ME-PLIF/TLIF(内視鏡下腰椎椎体間固定術)は60~70万円、10日~2週間で退院
ME-PLIF/TLIF(Micro Endoscopic-Posterior lumber interbody fusion/Transforaminal Lumber Interbody Fusion )は、背中側から内視鏡を入れ、問題になっている椎間板を取り外し、椎間板の代わりに、人工的に作られた「ケージ」と呼ばれるものを入れて固定する手術です。
入院期間は10日から2週間。費用の目安は60~70万円程度。
5.XLIF(内視鏡下低侵襲脊椎固定術)は75~85万円、10日~2週間で退院
XLIF(eXtreme Lateral Interbody Fusion)も問題になっている椎間板を取り外して、ケージを入れて固定する手術です。背中側からではなく、側腹部から内視鏡を入れるので背中への負担が少なく、また骨を削らないため神経を傷付けてしまうリスクを軽減できます。
ただ、XLIF手術はそもそも認定医しか行えないため、日本では行ってくれる病院はまだ多くはありません。
入院期間は10日から2週間程度。費用の目安は75~85万円程度。
6.椎弓形成術は75万円、1週間~10日で退院
切開して椎弓を切り離し、内側を削って穴を広げてから身体に戻す手術です。身体の外に取り出して削るので、細かな調整がしやすく、削っている時に神経を傷付けるリスクも低くなっています。
入院期間は1週間から10日程度。費用の目安は75万円程度。
高額療養費制度の利用で安くなることも
今回紹介した手術費用の目安は、健康保険適用で医療費の3割を負担する場合です。それでも、想像より費用が高いと感じる人も多いのではないでしょうか。ですが、実際の負担金はもっと安く済みます。
高額療養費制度を利用すれば、窓口に支払った金額が高額療養費制度の基準以上だった場合、払い戻してもらえるからです。
例えば、報酬月額27万円以上~51万5千円未満の人は、多数該当が44,400円。これ以上医療費がかかったら、払い戻しが受けられます。
そして、腰部脊柱管狭窄症の手術を受ける場合は、事前にいつごろ入院するのか分かっていますから、手術が決まったら入院する前に市区町村の役所で限度額適用認定証を発行してもらいましょう。限度額適用認定証があれば、窓口で支払う負担金額の上限そのものが限度額までとなり、払い戻し手続きも必要ありません。
また、限度額適用認定証は1ヶ月の上限を決めるものですから、運良く月をまたがないように入退院できれば、上限額は一度だけの支払いになります。
ただ、高額療養費制度は入院中の食費や差額ベッド代などには適用されません。実際の入院費は、上限額プラス食費や病院から受け取った消耗品、差額ベッド代になります。
※腰部脊柱管狭窄症の手術を行うすべての病院で、すべての手術が保険適用となるわけではありません。また、保険適用外の手術は高額医療費制度も使えません。
内視鏡手術と切開手術の費用はほとんど変わらない
同じ術式であれば、実は切開手術でも内視鏡手術でもほとんど手術費用は変わりません。保険点数がそもそも同じだからです。(切開手術は入院期間が長いため入院費用そのものは増えます)
となると、入院日数が少なくて済む内視鏡手術を選びたくなりますが、そう単純な話でもありません。例えば椎弓形成術は、骨を取り出す必要があるので、
そもそも内視鏡手術はできませんし、病院によって得意・不得意な手術もあるからです。
最適な治療で脊柱管狭窄症の改善を
ここまで、脊柱管狭窄症の手術を6つご紹介してきました。それぞれにかかる費用と退院までの目安、状態によって術式が異なることをよく確認して下さい。
さらに、高額療養費制度を利用することも検討してみましょう。
最適な治療で、脊柱管狭窄症の症状が改善されると良いですね。
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