気管支喘息は子供だけの病気ではありません。小児喘息を患っていた方が大人になって再発するケースや、成人してから初めて発症するケースもあります。
今回は、大人の気管支喘息についての原因と、発症のきっかけになる物質などについて詳しく解説していきます。
気管支喘息は、気管支が慢性的な炎症状態となっている
気管支喘息は、気道の炎症によって引き起こされます。炎症によって気道が狭くなり、空気が通りにくくなったり、過敏になったりして、咳や痰の症状が現れるのです。
大人の気管支喘息患者の気道には、好酸球やリンパ球といった、炎症に関係する細胞などが多く含まれる傾向にあり、気管支が慢性的な炎症状態になっています。
その敏感な気管支に刺激となる誘因物質(アレルゲン)が付着すると、炎症が強まり激しい咳や痰といった発作が出てくるのです。
慢性的な炎症の原因はさまざま
花粉症などのアレルギーを持っている方や、風邪が治っても咳だけが残る方、家族に喘息の人がいる方などは、気管支の炎症が続きやすくなります。軽い運動にもかかわらず息苦しく感じたり、咳込んだりする方も要注意です。
また、意外に思われるかもしれませんが、肥満も気管支の炎症につながる場合があります。肥満体型そのものが気道を圧迫しますし、脂肪細胞によって炎症物質が産生されるからです。
花粉、ハウスダストなどのアレルゲンを吸い込むと喘息発作が起きる
花粉やハウスダスト、ダニ、カビなどの空気中に浮遊する物質が炎症を起こしている気道に付着すると、過敏に反応して喘息の発作がでる場合があります。
つまり、あまり換気がされていないホコリっぽい部屋は、気管支喘息が発症しやすい環境と言えます。
目立つホコリがあれば掃除をして取り除くのは当然ですが、衣類をはじめ、布団やカーペットなどの布類から発生するホコリやカビにも対処が必要です。空気が乾燥している場合も様々な物質が浮遊しやすくなりますので、湿度を適度に保つよう配慮しましょう。外出時であれば濡れマスクの着用が効果的です。
アレルゲン以外に喘息発作を引き起こすものもある
アレルゲン以外にも、気道を刺激し、喘息発作の誘因となるものもあります。
- 仕事上のストレス
- 季節の変わり目
- 気圧の変化
- 香水や化粧品に含まれる成分
- タバコの煙
- エアコンから吹き出す風(気道の温度が大きく変化する)
- 風邪、インフルエンザ
- 薬
大人の気管支喘息では、このようなアレルゲン以外の誘因によるものが多いと言われています。
これらの誘因をできる限り避けることが大切ですが、職場や公共の場所では思い通りに環境を変えられない場合も多いので、マスクの着用に加え、可能であれば小型の空気清浄器を活用するなどして対応したいところです。
また、薬の服用についても注意が必要で、アスピリンのような鎮痛薬によって喘息の発作が起きることがあります。
これは、風邪薬でも同様の症状を招く場合もありますので、安易な服用はおすすめできません。成人喘息患者の10%程度がこの症状に該当すると言われ、年代では30~40歳代の発症例が多くなっています。
喘息予防のためには規則正しい生活も大切
大原則としてはホコリや有害物質の少ないきれいな空気の中で過ごすことが、喘息の予防につながります。
あわせて、心身共に健康体を保つために、栄養バランスのとれた食事と十分な睡眠、適度な運動を続け、体力をつけることも重要です。何度も繰り返す咳によって、実はかなりの体力を消耗しています。
体力が低下すると免疫力低下にもつながり悪循環になってしまいますので、規則正しい生活をすることが喘息予防にもつながります。
また、既にぜんそくを発症しているのに、それに気づかず、風邪薬や咳止め薬などを用いてその場しのぎをしていると、悪化の原因にもなりますので注意してください。
「ピークフローメーター」で日常的に気道の状態を把握できる
「ピークフローメーター」という、吐き出した息が流れる速さを測定する機器を用いれば、気道の状態を日頃から把握することができます。
その測定値の変化に注意を払うことで、発作の予防につながる行動ができますので、可能であれば活用してみてください。
喘息の発作が出てからの対症療法だけでは根本的な解決にはなりません。発作が起きないようにするには、日頃から気道の状態に気を配り、慢性的な炎症を改善することが大切です。
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